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教習期間が最短2日へ

2018年6月、警視庁は道路交通法施行規則を改正する予定であると発表しました。

警視庁の発表内容

主な内容としては、原付2種免許(AT小型二輪)教習に際し、一日に受けられる技能教習コマ数の制限を見直すというもの。

現行の「道路交通法施行規則」では受講者の疲労を防ぐ配慮から、

•第1段階5時限中、1日あたり2時限まで
•第2段階3時限中、1日あたり3時限まで
•1日に受けられる合計の時限数は3時限まで

という制限が設けられいます。

今回の教習日数を短縮する改正にあたり、これにまでも警視庁では、受講者の疲労と教習効果に対する基礎研究が重ねられていたようです。

さらには2018年4月9日~5月8日まで、公に意見を集めることで、その利便性や注意すべき点などについて総合的に判断した結果、次のような改正内容が発表されました。


参照元;公安委員会資料「AT小型普通自動二輪免許に関わる1日の技能教習時間の上限等の見直しについて

つまり、連続で3時間以上実技教習を受けられないのは変わりませんが、一日の上限が4コマになることが大きな変更点です。

元々、普通免許保持者ならば学科が1時限で済むわけですから、AT限定なら最短2日間で免許教習を終えることが可能となるのですね。

教習内容に変化はあるのか?

最短3日間が、最短2日間に。

わずか1日の短縮ですが忙しい世の中、この一日の差はきっと多くの人に恩恵をもたらすことになるでしょう。

(ちなみにMTの場合はミッションの扱いに絡んでもう3時間増えるので、最低でも+1日となります。)

※本稿執筆は2018年6月20日、現時点では、警視庁発表内容が「予定」であることをご了承ください。

兼てから二輪業界団体は普通自動車免許に原付2種までを付帯させることを求めてきたわけですが、今回はそこまでの変更は盛り込まれていません。

今回の改正は教習水準を軟化させるようなことは一切なく、あくまで一日当たりのコマ数の上限の変更。

恐らく現状でも削り用のない内容になっているようですから、教習内容を軟化させなかったのは良いことでしょう。

いずれにしても、これが次の世代にバイクの楽しみをつなげていく良い布石になるよう、一介のバイクファンとして筆者も歓迎するところです。

改正の背景として

時の流れにつれ、モビリティーを取り巻く環境も大きく変化しています。

50㏄の窮地が125㏄には追い風に?

今回の改正予定の発表は、やはり50㏄クラスに対する需要の不振と、原付2種クラスをそれに代わるものとして期待する流れが背景にあります。

下の表は日本自動車工業会による、1980年から大方5年づつ、各年3月までの「二輪車保有台数」のうち、原付にフォーカスして表したものです。

原付1種
(50㏄以下)
原付第2種
(51~125㏄)
1980 8,794,335 2,281,006
1985 14,609,399 1,747,957
1990 13,539,269 1,517,228
1995 11,165,390 1,421,031
2000 9,643,487 1,337,395
2005 8,566,613 1,353,732
2010 7,448,862 1,511,440
2015 6,188,710 1,704,083
2016 5,899,276 1,717,092

参照元;日本自動車工業会

ご覧の様に、2005年を境に原付2種の保有台数が上昇していく中、50㏄の保有台数は猛烈に落ち込んで、底を知らずの状況が続いているのがわかります。

今や共に長年のライバル同士であるヤマハとホンダが、原付1種の製造について協働提携する時代。

メーカーも、顧客数が減り続ける中で環境規制の強化によるコスト増に追い打ちをかけられ、50㏄の存続については窮地に立たされているわけですね。

2018年春のモーターサイクルショーでは、この協働提携が「ホンダ製ヤマハジョグ」という形で具現化されました。

現車のプーリーケースに刻まれた「HONDA」の刻印を、筆者はヤマハブースで複雑な思いで見ていました。

50㏄の夢は125㏄に引き継がれる?

義務教育終了と共に就労するのが当たり前だった時代から、16歳で手軽に免許を取ることができ、安価な移動・運搬手段として50㏄は多くの人々に夢と可能性をもたらしてきた存在でした。

しかし、二段階右折の交差点で横に並んだロードバイクのサイクリストたちに直線で抜かされ、1300㏄の白バイに睨まれながら30㎞/hの法定速度を守る現代。

50㏄の魅力はあまりにも小さなものになってしまったように思います。

また、駐車禁止の取り締まりの強化と原油価格も高騰などによって、ますます原付二種の利便性と手軽さが多くの人に認められ、これが原付2種には追い風になりました。

50㏄の「文化」ともいうべきモンキーやカブの125㏄化は、やはり多くの人々に「原付125㏄時代」を予感させるものだと思います。

こうして主力の座を預かろうとする125㏄、彼らはこれから新しい世代のライダーたちにどんな夢をもたらしてくれるのでしょうか?

「ピンクナンバー」実用からの展開を

全体的に現象を続ける二輪の販売台数の中では125㏄は業界にとってやはり救世主的な存在。

スクーターは実用どまり?

(Kawasakiを除く)各メーカーは125㏄スクーターのラインナップを強化しています。

メーカーとしては、この125㏄の商機を逃さず、何とか新規顧客による他の排気量のバイク需要の掘り起こしを図りたいと必至です。

各販売店も125㏄スクーターキャンペーンを大々的に展開していますね。

しかしそんな期待をよそに、125㏄スクーターは実用利用にとどまり、新規購入者の趣味的バイクライフの展開には未だ至っていないというのが業界団体の味方のようです。

参照元;日本自動車工業会2018年4月9日ニュースリリース「2017年度二輪車市場動向調査の概要」

SNSでピンクナンバーが秘かなブーム

ですが、筆者の周りではAT/MTに関わらず、原付2種クラスを「ピンクナンバー」と呼び、実用以上の楽しみ方をするライダーが増えていて、これがなかなか面白そうです。

筆者の周りで「ピンクナンバー」を楽しむのは大型スーパースポーツバイクに乗るライダーがセカンドバイクとして増車するケースがほとんど。

彼らは、「ピンクナンバーツーリング」と称して125㏄ならではのツーリングを楽しんでいます。

いつもなら大型バイクで高速に乗って、飽きるほど通ったという近場の定番スポットに、いつもは通勤の足としている「ピンクナンバー」で行ってみる。

すると、近距離でもスペクタクルに富んだ多くの発見を楽しむことができ、今ではSSバイクそっちのけでハマっているのだといいます。

恐らくそれは、初めて原付に乗ったときのような、バイク本来のワクワク感を思い出すような感覚?

これにつられて、リターンライダーライダーになったという人がSNS上にじわじわと増殖中です。

中には「これなら私も」ということで、奥さんや息子さんがピンクナンバーに乗り出したりするケースもありますね。

125を新しい遊びのツールに

いずれにしても、こうして「身近に新たな楽しみを発見できるツール」として多くの世代にその価値観が認められていくことが、単なる足としての脱却策になるのではないでしょうか。

実用と趣味の2極化がはっきりしている今のバイク市場。

どちらかといえば125㏄は前者に属するものとして捉えられがちです。

筆者の周りで起きている小さな動きは、まだまだ統計に影響を及ぼすほど大きな数字にはならないのかもしれません。

とかく若い世代はバーチャルな世界にこもりがちだといわれますが、バイクは彼らをSNSの向こう側のリアルにつなげるツール。

利便性にプラスした125㏄ATならではの「新しい遊び」を提案することで女性や若い世代やの新たな需要にもつながるのではないかと思います。

125㏄ATのさらなるポテンシャル

125㏄AT=スクーター?

実はそれは違うんです。

ATで乗れるファンバイクがある

125㏄ATを紹介するホンダのホームページ上にはこんな文章がありました。

AT二輪車とは・・・ クラッチ操作を必要としないスクーターを中心とした二輪車です。
「オートマチック・トランスミッション、その他のクラッチ操作を要しない機構がとられており、クラッチ操作装置を有しない大型自動二輪車または普通自動二輪車」(道路交通法)をさします。

つまりAT免許でも、なんとカブにも乗れるんです。

クラッチ操作がなければ、ギアがついていても自動遠心クラッチがあればATなんですね。

筆者も知りませんでした。

「ピンクナンバーツーリング」の様に、ATで実用と趣味の両域をカバーするとなれば、クロスカブ110はその領域をかなり広範にカバーしてくれるでしょう。

 

AT免許で楽しめそうなファンバイクを期待するとき、自動遠心クラッチのラインナップを持っているホンダが優勢です。

ギア操作があってもクラッチ操作がなければ、小気味よいMT的な走りを「面白い」と思う人もいるはず。

もちろんカブもクロスカブも面白いわけですが、今回の免許取得日数の短縮化が効果を発揮すれば、125㏄ファンバイクのラインナップも増えるのではないでしょうか?

他メーカーへの波及を妄想する

ここからは筆者の妄想エンジン全開です。

例えばAT免許最短2日化にあやかって、グロムやモンキーにも自動遠心クラッチのついたタイプが出るのはどうでしょう?

となれば、KawasakiさんもZ125をどうにかしてくるかもしれませんね。

そんな風にもし、125㏄ファンバイクでピンクナンバーの楽しみを広げてい行けるならば、他のメーカーさんだって面白いものを出してくれるはず。

例えば、80年代の後半のヤマハさんは、

TDR250をスケールダウンしたTDR50/80というバイクをラインナップしていました。

筆者も大学時代に散々乗り回したバイクですが、これは本当に乗りやすくて楽しいバイクです。

『モンキー50が125㏄になるのなら、こういう面白いバイクが125㏄になってもいいじゃないか。』

兼ねてからそう思っていたので、「それをAT免許で趣味性のある125㏄ファンバイクにするなら?」

そう考えたときにヤマハがかつて2009年の東京モーターショーに出品していたY.C.A.Tというパワーユニットが思い起こされました

このY.C.A.Tは、カンボジアでLEXAMというモペットバイクに搭載されたA.S.E.A.N.向けパワーユニットで、

クランクケース内にV ベルト機構を持ったコンパクトなATパワーユニットとなっています。

ギアや電子機構を持たない分、ホンダのDCTより単純で軽そうなユニットですよね。

かつてのTDR250は、今でいうアドベンチャーバイクの先駆けのようなバイク。

それをスケールダウンしたのがTDR50/80でしたから、今でいうならTRACERなどに相当するでしょか?

とすれば、これをスケールダウンした、Y.C.A.T付きピンクナンバー・トレーサー125で「ご近所アドベンチャー」?

出たとすれば思わず買ってしまいそうです。

調子に乗ってこのノリで考えれば、スズキさんにもかつて人気を博したストリートマジック50/110がありますよね。

ストマジの4スト125㏄版?

これ4が出たら、125㏄ATクラスはかなり賑やかなことになるでしょう。

こんな風に125㏄ATで次の世代に新しい「遊び」を提案してもらいたいと考えるのは、きっと筆者だけではないと思います。

たわいない妄想ですが、メーカーさんにはこんな風に昔取った杵柄をフルに活かしてほしいものです。

原2免許最短2日への課題

はじめにお伝えしたように、普通自動車免許を保持している人ならば、原付2種免許(AT小型二輪)教習を最短2日で終えることができるようになるわけです。

休憩を挟んで4次元詰め込み。

疲労への影響として警視庁は問題なしと見たようですが、問題はほかにもあるようです。

つまり、教習が2日でできると言っても実際は、自動車学校側にそれをカバーできるほど原2シミュレーターが足りていないという問題があります。

筆者が聞いたところによると、このシミュレーターはシステム込みで軽く1千万はするのだとか。

近年ではだいぶ簡素化され、導入もしやすくなっているといいます。

しかし筆者の近隣教習所に聞いたところ、現に今でもシミュレーター待ちをすることが多く、3日で教習を終えるのは事実上不可能な状況のようです。

導入しやすくなったとはいえ、今回の「最短2日化」でシミュレーターを新たに増備する教習所がどれだけあるかは未知数。

実際に2日間で原付2種免許(AT小型二輪)教習を終えられるかどうかは、教習所次第という面もあるわけですね。

まとめ

いろいろ課題はあるとはいえ、需要を反映したせっかくの改正。

これは多くの方にチャンスとして活かしていただきたいものです。

バイクの文化がこれからも長く続いていくには、125㏄でエントリーしてくる人たちを応援することはとても大事なこと。

ひとまずSS乗りのピンクナンバーツーリングの様に、経年ライダーが新しい遊び方を見せていくというのも一考ですね。

「おやじたちがピンクナンバーで何か面白いこと始めてるらしいぞ?!」

SNSなどでそれが拡散し、125㏄ATからエントリーしてくる新しいライダーの誕生と、彼らのバイクライフの発展に知らず知らず貢献できていたら面白いと思います。

恐らく、「教習日数がたった一日減ったぐらいでなんだ?」という批評的な声もあるかもしれません。

ただ、批判を投げて終わるのではなく、

  • 何か新しい動きがあったときに、そこから何が生まれてくるのか?
  • どうしたら盛り上がるのか?

そうしたことをいろいろ考えながら発信することは、決して不毛なことではないと思います。

せっかくのインターネットメディア。

みなさんののアイディアがたまたまメーカーさんの目に留まって、「あれ?これ俺が考えたことじゃん」なんてことが起きたら面白いですよね。

なにはともあれ、今回の教習最短2日化が、少しでもバイク環境にとってプラスになることを期待しましょう。




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