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グローバルな期待を寄せる一台

2013年に車両が公開されて以来、世界の「ハイパーネイキット」市場をリードしているMT-09。

その独特の世界観は、これまでにない新しいバイクの楽しみ方を提案し、グローバルに世界のライダーたちからの支持を集めています。

昨年ヤマハは、イタリア・ミラノで行われたEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)において、その足回りをグレードアップしたMT-09SP ABSを発表。

この様子は既にモーターサイクルナビゲーターでも、生配信された現地の様子をもとに、こちらの記事の中でお伝えしましたね。

いよいよ2018年3月20日。

スタンダードモデルのカラー変更とともに、その国内仕様が発売されます。

市街地走行はもちろん、ワインディング走行でも個性の光るMT-09。

「SP」の登場はMTの世界観に新たな「感動」をもたらしてくれるのでしょうか?

MT-09その楽しさの所在

グローバルに好評を博すMT-09。

その楽しさの所在はどんなところにあるのでしょう?

斬新なアイディアの集合体であること

MT-09を構成する一つ一つのパーツを見ていくと、それらを作り出す造り手の斬新なアイディアが見えて楽しい気分になります。

ユニークなこのバイクの独特な個性を形作っている特長的な部分を、一つ一つを見ていくことにましょう。

エンジンについて

クランクケースに「CP3」の刻印。

エンジンは国産現行車の中では唯一となるDOHC3気筒クロスプレーンエンジン。

このクロスプレーンエンジンについてメーカーカタログは、「慣性トルク変動が少ない3気筒ならではの特長」と説明しています。

「慣性トルクの変動」

大雑把なイメージですが、例えば自転車を漕いでいるところを想像していただくとわかりやすいかもしれません。

ペダルを上死点から踏み下ろすとその中でも回転方向に力をかけられえるのは360°のうちの約180°。

その180°の中でも一番力のかかるところと、そうでないところというのがあり、すべての角度で均一に力がかけられるわけではありませんね。

さらに自転車の場合は、2本の脚でその180°を交代しながら回転運動を与えています。

そうして1・2・1・2と漕いでいる最中の、1の脚から2の脚に力が移る瞬間は、クランクの回転に対して力をかけられない「力の谷間」でもあります。

こうしてクランクが360°回転する間には回転方向、すなわち慣性方向へのトルク変動が起きているわけですね。

これを3本脚にして、360°÷3でそれぞれが120°ずつを受け持つと、瞬間的に発生する「力の谷間」のロスや、それに伴う振動を小さくできるというわけです。

実際は内燃機なのでもう少々複雑な部分もありますが、ヤマハのクロスプレーンエンジンが目的とするところは大体こういうイメージ。

MT-09では2気筒のトルクフルな面と、4気筒ののびやかな面。

両方の良いとこ取りをしたようなキャラクターを楽しむことができます。

フレーム・スイングアームについて

通常のアルミフレームであれば、

上の写真のようなアルミのパーツを溶接などで組み合わせて作っていくのが一般的です。

しかし、MT-09の場合は、

上の写真のように、左右それぞれを鋳造して成型し、この二つを中央でボルト締結するという大胆なアイディアによって作られています。

通常、溶接部分を多くすると強度は増す反面、その分重量が増していきます。

でも、MT-09のフレームの場合は鋳造なので継ぎ目がなく、軽量で美しい仕上がりになっています。

さらにこのフレームで特長的なのはスイングアームピボット周りのスリムさ。

上の写真は筆者のXJR1300のものですが、一般的にスイングアームは、このようにフレームの内側に締結されます。

しかし、MT-09の場合、スイングアームはフレームの外側で締結されています。

そのうえ、リアサスペンションもフレーム上部にダイレクトにマウントされ、重量物を重心位置にグッと寄せる工夫がなされているのです。

このおかげで、両足の間隔も2気筒並みにコンパクトにできるため、取り回しの際やコーナリングの時には軽快感を。

またピタッとホールドできる足元のすっきり感はマシンとの一体感を演出してくれています。

これまでのバイクにない楽しさ

鉄フレーム+リア2本ショックのヘリテイジバイク。

あるいは、スーパースポーツバイクのエンジンを流用したそのカウルなしバージョン?

これまで「ネイキット」と呼ばれるバイクたちの概念と言えばそういったものだったかもしれません。

しかし、バイクの楽しさの本質を追い求めつつ、「ハイパーネイキット」という従来の系譜にない革新的なバイクがこのMT-09。

独特の鋳造フレーム構成は斬新的で、そこに搭載される3気筒エンジンもスーパースポーツの「お下がり」ではありません。

これらによって表現される乗り味は、余りあるスーパースポーツの「過激さ」ではなく、かといって旧来のネイキットにある「重厚さ」とも違います。

誰もが扱いきれる領域の中にあって、「りゅんっ!」という甲高い音とともに軽々と風邪を切り裂いていく感じ。

さらに乗り手を魅了する、まるでスパイスのような、鋭い加速や鮮やかなコーナリング。

カタログにある「意のまま」という言葉は本物で、その操作感は退屈感を与える隙がありません。

どうやらMT-09の楽しさの所在は、普段使いの気安さの中にキリリと辛味を効かせてくれるところにあるようです。

 

そして「SP」がやってきた

さて、これまではスタンダードのMT-09の車体構成や、筆者がかつて試乗した経験などをもとにお話を進めてきました。

今回新たに加わったSPの魅力をじっくりと見ていくことにしましょう。

MT-09 SP ABSの品格

上質なカラーリング

MT-09 SP ABS。

外見上「SP」らしくしているのはこのSP専用カラーリング。

カタログ写真には申し訳ないところですが、このカラーは実車で見るのと写真で見るのとでは、だいぶ印象が違います。

実はこれを執筆している時点で筆者はまだ実写にお目にかかっていません。

しかし、このカラーは先日取材させていただいたMT-10SPが同じカラーなのでその美しさは目に焼き付いています。

(↑MT-10SPのタンク)

このツートンは「ブラックメタリックX」というカラーになるそうですが、

ブラックの部分はその名の通りメタリックのラメが入り、引き締まった印象を与えています。

そしてカタログでは単に鼠色っぽい色になるのですが、シルバーの部分はデザイナーの間で「リキッドメタル」と呼ばれている特別なもの。

あのYZF-R1Mに採用されている高輝度メタリックで、金属の質感を高めるために特別に開発されたペイントです。

YZF-R1M・MT-10SP。

いずれもヤマハの旗艦フラッグシップであり、このカラーは旗艦として印象付けるにふさわしい外観を与えています。

さらにホイールには専用のブルーホイール、そして「SP」の文字があしらわれ、ボディーの美しいツートンカラーと共に、SPとしての品位を醸し出しています。

専用メーターパネル

スタンダードのメーターはシンプルかつ視認性に優れるひし形メーター。

跨ってパッと目に入る独特なこのメーターの形は、MT-09が持つキャラクターのユニークさを予感させます。

SPでは専用にネガポジ反転液晶が用いられ、カラーリング同様、SPとしての所有感を向上させています。

表示を見比べてもお分かりのように、スタンダードとSPの間には特に電子制御系の変更はありません。

トラクションコントローラーは、「OFF」「1」「2」の3段切り替え。

パワーモードセレクターも「A」「STANDARD」「B」の3段切り替え。

多彩なモード設定が可能なYZF-R1やMT-10SPのそれからすると、かなりシンプルにも見えます。

しかし、このパワーセレクターは各モードそれぞれのキャラクターがはっきりしていて面白いもの。

「B」モードではタコメーターの動きも穏やかですが、「A」モードではスパン!スパン!と小気味よくなり、うかうかしていると簡単にフロントを持ち上げるほどの元気さがあります。

前回のモデルチェンジからクイックシフターも装備され、ますますスパルタンな動きにも対応。

そんな風にネイキットだからと言って、おとなしいばかりでなく、ヤンチャな一面をちらりとのぞかせてくれるのがMT-09のキャラクターとしてユニークな部分だといえるでしょう。

フロントサスペンション

そんなMT-09の乗り味を、さらにハッピーにしようというのが、グレードアップされた前後サスペンション。

採用されているのは、伸側と圧側の減衰力フルアジャスタブル機構を装備した、KYB(カヤバ)のスペシャルサスペンションです。

トップにはMT-09SPの刻印が彫り込まれていますね。

YZF-R1MやMT-10SPに採用されている電子制御のオーリンズサスほど豪華ではありませんが、「親しみやすさ」もMT-09シリーズの売りの一つ。

ここはメーカーとして価格の増大を抑え、「SP」の所有感を多くの人に味わってもらいたいというメーカーの思いやりも垣間見えるところです。

さらに、圧側の減衰力は「高速」と「低速」の両方が調整可能。

これによってサスの沈み始め(初期)の動きは穏やかなものにしておいて、ストロークの奥の部分の動きをガッチリしたものにするなど、設定の奥行きも深いものです。

例えば低速時にはゆったりとした動きを豊かに演出し、速度が増した時やワインディングのワイルドな走りにも、しっかりとライダーの意思についてきてくれるわけですね。

リアサスペンション

そして、MT-09 SP ABSを、最もMT-09シリーズのフラッグシップたらしめている部分がこのオーリンズのリアショックです。

プリロードにリモートアジャスターがついているので、速度域や荷物の多さ、またはタンデムなど、走行条件の変化に合わせてリアの沈み始めの位置を素早く簡単に調整できます。

減衰力の調整は伸側30段階・圧側20段階と微細な調整が可能。

これなら、ハイスピードツーリングはもちろん、ワインディングももっと奥深く遊びたくなることでしょう。

まとめ

『乗った感じの楽しさは、まるで大きなトリッカーだな。』

これが筆者のMT-09についての第一印象でした。

ヤマハのトリッカー250はかつて筆者が所有していたバイク。

これはトレールバイクと街乗りバイクの融合作で、その名が表す通りトリッキーな乗り方も受容してしまう痛快なバイクでした。

MT-09もまた、スーパーモタードとネイキットの融合作だとメーカーは説明しています。

その説明通り、MT-09もまた、軽い車体が多彩な乗り方を可能にし、ライダーのわがままな好みにも幅広く柔軟に対応してくれます。

おとなしく走りたければおとなしく走り、アクセルを「ギョイっ」とひねれば、キャップを開けたばかりのコーラを一気に飲むような、刺激的で爽快な走りを楽しむこともできる。

MT-09の乗り味を字で表現するにあたっては、手前みそながら恐らくこれで、大体のツボを言いえているのではないかと思います。

ただ、実際に試乗をされたなら、MT-09は幅広い走行シーンにおいて、この表現をはるかに超える楽しさが感じられることでしょう。

メーカー間にありがちだった「スペック自慢競争」から脱却して、バイクの楽しさの本質を見つめなおしたMT-09ABS。

そして前後のスペシャルサスペンションを手に入れ、ますます刺激的な走りを楽しめるMT-09 SP ABS。

今後最寄りのYSPに試乗車が配置されるようであれば、ぜひ一度その乗り味を味わってみて頂きたいと思います。

ちなみに試乗車の検索はこちらから可能です。(※SP発売は2018年3月20~、詳しくは販売店にお問い合わせください。)

MT-09ABS新カラーバリエーション

スタンダードモデルのMT-09ABSでは、諸元上の変更はありませんが、カラーパターンが一新されています。

新しい3色のバリエーションをご紹介しましょう。

マットグレーメタル3

ディープパープリッシュブルーメタリックC

 

マットダークグレーメタリック6

MT-09/SP ABS 諸元

MT-09 SP ABS 1,112,400円 (消費税8%込み)
(本体価格 1,030,000円)

MT-09 ABS 1,004,400円 (消費税8%込み)
(本体価格 930,000円)

認定型式/原動機打刻型式 2BL-RN52J/N711E
全長/全幅/全高 2,075mm/815mm
/1,120mm
シート高 820mm
軸間距離 1,440mm
最低地上高 135mm
車両重量 193kg
燃料消費率 国土交通省
届出値
60km/h
定地燃費値
29.4km/L(60km/h)
2名乗車時
WMTC
モード値
19.7km/L
(クラス3, サブクラス3-2)
1名乗車時
原動機種類 水冷・4ストローク
・DOHC・4バルブ
気筒数配列 直列, 3気筒
総排気量 845cm3
内径×行程 78.0mm×59.0mm
圧縮比 11.5 : 1
最高出力 85kW(116PS)
/10,000r/min
最大トルク 87N・m(8.9kgf・m)
/8,500r/min
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 3.40L
燃料タンク容量 14L
(無鉛プレミアム
ガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエル
インジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V, 8.6Ah(10HR)
/YTZ10S
1次減速比/2次減速比 1.680/2.812
クラッチ形式 湿式, 多板
変速装置/変速方式 常時噛合式6速/リターン式
変速比 1速:2.666 2速:2.000 3速:1.619 4速:1.380 5速:1.190 6速:1.037
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター/トレール 25°00′/103mm
タイヤサイズ(前/後) 120/70ZR17M/C (58W)(チューブレス)/ 180/55ZR17M/C (73W)(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED×2
乗車定員 2名

 




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