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今回筆者がお邪魔した走行会は、4月1日にYSP川崎中央さんで行われた「プレスト試乗キャラバン」。

通常、ショップの試乗は長くて15分程度、時にはショップの周り数百メートルを何週か回るだけということも珍しくはありません。

しかしプレスト試乗キャラバンの走行枠はたっぷり50分!

しかも市街地だけでなく、高速道路の走行も含まれ、公道で味わうことのできるR6の乗り味をめいっぱい味わうことができました。

今回は試乗を通し、ネイキットに主軸が移った感のあるバイクシーンの中で、600㏄SS、YZF-R6の存在感を再確認しようと思います。

今、SSに乗ってみたい

かつて筆者は、初期型のR1(4XV)そして’04年型のR1(5vy)と乗り継ぎ、さらにサーキット専用車として初期型のR6(5EB)も所有していました。

しかし家庭を築き、ライフステージが変化した今。

いつのまにやらサーキットはおろか、いつもの峠にすら行く機会はほとんどなくなっています。

筆者と一緒にサーキットや峠を遊んでいた周囲の友人たちも同様で、かつてと同じスタイルでバイクと戯れることは難しくなっているようです。

最近発売されるバイクたちもにしても、トップスピードや限界性能より、応答性良さや付き合いやすさ。

バイクのパフォーマンスの主軸はSSのような高度さよりも、身近な形で楽しめる方向に変わってきている気がします。

自分も含めバイクのコアユーザー世代のライフステージの変化も、こうしたバイクの傾向の変化に少なからず影響しているでしょうね。

これはこれで楽しいものです。

でも、もしどこかで状況が許してくれるのであれば、「SSに乗っていたあのギラギラした気持ちを取り戻したい。」

そんな気持ちを心の中で、ふすま一枚向こうの押し入れにちゃーんとしまってあるのは、きっと筆者だけではないはず。

そう考えるうち、トップスピードや限界性能に夢を託す最新スーパースポーツに今一度乗ってみたいと思うようになりました。

R1の試乗も考えましたが、既に予約は満員。

でもYZF-R6の試乗枠をゲットすることができました。

筆者にとってSSYZF-R6は、慕いながらもちょっと遠くに行ってしまった先生のような存在。

今回の試乗では、久々に「再開」ということになるでしょうか。

いったいどんな風に、心に秘めたギラギラを慰めてくれるのでしょう?

R6を 目の前にして

実車に漂う迫力と緊張感

YSP川崎中央さんに到着。

早速受付を済ませると、横には既に2台のR6がスタンバっています。

R1と同じく、エアスクープが際立つレーシーなマスク。

そしてかなり思い切ったテールデザイン。

コンパクトながらも迫力のあるスタイリングに、早くも気持ちがギラッとしてきます。

走行5分前、ちょっとしたブリーフィングがありました。

マシンについては3段の走行モードの切り替え方や、各モードの特色、そして6段トラクションコントロールの扱い方などについてのレクチャー。

そして高速走行を含むコースの説明などでした。

それらをを聞きながら、いよいよR6の世界に触れるのだと、緊張感が高まっていきます。

「やる気」を試されるライディングポジション

そして走行開始時間。

いよいよマシンを預かって、跨ります。

引き起こしはとても軽く、そこからすでに旋回性の良さを予感させてくれました。

先代R1にならったメーターもシンプルで視認性も良好です。

ただ、驚くのはR6が要求してくるライディングポジション。

これがなんと、本格的なレーシングポジションしかない形なのです。

このBN6型のR6にはこれまで海外の展示会などで何度か跨ったこともありましたので、この腰高感やストイックなレーシングポジションも予め認識していました。

多分このときは、車軸を垂直にしっかりと固定された状態だったので、あまり驚かなかったのかもしれません。

しかし、車軸が固定されていないフリーな状態では、展示状態とはだいぶ勝手が違います。

このポジションのバイクを支えるのは.別の意味の緊張感を強いられました。

まずは850mmというクラス平均以上のシート高と、レーシーなハンドルの低さ。

身長162cmの筆者の足つきは、片足がつま先を延ばして何とか接地状態を確保しています。

さらに、ハンドルはステップに脚をかけた状態のひざの高さ(ひょっとするとこぶし一個分くらい膝より低い?)でライダーに近い位置にあり、猛烈な前傾姿勢になります。

初期型5EB型のR6では確かハンドルはトップブリッジの上にブラケットがついていて、前傾といってもR1より若干ゆとりがあったはず。

あるいはR1(4XV・5VY)にしても、前傾ながらここまでスパルタンなポジションではなかったような気がします。

恐らくもっと時間をがあれば慣れていくのだと思いますが、初見で感じるこの腰高感とハンドルの低さはまさに異次元。

前傾バイクに馴染んだはずの筆者でも、気負抜くと腕を突っ張って上体を支えてしまいがちです。

セルフステアを殺さないよう、くるぶしと膝でしっかりマシンをホールドして、上体を脱力して肘に余裕を持たせる。

この猛烈な前傾の中で、気合いを入れてレーシングポジションを保つのは大変です。

こうしてBN6型のR6はそんなレーシングポジションで、乗った瞬間からライダーに「やる気」を問うてくるのです。

乗って分かった気持ちよさ

モードセレクターそれぞれの「表情」

エンジンをかけていよいよスタート。

全体的に甲高いエンジン音の中には「グウォンっ!」とちょっとドスの利いた音域がありました。

それはまるで、「乗りこなせるものなら乗りこなして見せろ!」とライポジに四苦八苦する筆者に檄を飛ばすかのよう。

『やってやろうじゃないの』と妙な気合を入れてとりあえずBモードでスタートです。

事前の説明でBモードはウエットなどの低μ路用設定なので、ドライの加速はややもたつく感じがあるといわれていました。

その説明通りBモードではアクセルをグッと回しても鋭く加速する感じがなく、『らしくないな』と思うほどのマイルドな感じです。

そのままではちょっと退屈な気もしてきたので、街中の大通りはスタンダードモードに切り替えました。

スタンダードモードは乗り手の意思にリニアに反応し、軽快かつ機敏な走りで、高速までのプロローグをしっかりリードしてくれました。

相変わらず厳しいポジションに『気おくれしてなるものか』とAモードに切り替え、ニーグリップの膝に力を入れなおして高速に上がります。

料金所からの加速では、オートシフターを試してみました。

タコメーターのインジケーターを光らせながらシフトをかき上げると、あっという間に法定上限速度。

ダウン側とオートフリップ機構はないものの、素早いシフトフィーリングは実に快適です。

ようやくハードなライディングポジションに慣れて余裕が出たところで、車間を保ちながらいくつかギアを落としてまた加速。

そこでのR6の動きを観察してみるとAモードではスタンダードモードよりもアクセルの反応が明らかにシビアになり、極めて鋭利な加速で風を切り裂いていきます。

操作感もさることながら、このときのエクゾーストノートはノーマルサイレンサーながら、ライダーに例えようもない高揚感を与えてくれます。

コーナリングのヤマハの極み

「やっぱりコーナリングってこういうもんだよな、こうじゃなくちゃいけないよ!」

これはかつてツインリンクもてぎで、他メーカーのマシンに乗るレーサーに筆者のR6(5EB)を3周だけお貸して、降りてきた彼の第一声。

よく言われた「コーナリングのヤマハ」という言葉を思い出すとともにそれは、R6はその極みであることを確認した瞬間でもありました。

今回のBN6型R6では、腰高で高重心になった車体のおかげで、レーンチェンジの動きにも小気味よさが増していました。

試乗も半ばとなり、第三京浜の玉川を折り返します。

玉川入り口には緩いカーブを加速して進む区間がありました。

あくまでそれだけなのですが、コーナーの先を見ただけでマシンがすっとそちらを向き、コーナーが奥で切れ込んでいても自在に曲がってくれる。

きれいな挙動にもてぎのエピソードを思い出しながら、R6はコーナリングマシンとして初期型から脈々とR6であり続けていると感じました。

R6はいつもライダーの良き師範

YZF-R6をYZF-R1の廉価版のように思うとしたらそれは全くの見当違いです。

同じSSカテゴリーにありながらも、R1とR6では立ち位置が全く異なります。

かつて筆者が所有した初期型R6(5EB)では、吹け上りは速いものの中低速域ではパワー感が薄く、高速域で快走するにはパワーバンドを常に意識する必要がありました。

サーキットなどでは回転数の読み違えは、すぐさま失速という悪い結果につながってしまいます。

R1の場合はこの辺りをマシンがフォローしてくれることもあるのである意味1000㏄の方が楽だともいわれています。

しかしエンジンの使い方、つまりパワーをつないで速く走るコツを学べるのがYZF-R6の良いところ。

ブレーキポイントやアクセルタイミングの引き出しを増やし、腕を鍛えてマシンから速さを引き出そうとするライダーにはR6は厳しくも良き師になってくれるのです。

今回試乗させていただいたBN6型では、排気デバイスEXUPの採用や高度な電子制御が施されています。

このおかげでで、低速からのふけ上がりものびやかで、初期型と比べるとかなりスムースなものになっていました。

しかし、高速上で0km/hからグワっとアクセルを開けていくと、9500rpmあたりから「よっ!」とトルクの厚みが出る域が(ちゃんと)あるのがわかります。

初期型を知るものからすれば、そのパワーバンドは「R6らしさ、ここに健在」と、嬉しくなる瞬間です。

さらに先々代からのスリッパークラッチに加え、BN6からトラクションコントローラーが追加されました。

これによってサーキットでは躊躇なくシフトダウンしながらコーナーに進入。

これまで以上に速いタイミングでアクセルを開けながらコーナーを立ち上がっていくなど、「切れ味」鋭くコーナーを駆け抜ける姿が目に浮かびます。

R6今の立ち位置は?

以前このモーターサイクルナビゲーターの中では、ヤマハのMT-10SPについて試乗させていただきながらその魅力をお伝えしました。

関連記事;【試乗レポート】Yamaha ヤマハ MT-10SP 電子制御が面白い

これはまるで美女と野獣を一台の中に同居させたようなバイク。

しっとりした走りをしたかと思うと、ボタン一つでGP的クロスプレーンサウンドを響かせて、強烈な走りも楽しむことができます。

つまり、バイクそのものが「変身」するというわけです。

お伝えしたように、YZF-R6にも「A」「STD」「B」という3つの走行モードがあります。

しかし、ピックアップがマイルドな「B」モードにしても、ネイキットのようにまったりと走るような感じではありません。

本格的なレーシングポジションのみのライディングポジション。

車体の軽さと加速、そして音。

YZF-R6には、全く妥協のないエキサイトメントがありました。

跨った瞬間から、5感が研ぎ澄まされていくのを感じます。

この感覚に、日常にある一切の面倒なことを忘れ、解放された一時を得ることができました。

つまりYZF-R6は「ライダーを変身させるバイクだ」ということ。

ボタンでバイクを切り変えるのではなく、ライダーを非日常のモードに切り替えてくれるのです。

もちろん、サーキットに行けばまた別次元の非日常へと誘ってくれるYZF-R6。

200万円越えのリッタークラスよりも手軽な変身ツールというのが、この600㏄スーパースポーツの立ち位置。

今回の試乗はちょっと懐古的な気持ちを慰めようとしていましたが、試乗を終えた今ではそれ以上に新しい自分に出会えたような気がします。

帰り際、YSP川崎中央の方に伺ったお話によると、「R6は20代の方によく売れている」とのこと。

ゆったり走れるツーリングバイクが受け入れらている中にあって、R6を師に腕を磨いていく若いライダーたちがいる。

筆者は彼らの志を陰ながら応援したいと思います。

まだあるよプレスト試乗キャラバン

今回筆者がお邪魔した「プレスト試乗キャラバン」は今後も2018年10月まで各地で開催される予定です。

YZF-R6以外にもYZF-R1、そしてXV1900CU、XT1200ZEなども用意されます。

あなたの知っているR1や1R6、乗ってみたら想像と全く違う新たな世界観をもたらしてくれるかもしれませんね。

スケジュールのご確認、ご予約はこちらのリンクにある各店のHPからお早めに!

試乗協力店のご紹介

今回の「プレスト試乗キャラバン」は神奈川県川崎市中原区にあるYSP川崎中央で行われたものです。

YSP川崎中央さんは昔から逆車をどこよりもいち早く在庫するので有名です。

さらに2016年にはヤマハの整備士コンテスト世界大会で鮫島整備士が見事に優勝。

バイク誌ではかなり大きく取り上げられていて、信頼できるYSP店です。

YSP川崎中央さんには話題のXSRやMTシリーズ、さらには新型のYZR-R15など、そのほかにも多彩な試乗車が用意されています。

お近くの方はぜひ、YSP川崎中央さんへ事前にご相談の上、気になる車種をチェックされてはいかがでしょうか。

YZF-R6(BR-6)諸元

名称 及び 型式
モデル名 YZF-R6
年式 2018
仕向地 南アフリカ (DPBMC,MDNM6)
オーストラリア (BWP1,MNM3)
寸法 及 質量
全長 2,040mm
全幅 695mm
全高 1,150mm
シート高 850mm
軸間距離 1,375mm
最低地上高 130mm
装備重量 190kg
最小回転半径 3.6m
原動機
原動機種類 4ストローク
・水冷・DOHC
・4バルブ
気筒数配列 並列4気筒
総排気量 599cm3
内径×行程 67.0×42.5mm
圧縮比 13.1:1
最高出力 87.1kW (118.4PS) /14,500r/min
最大トルク 61.7N・m (6.3kgf.m) /10,500r/min
エンジンオイルタンク容量 3.4リットル
燃料装置
燃料タンク容量 17リットル
燃料供給 電子制御
フューエル
インジェクション
動力伝達装置
一次減速機構 ギア
一次減速比 85/41(2.073)
二次減速機構 チェーンドライブ
二次減速比 45/16(2.813)
クラッチ形式 湿式多板
変速比
1速 31/12 : 2.583
2速 32/16 : 2.000
3速 30/18 : 1.667
4速 26/18 : 1.444
5速 27/21 : 1.266
6速 23/20 : 1.150
車体
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスタ 24°00'
トレール 97mm
タイヤサイズ(前) 120/70ZR17M/C(58W)
タイヤサイズ(後) 180/55ZR17M/C(73W)
価格
プレスト参考小売価格 1,566,000円
(本体価格1,450,000円)




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