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昨年2017年の11月1日にBMWが放った「普通二輪車免許での乗れるアドベンチャーバイク」。

これまでこのクラスにラインナップを持たなかったBMWだけに、G310GSの登場は幅広いライダーに高い関心が持てれているものだと思います。

今回は横浜市にあるBMW Motrrad Kohoku様に、そのG310GSの試乗をご協力を得ることができました。

その外観のディテールや乗り味など、G310GSの魅力をしっかりとお伝えしていきたいと思います。

後を追うのではなく既に前にいる

近年アドベンチャーバイクは250㏄の軽二輪クラスにまで裾を広め、世界でグローバルな人気を獲得しています。

専門誌やWEBをみると「海外メーカーとしてBMWがG310GSでいち早くこの市場に参入した」といった表現をしている記事も散見しますね。

筆者もそうした記事を真に受けて、G310GSは他メーカーの動向を意識したものなのだという認識を持っていました。

しかし、ご対応いただいたBMW Motrrad Kohokuの櫻井さんは、そうした世間での認識に対し「BMWは独創性です。」という一言に語気を強められました。

つまり、BMWは彼らの後を追うがためにG310GSをリリースしたわけではではないのです。

例えば、250㏄でもなく300㏄でもなく310㏄という排気量(諸元上は313㏄)も、新しい世代のバイクを創造しようと考えたBMWの独創性の表れ。

そもそもBMWは、より幅広い層のライダーに新しい世界観を提供できるバイクを構想していたのだそうです。

世界的に厳しいといわれる環境基準(ユーロ4)に適合しながら、その姿を具現化できるパワーの両立を図るべく導き出されたのが、この310㏄という排気量。

このエンジンだけでなく、車体構成など各部には、それらが他社にはない独創性に満ちたものであることがわかってきます。

それを見た上で改めて全体を眺めたならば、きっと多くのライダーが「なるほどBMW G310GSは全く新しい概念をリードして生まれたバイクなのだ」と強く感心することになるでしょう。

シャープでコンパクトな外観

今回試乗車のご協力をいただいたMotorrad Kohoku様にはG310GSだけでなく非常に多くの試乗車が用意されています。

撮影時も横にR1200 GSが並んでいたのですが、比べてしまうと、さすがにG310GSのコンパクトぶりを実感しますね。

カラーバリエーションは全3色

今回BMW Motrrad Kohoku様にご用意いただいたのは、こちらのパール・ホワイト・メタリックのG310 GS。

このパール・ホワイト・メタリックは+7,500円で用意されるオプションカラーなのだそうです。

このほかのカラーリングとしては、

レーシング・レッドと

コズミック・ブラックの計3色があります。

シンプルながらこだわりのフロント周り

G310GSを前から順に見たならば、大型車種と変わらない41mm径のフロントフォークが目を引くことでしょう。

ストローク幅は140mm、このフロントの足回りを見るだけでも、多様な道へアプローチしていくアドベンチャーバイクとして走行性能が期待できます。

ブレーキは300mm径のシングルディスク。

そしてキャリパーはBMWの子会社、BYBRE製の4ピストンキャリパーをラジアルマウントし、もちろんABSを備えています。

BMWでは、ほとんどの車種にburembo製キャリパーが使われていることもあって、ちょっと珍しい気もしますね。

また、ノーマルで既にステンレスメッシュのホースを備えているところから、そのタッチの良さにも期待が持てます。

一見シンプルなホイールもかなり高精度に形成されたもので、どの角度から見ても、成型上ありがちな表面のザラつきが一切ありません。

この精度の高い造り込みはホイールの軽量化にも貢献しているとのこと。

41mm径の倒立フロントフォークとのコンビネーションを見ていると、そのハンドリングが楽しみになってきました。

リアの足回りもいたってシンプル

タイヤサイズはフロント110/70 R19でリアは150/60 R17。

この車両にはメッツラー製のデュアルパーパスタイプのタイヤが装着されていました。

また、リアブレーキにもABSが装着されれいるのですが、オフロード上でのコントロール性を考慮して、

ハンドル左にある「ABS」ボタンを押すことでリアのABSをキャンセルすることもできます。

タイヤは上記のものが標準だということですが、ブロックタイヤを装着すれば、このリアABSキャンセラーを活用して、林道などもう一歩深いところまで行くことができそうですね。

こだわりのリアキャリア

キャリアーは標準で装備されます。

アドベンチャーモデルとしてのキャラクターには、無くてはならない大切なパーツですよね。

アフターメーカーのキャリーではトップケースを2点止め、ないし3点止めとするところが多いようです。

しかし、この純正キャリアでは積載上の安定と耐久性にこだわり、4点止めでトップケーを固定するようになっています。

さすがにこれはアドベンチャーバイクを知るメーカーだからこそのこだわり。

これならガッツリと荷物を積んで出かけたくなりますね。

テールライトやウインカーなどの灯火類はLEDで統一。

小さいながらも高照度で積載時の視認性が良いように工夫されています。

後方排気でスイングアーム長650mm

リアの足回りを見ていて驚くのは、やはりスイングアームの長さです。

車体パフォーマンスの向上のためスイングアームを長くするというのは一般的な方法です。

ただそれを考慮したうえでも長いと感じるスイングアーム。

その根元にあるエンジンはシリンダーがリア寄りに「後傾」し、エキパイが後ろ側から出ている「後方排気」であることがわかります。

ヤマハやホンダにも競技用車としてこの4ストローク単気筒に後方排気レイアウトが採用されていることがありますが、公道向け量産車としてはこのG310GSが世界初採用。

こうしてできるだけエンジンを前にマウントしながらスイングアーム長を稼ぎ、市街地からオフロードまでの幅広いフィールドでの高い操安性を追求する。

「BMWは独創性」

やはりこの車体構成を見た人はきっと、その言葉を思い出さずにはいられないのではないでしょうか。

また、G310GSは小排気量単気筒モデルにしてはやや大きいと感じるラジエーターを持っています。

圧縮を高めながら冷却効率を高めることが、パワーと排気の両立という面では正論。

プレミアムガソリンを指定していることを合わせて考えれば、このラジエーターの大きさがパワーと環境のバランスのためのものだということが見て取れます。

実は国産アドベンチャーよりも小柄

改めて全体を見てみると、「排気量の割には少し大きさがあるかな?」という印象がありました。

そこで、このクラスの他車と諸元上で比較してみたのですが、

車種 全長 全幅 全高 シート高
BMW G310 GS 2,075mm 880mm 1230mm 835mm
スズキV-STROM250 2,150 mm 880 mm 1,295 mm 800mm
カワサキVERSYS-X 250 2,170mm 860mm 1,390mm 815mm

ヨーロピアンな足つき性

ご覧の様にG310GSは国産アドベンチャー車種よりも若干コンパクトな車種だということがわかります。

ただ、車体構成としては比較的小ぶりながら、シート高を見てみるとこの3台の中では一番高い835mm。

恐らくこの部分が乗った感じの大柄感を感じさせているところなのではないでしょうか。

マシンを引き起こすとすぐに感じるのは満タンで159㎏という車体の軽さ。

重心の高さから、取回す感じがとても軽く感じられます。

筆者は、身長162㎝、座高91㎝。

日本人のおおよそ標準的な体格よりやや小柄で太目なライダーを参考に、G310GSの足つき性を見ていただくことにしましょう。

片足ならば楽に足を地面に接地させることができます。

足の接地具合とすれば親指の腹と付け根の2点で立っている感じですね。

ただ、これは片足に限ったことで、両足を同時に設置させるのは厳しいようです。

購入時にはオプションで±15mmのを選択できるといいますから小柄なライダーは、ローシートを選択するといいでしょう。

ライディングポジションンは非常に楽な形で、ライダーはほぼ直立するかたち。

そしてハンドル位置はライダーに近く、例えるとちょうどワーキングチェアに腰を下ろし、デスクに手を置いている。

そんな風に思うほど、ポジションはとても自然なものでした。

またメーターパネルは、電子デバイスも特にないため、極めてシンプルなもの。

位置的にもライダーにあまり視点移動を要求しない自然な位置にあり、とても視認性の良い部類のものだと思います。

また、これはちょっとこぼれ話のようなお恥ずかしいお話。

実はこの撮影時に、スタンドをかけたまま乗車したのですが、筆者は乗車した状態でスタンドを上げることができませんでした。

右足は既に設置しているのですが、左足がどうやってもスタンドフックに届きません。

「フックがもう少し長く出ていたらいいな」とも思いましたが、もしG310GSに話せる口があったなら「もう少し君の脚が長ければいいのに…」と言われるかもしれませんね。

ここはお互い様なので、結局スタンドを上げてから乗ることでその悩みは解決。

そのあとはすぐに慣れたので普通に跨ることができ、走行上も問題ありませんでした。

もし筆者と同じか、それより小柄な体系のライダーがオーナーになったとするならば、
BMW R1200RT/GS/GS-A LC(水冷)用サイドスタンドアシストフック

という商品も販売されています。

G310GS用ではありませんが、応用しながら活用するとよいかもしれませんね。

ひとクラス上の乗り味

さて、これまではG310GSの実車を前に外観からその乗り味を類推してきました。

実際の走りの面で各部の働きがどんな乗り味を感じさせてくれるのでしょうか。

そのあたりをしっかりと見ていきたいと思います。

まず跨ってみると、サスペンションの初期の沈み込み(1Gといいます)がソフトで、スッとライダーの体重を受け止めてくれる感じがしました。

Motorrad Kohukuからの走り出し。

エントランス前の歩道の縁石を超えながら、左に舵を切り、大通りに入って加速していきます。

この間わずか20mくらいの間の動作ですが、縁石のわずかな段差をを踏み越えるだけでも、ライダーに伝えるショックが穏やか。

「おっ」と思わず声が出るほどサスペンションのしなやかさを感じることができました。

またライディングポジションの良さが、全体的な車体の軽さと相まって低速時の旋回も非常にコントローラブルであることがわかります。

外観を見ながらとても楽しみにしていたのが、後方排気レイアウトの310㏄単気筒エンジンの乗り味。

事前に櫻井さんから、アイドリング付近のエンジン特性についてご説明をいただいていました。

お話によると、G310GSはユーロ4に適合させるため、アイドリング回転数付近の燃調、つまりガスを極力薄くする設定になっているのだそうです。

このため、アクセルよりもクラッチを徐々につなぐことを走り出しのきっけけにする、「クラッチスタート」ではエンストしやすいとのこと。

エンジンの温まっていない水温70℃以下の時はこの傾向が頻著だということです。

実際に乗ってみると、確かに初速ではモリモリ押し出す感じがあまり感じられないため、アクセルを少し開け気味にしてクラッチミートする必要がありますね。

しかし、トルクがないのかというと、そうでもないことが走り込むうちにわかってきます。

毎回試乗レポートではいつも行っていることですが、感覚的なトルクの強さとエンジンの応答性をみるために、重いギアに入れたまま再加速を試めしてみました。

今回はエンジンが70℃以上に温まったのを確認してから、4速で40㎞/h付近まで速度を落とし、グッとアクセルを開けて再加速を試みます。

すると、エンジンはノッキングや息つきを起こすことはなく、グワッ~と粘るように加速。

何度か試してみましたが、やはり35~50㎞/h以降の常用域付近でトルクの厚みが増していく感じがしました。

走行中のエンジンは疲れを及ぼすような振動も感じることはなく、その音もトロロロロンと心地よく風になじんでいきます。

この後方排気単気筒エンジンの加速フィーリングは伸びやかなもの。

高回転まで引っ張りながら伸びやかに速度をのせて行くタイプのエンジンで、右手になじむアクセルはしっかりとライダーの意思についてきてくれます。

エンジンのフィーリングについてはお伝えしたところですが、やはりこのG310GSについてさすがだなと思わせるところは、動きのしなやかさだと思います。

今回の試乗コースは舗装路とはいえ荒れている部分も多かったのですが、路面からのショックは明らかに目で見えている路面のそれとは思えないほど穏やかなのです。

外観についてご覧いただいたように、41mm径のしっかりとした足回りや、スティール製でトラスタイプのフレーム。

また可動域の長いリアサスペンションもそうですが、路面からのショックを非常に良く往なしてくれています。

何より、走りながら強く感心したのは、後方排気になっているエンジンレイアウトの理由です。

つまり、ロングスイングアームを可能にしたこの後方排気レイアウトが、まるで高級リプレイスサスペンションに交換したバイクのような贅沢な走りを楽しませてくれている。

これは本当によく考えたものだと思いました。

G310GSのように別段電子デバイスで値段を上げるでもなく、こんな贅沢な走りを669,900円、しかも普通自動二輪車免許で楽しむことがきるバイク。

確かにこれは既に他メーカーの先を行く独創的なバイクだなと感嘆するところです。

もしかしたら今後は国内メーカーがこの後を追うように、小排気量車に後方排気レイアウトを採用した公道向け市販車をリリースしてくるるかもしれませんね。

今回の試乗は市街地一般公道を約40分間往復するものでしたので、ワインディングや高速性能というのは突き詰めて試すことはできません。

しかし、WEBや専門誌など様々などにある有名テストライダーによるインプレッションをでは一様に、G310GSのオフロード走破性も高く評価しています。

欲を言えばそういった深い部分も確かめてみたいとも思いますが、こうして街中を少し乗っただけでも、感嘆を伴う発見が多くありました。

さらに長距離を走ったならば極めて優れた車体構成に助けられ、ライダーは疲れを感じるまでに相当な距離を走破できるのではないかと思います。

G310GSは普通二輪免許で乗れるBMWのアドベンチャーバイク。

その走りにはひとクラス上のゆとりがありました。

何はともあれ論より証拠。

みなさんもぜひお近くのBMW Motorrad店の試乗車でG310GSの走りを体験されてみてはいかがでしょうか。

BMW G310GS 諸元

エンジン
形式 DOHC4バルブ水冷単気筒(後方排気レイアウト)
バルブ 4バルブ
総排気量 313㏄
ボア×ストローク 80×62.1mm
最高出力 25kW(34PS)/9,500rpm
最大トルク 28Nm/7,500rpm
圧縮比 10.6:1
点火/噴射制御 電子制御エンジンマネージメントシステム(BMS-E2)
クラッチ 湿式多板
ミッション 6速
変速比 3.000/2.063/1.588/1.286/1.095/0.955
減速比 3.083:1
最終減速比 2.500:1
寸法・重量
全長 2,075mm
全幅(ミラー含まず) 880mm
全高(ミラー含まず) 1,230mm
車軸(空車時) 1,420mm
シート高 835mm
燃料タンク容量(リザーブ容量) 約11リットル(約1リットル)
性能・燃費
車両重量(満タン時) 159㎏
燃料消費/WMTCモード値(クラス3)1名乗車時 30.3㎞/L
燃料グレード 無鉛プレミアムガソリン
車体・サスペンション
フレーム チューブラーフレーム
フロントサスペンション 倒立式フォーク(41mm径)
リアサスペンション キャストアルミダブルスイングアーム

センタースプリングストラット

プリロード油圧調整式

リアサスペンションストローク 131mm
駆動方式 チェーン
フロントブレーキ シングルディスクブレーキ(300mm)

4ピストンキャリパー

リアブレーキ シングルディスクブレーキ(240mm)

シングルディスクフローティングキャリパー

ホイール アルミキャストホイール(F)3.00-19R (R)4.00-17
タイヤ チューブレスタイヤ (F)11/70/R19 (R)150/60R17
装備 ETC 2.0
価格 (税込み)669,900円

試乗車協力店のご紹介

今回試乗車のご協力をいただいたのは、神奈川県横浜市都筑区にあるMotorrad Kohoku 様。

埼玉県川越の本社を中心に東海を含む首都圏全6店のMotorrad店を展開しているMotrrad店最大級のグループ、株式会社テクノコシダ様の支店です。

店内は自動車ディーラーの様に広く落ち着いた雰囲気があり、じっくりと心行くまでラインナップを間近に見つめることができます。

今回の取材ではお忙しい中、櫻井さんがつきっきりで説明をしてくださり、車両の向き変えなど撮影にもご協力いただきました。

非常に丁寧にご対応に感謝いたします。

株式会社テクノコシダ系列Motrrad店では、BMWのほぼ全車種にわたる試乗車が用意されています。

試乗車案内はこちら

試乗ご希望の方は一度お近くのテクノコシダ系列Motrrad店にご連絡をお願いいたします。

また、それ以外の地域の方でG310GSの試乗を希望される方は、こちらに試乗車検索をご用意しましたので、お近くの試乗車をご検索ください。

クラス上の独創的な走りをお一人でも多くの方にご体験いただけたら、何より幸いです。

取材協力御礼

BMW Motorradディーラー株式会社テクノコシダ Motorrad Kohoku

店長 斉藤 健一 様

営業 櫻井 毅秀 様

大変ご丁寧なご対応、本当にありがとうございました。




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