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プラットフォームの方程式

2017年のミラノショーで新型が発表され、店頭でもその姿を見ることができるようになったMT-09SP。

ヤマハは、このMT-09と同じエンジン・同等の車体をプラットフォームとして、複数の車種ラインナップを展開しています。

例えばネオレトロで一世を風靡するXSR900もその一つですし、

MT-09SPと同時に発表され、店頭でも見ることができるようになったTRACER900/GTもそうですよね。

MT-07も最近サスの内容充実など含むがモデルチェンジが行われました。

このMT-07にもプラットフォーム展開された、XSR700があるのはご存知の通り。

しかし、MT-07系のプラットフォームにはTRACERのラインナップがありません。

つまりMTプラットフォームの方程式から言うと、MT-07ベースのTRACERがあってもいいはずですよね…。

 

というか、実は既にあるんです。

 

ご存知の方も多かったですね。

ヨーロッパでは2016年からちゃんとラインアップされているTRACER700。

どうです?

小ぶりですが内容がギュッと詰まった感じでカッコよくないですか?

TRACER900の、ドカッと大きくて頼もしい感じもいいのですが、やっぱり平均身長が小柄な私たち日本人。

ヤマハがミドルクラスアドベンチャーを出してくれれば乗りたいという人は多いのではないでしょうか。

そう聞かれたら、筆者も率先して手を挙げる一人です。

そもそも、待ってる人を2年も放置するなんてヤマハさんも罪なメーカーですよ。(笑)

そこで今回は、ヤマハ・EUのホームページを見ながら、改めてそのディテールを鑑賞し、日本での正規発売について予想したいと思います。

TRACER700はこんなバイク

まずはベースとなるMT-07と比較しながら、TRACER700の外観を見ていくことにしましょう。

重量はMTより14㎏増

 

プラットフォームなので当然なのですが、2台を比べるとよく似ていますよね。

親指で写真の上半分を隠してしまうと見た目もほぼ同じです。

ただ、プラットフォームの妙と言いましょうか、それぞれのキャラクターははっきりと別のものとして確立するために微妙な違いが与えられています。

先日MT-07とXSR700を乗り比べたときも、エンジン特性は同じでしたが、シート高やハンドルの位置などポジションが別もの。

乗り味にもそれぞれの個性を感じ、『寸法の取り方をちょっと変えるだけで、基本の車体が一緒でもこんなにもキャラクターを変えられるのか』と驚かされたものです。

TRACER700の諸元は後にまとめようと思いますが、車重はMT-07よりも14㎏増の196㎏(ABS仕様)

細部を見ながらこの増量の内容を見ていくことにしましょう。

ツアラーとして機能的な変更

まず、フレームの長さを基準にすると、ハンドル位置もMT-07に比べて若干高めでライダー寄りに近くなっているのがわかります。

また、エキパイとフロントタイヤの後端との距離はTRACER700の方が長くなっています。

これはキャスター角がMT-07よりも1°寝かせてあるため。

こういう細微な変更によって直進安定性が増し、ロングツーリングも快適なTRACERとしてのキャラクターが形作られているのですね。

わりと大きさを感じるスクリーンは、手動調整式でウィンドプロテクションの効果が期待できそうです。

またMT-07のタンクサイドにあるラムエアのインテークがカウル内部にまとめられ、タンク容量も4リットル増の17リットルに。

元々大きめに見えるラジエーターも、シュラウドと一体化したカウルの中にすっきりと納まっています。

全体的にフロント周りは、ウィンドマネージメントが機能的にまとめら、アドベンチャーバイクとして最適化された印象を受けますね。

ウインカーもナックルガード下にきれいに収められていて、これはかなりカッコいいと思います。

タンクもホールド感のよさそうな形状でニーコントロールがしやすそうです。

ハンドル中央にはブレースがつているので、スマホなどのクランプに応用できるかもしれませんね。

メーターはMT-07と同じものが見やすい位置に収められているようです。

そしてインナーカウル右側には、12vDCソケットも設けられていますから、これは重宝するでしょう。

TRACER700仕様のCP2エンジン

MT-07⇒XSR700ではシートフレームに変更があったものの、エンジン諸元には特に変更はありませんでした。

ですが、面白いことにTRACER700ではエンジンに専用の変更があるようですです。

エンジン部分を両車で比較してみると、TRACER700に施された味付けのレシピがわかってきます。

MT-07 TRACER700
ボア×ストローク 80.0mm×68.5mm 80.0mm×68.6mm
排気量 688㏄ 689㏄
最大出力 54kW(73PS)/9,000r/min 55.0kw74.8PS)/9000rpm
トルク 68N・m(6.9kgf・m)/6,500r/min 68.0N・m(6.93㎏-m)/6,500rpm

※共にメーカーデータを参照
※トルクの単位に差異がありますが、両車の諸元にある通りに記載しています。

圧縮比は同じですがストロ-クが0.1mm伸びた分、排気量が1㏄だけアップし、馬力も1.8PS増強されています。

MT-07の持つ270°クランクエンジンCP2は、とにかく従順で扱いやすいことで定評がありますよね。

筆者も市場の際には、低速での粘り強さと「るーん」と伸びていくエンジンフィールは親しみやすく、乗っていてとても楽しいバイクだと感じました。

恐らくエンジンの仕様変更は、先述の車体重量増に伴うものだと思いますが、順行性能の向上が図られ、全体にツアラーとしての扱いやすさが高次元にプラスされているものと思います。

この辺りは現在MT-07を所有しているオーナーさんとしても体感してみたいところなのではないでしょうか。

シート高はXSR700と同じ

シート高も、どうやらMT-07よりTRACER700の方が高いくなっているようです。

諸元を見るとTRACER700のシート高は835mm。

なので、MT-07よりも30mmUPされていることがわかります。

シート835mmといえば、XSR700と同じ高さです。

数値だけを見ると確かに高めなのですが、XSR700では腿をまっすぐ下におろすことができたので、さほど足つきに困惑しないようになっていました。

足つきに関しては恐らくTRACER700でもこれに倣ってそうなっているのではないかと思います。

また、XSR700に乗って感じたことですが、コーナリングの切れ味に鋭さがプラスされていました。

腰高はコーナリングを楽しくするレシピの1つなのですね。

既にご覧いただいたように、TRACER700では直進安定性を高めるべくキャスターが1°寝ているので、腰高によってコーナーでは鋭さよりも安定性を求めた味付けなのだと思います。

さらに視線を下に移すと、サイレンサーエンドとホイール位置の関係に違いがあるのがお分かりになるでしょうか?

ホイールが若干後ろにあるように見えます。

よく見ると、スイングアームの形状にも変更がありますね。

諸元を見るとこれは明らかで、MT-07のホイールベースは1,400mm。

これに対して、TRACER700のホイールベースは1,450mm。

つまり、50mmほどロングスイングアームになっているんですね。

となると、積載時の安定感も増しているでしょうし、コーナーの切れ味や安定感も増していると思うので、トータルでMT-07を超える乗り味が期待できそうです。

機能美あふれるテールビュー

さらに視線をリア回りに移して見ましょう。

まずはTRACER900と共有されるテールライトに「らしさ」を感じますね。

また、パッセンジャーシートの座面がMT-07よりも大きくなっていて、タンデムステップも若干前寄りになっているのがわかります。

グラブバーもガッシリしたものがついていますが、機能的でコンパクトにまとめられていますよね。

これはサイドケースの装着を意識した設計になっているため。

ヤマハヨーロッパでは、

(片側)20リットルのTRACER700専用サイドケースがオプションとして用意されています。

キーセットも用意されていますから、これはかなり機能的。

キャンプツーリングが盛り上がりを見せる日本のバイクシーン。

先日キャンプツーリングを取材した際も、アドベンチャーバイクの多かったこと…。

っぱり日本にこそこのバイクは必要だと思うんです。

国内での発売には十分機は熟したと思うのですがどうでしょうヤマハさん!

 

実は日本で乗れないこともない

日本では正規取り扱いの無いTRACER700。

ネットで探してみると、独自のルートで輸入販売を手掛けるショップもいくつかあるようです。

実は今回、これらのショップに電話をかけて、実車をお見せいただけないかと交渉したのですが、なんと軒並みSoledout。

「基本的にお客様からご注文をいただいてから、お付き合いのある貿易業者さんに依頼する車両で、常時在庫はしていません。」

お電話のお答えは大抵そういお返事でした。

価格としては車両価格90万円~100万円弱といったところ。

MT-07より装備も充実しているので妥当な価格だと思います。

他の平行輸入車両と違って大方のパーツがMT-07と共有できるのはいいですね。

しかし、当然リコールやサービスキャンペーンなどメーカーの自主保障は対象外。

個人輸入したとしても、ガス検を通すのに相当な費用が掛かるので、現実的ではありません。

ですが、お伝えしている内容を見て何とか手に入れようとすれば、現在はこうしてネットで取り扱っていただける販売店を探すよりありません。

逆に言えば、それを知ったうえで、長い納期を待ってでも、手に入れようという方は何人もおいでになるわけです。

ちなみにTRACER900のシート高は850mm~865mm。

900の大きさも確かにカッコよくてあこがれるのですが、重い荷物をたくさん積んで低速でのんびり走りたいとき、日本人にはやっぱりTRACER700の方が利点も多くなると思います。

恐らく出せばヒット間違いなしのTRACER700。

欧州での発売から約2年、全てのパーツがすぐに手に入り、メーカー保証も受けられる正規輸入もしくは日本仕様の発売を多くのライダーが心待ちにしています。

TRACER700正規発売はあるのか?

新規開発で形もわからないバイクを予想するのとは違い、既に欧州で販売されている車両をいつ日本で?という問題ですよね。

近年は日本の規制基準がヨーロッパのものと同等になってきているため、今後TRACER700の正規発売があるとすれば、国内仕様として発売されるのという見方が強いようです。

MT-07系の共通プラットフォームであるXSR700も、欧州で2016年に先行発売され、国内仕様の投入は2017年11月と、国内発売までに1年以上のタイムラグがありました。

やはりこのタイムラグには、セールス的に国内の需要やタイミングを見極めることや、期待値をあげるねらいもあるようです。

実際ヤマハとしては、TRACER900もGTを含む新機種が発表になったばかりなので、このタイミングでの投入は得策ではないでしょう。

今年夏までの発売はまずないと思います。

当初XSR700は日本で作られたパーツを欧州に輸出し、現地工場で組み立てられる車両であったと聞いています。

TRACER700も同様に国内でパーツを生産・欧州工場で組み立てをする車両なのだそうです。

ヤマハの関係筋からの情報によると、ヤマハでは新たな生産ラインを用意している最中という情報もあります。

セローやSR400など、環境規制の強化で生産を終了させた車種のリバイバルもありますし、そのラインがTRACER700に向けたものなのか?

真実はまだまだ闇の中です。

さらに今後は同じプラットフォームのテネレ700の動向も気になりますよね。

両方が一気に出たとしたら、ヤマハファンとしては迷いに迷うところでしょう。

ただ、TRACER700も発表から既に2年経過していることを考えれば、テネレ700も欧州先行でタイムラグをもって国内投入され、TRACER700が先行投入されるのではないかと思います。

いずれにしても、ヤマハとしては国内仕様の投入タイミングには慎重なようです。

あるとすれば恐らく、TRACER700国内仕様は新型MT-07をベースとしてETC2.0を搭載。

11月に発表されて暮れのボーナス商戦をにらんでの発売というのが濃厚ですね。

サンタクロースかお年玉?

ヤマハファンとしては、良い子にしながらお金をためておくのがベストかもしれません。

筆者も今から靴下ぶら下げて寝ることにします。

TRACER700 写真参照元;https://www.yamaha-motor.eu/uk/products/motorcycles/sport-touring/tracer-700

TRACER700諸元

エンジン

エンジンタイプ 2気筒, 4ストローク 水冷, DOHC, 4バルブ
総排気量 689cc
ボア×ストローク 80.0 mm x 68.6 mm
圧縮比 11.5 : 1
最大出力 55.0 kW (74.8PS) @ 9,000 rpm
最大トルク 68.0 Nm (6.93 kg-m) @ 6,500 rpm
潤滑方式 ウエットサンプ
クラッチタイプ 湿式多板
イグニッション
方式
TCI
変速機構 常時噛合式6速

Chassis

フレーム形式 ダイヤモンド
フロントトレベル 130 mm
キャスター角 24.8º
トレール 90 mm
リアトラベル 142 mm
フロントブレーキ 油圧式ダブルディスク , Ø 282 mm
リアブレーキ 油圧式シングルディスク, Ø 245 mm
フロントタイヤサイズ 120/70 R17 M/C 58W (チューブレス)
リアタイヤ 180/55 R17 M/C 73W (チューブレス)

車体寸法

車長 2,138 mm
全幅 806 mm
全高 1,270 mm
シート高 835 mm
ホイールベース 1,450 mm
最低地上高 140 mm
総装備重量 196 kg
燃料タンク容量 17.0 L
オイル容量 3.0 L

参照元;ヤマハEU




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