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バイク用レインウエアのお手入れ方法と機能的な着こなしを紹介します

バイク雨の日あるある

さて、これから雨のシーズン。

午前中の晴れ間に誘われて出かけたら、午後に思いっきり降られてしまったり…。

ありますよねぇ。

おまけに久しぶりに着たレインウエアがなぜか浸水。

全然役に立たなかったということってないですか?

そんなこんなで、「カッパって、買い替えるの高いんだよなぁ」と悩んでいる方。

ちょっと待ってください!

そのカッパまだ十分使えるかもですよ。

今回はレインウエアがちゃんと撥水して長持ちする方法をお伝えしていきます。

レインウエアが撥水する仕組み

「表面に防水スプレーが塗ってあって、単にそれが取れてしまったから浸水する?」

そう思っている人も多いのではないかと思うのですが、実はレインウエアの撥水性が落ちる原因は単にそれだけではありません。

レインウエアにもいろいろありますが、メジャーブランドのレインウエアには、生地の構造自体に撥水性を持たせているものが多くあります。

例えば、私が愛用しているRSタイチのドライマスターの場合はこんな感じ。


繊維のきめがきれいに揃っているのがわかりますね。

実はレインウエアは何層か生地が重ねられていて、防水皮膜層の上に表地があり、その表地には「撥水基」と呼ばれる、目には見えないくらいのケバケバが立ち並んでいるんです。

縮尺とかアレですが大雑把に言うと、


この青いボールを水滴だとして、こういうケバケバにはじき返されているというイメージですね。

グレードの高いタイプになると、表からはこうやって水滴をはじいて、繊維の隙間から内部の湿気をしっかり逃がしてくれるようになっているわけです。

それから、例えば白い服を着て普通にバイクを走らせただけでも結構黒く汚れて、しかも落ちにくいですよね。

これは大気中、特に道路上には、非常に細かな汚れ物質がたくさん浮遊しているためで、雨天走行ではこれがレインウエアの表面に堆積し、雨と一緒に繊維に進入しようとするんです。

最悪こうした汚れを放置した場合、撥水基のケバ立ちが弱くなって撥水機能が低下し、しかも繊維の隙間が塞がれて、最終的に透湿機能が阻害されるわけです。

たまに、寒さよけにレインウエアを使っている人を見かけますが、寒さ的に緊急的な場合を除き、寒さよけにレインウエアを着用するのは避けた方が良いでしょう。

これは上記の理由から、ウエアの表面に無駄に汚れを付けないための配慮ですね。

また、レインウエアを強く引っ張ったり、圧力をかけるのは方面だけでなく内側の防水層を壊してしまう恐れがあるので、生地に負担をかけないことも重要です。

つまり、レインウエアのメンテナンスでは、大きくまとめて、

というが3つがポイントになります。
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レインウエアは日頃からこうやって使おう

前章を踏まえ、レインウエアに必要な日ごろお手入れとしては、

  1. 雨天走行で使用した後には、ちょっと固絞りにしたタオルで表面の汚れをふき取る。
  2. 厚手のハンガーにかけて、風通しの良い日陰で十分に乾燥させる。
  3. ハンガーにかけた状態で保管する。

というのが基本になります。

これをまめにするだけでも、付着した汚れを生地に定着させず、雑菌によるカビなどの繁殖を防ぐことができるでしょう。

特にハンガーにかけて保管するというのは、重要なポイント。

これは、畳んだ後に袋にギュッと圧力をかけて収納した状態にしておくと、内部の防水層を傷めたり、折りたたんだ部分の撥水基の機能を低下させる恐れがあるためです。

レインウエアの生地には極力圧力をかけない方が長持ちするんですね。

なので、スクーターのメットインスペースやツアラーバイクでもシート下のスペースに押し込んだまま放置しておくと、熱の影響を受けて変質する恐れがあるので注意が必要です。

走行の予定がない時にはなるべくハンガーで保管し、雨天走行を終えた時は面倒でも、できるだけ間を置かずに上の3つのケアを行うのがレインウエアに優しい使用方法ですね。

汚れがひどい場合は手洗いで

汚れたレインウエアを洗う場合は、必ずタグにある「洗濯表示」に従う必要があります。

ドライマスターもそうですが、たいていのレインウエアの洗濯表示は「手洗い」が指定されていることが多いので、面倒だからと洗濯機に放り込んではダメですよ。

あくまで繊維の構造が防水を保ってくれていることを念頭において、優しく手洗いするのが原則。

最悪、表面の防水コートが飛んでしまったり、縫製面の裏側の防水テープなどが剥がれたりするので、機械洗い・機械乾燥は厳禁です。

今回は先ほど登場のRSタイチのドライマスターでやってみました。


まずは風呂場で水洗い。

前章で「日ごろからマメなケアを」と言った私ですが、実はすごくズボラな性格。

ずっと放置したことで結構汚れを定着させてしまい、なかなか落ちないレベルになっていたんです。

所々頑固に黒ずんだところなどがあり、手押し洗いだけだと簡単には落ちないようでした。

そこで、手押し洗いをした後、中性洗剤を使って、極々柔らかいブラシでソフトに根気よくブラッシング。


あくまで強くこすらないのがコツですね。

それからこれはRSタイチさんに伺ったのですが、中性洗剤は「界面活性剤」を多く含んでいるものだと、防水層を傷める恐れがあるのでNGだそうです。


とはいえ、探しても専用洗剤が見当たらなかったので、どういう洗剤が良いのかも伺ったのですが、これはジーンズコレクターが風合いを育てていくときに使うような、無添加の中性洗剤がよいのだそうです。

※洗剤の使用について。(2019年9月17日追記)
基本的にレインウエアを洗剤で洗うことはメーカーが推奨しているものではありません。

しかしながら、「もし洗剤を使うのであれば?」ということについてRSタイチの広報の方に伺い、本文の通り

「もし洗剤を使うのであれば、無添加の中性洗剤でデニム愛好者が使うデニム専用洗剤の使用を。」

というご回答を得てご案内申し上げた次第です。

なお、洗剤の使用が心配な場合には洗剤をご使用にならず、RSタイチレインウエアメインテナンス公式ページに従ってお手入れをされますようお願い申し上げます。

 

あとは繊維の隙間に洗剤が残らないように注意しながら良くすすぎをして、


ハンガーにかけてしっかり乾燥させます。

この際、絞るのは厳禁。

生地を優しく抑えるように水をきり、大まかな水分を良くふき取ってください。

そして直射日光を避け、必ず風を通しの良い日陰で干すのがポイントです。


お風呂場に乾燥機能があるようであれば、それも有効でしょう。

撥水性が落ちた場合の復活法

乾燥させた後はすぐに撥水スプレーをかけて処理するだけでも良いのですが、私の場合は先述のとおり、お手入れを怠ったまま放置したため、実は撥水性もかなり落ちていました。

そこで、かつてRSタイチに務めていた友達に聞いた方法を試してみることにします。

アイロンが有効ってご存知でした?

初めにお伝えしたように、繊維の構造で撥水性を保つタイプのレインウエアは撥水基のケバケバがちゃんと立って並んでいることが大切なんですね。

なので、「撥水がいまいちだな」と感じた時には、アイロンを使うことで、撥水基のケバケバをしっかり立たせ、撥水性を復活させることが可能なんです。

やり方としてはまず、アイロンを用意して、


アイロンの温度は最も低い温度(低80-120°ぐらい)に設定。

必ず当て布をして、あまり抑え込まず、

軽い力でなでるようにアイロンをかけていきます。

特に注意が必要なのは、ファスナーやドローコードなどの段差部分。


ここにあまり強い力をかけてアイロンすると、コーティングや裏のシームテープを犯してしまうので気を付けてください。

これだけでもかなり撥水性は復活すると思いますよ。

仕上げは撥水スプレー

市販の撥水スプレーには、フッ素系とシリコン系のものとがあります。

透湿機能を持ったレインウエアの場合、湿気の通路をふさがないために、フッ素系の撥水スプレーを使用してください。


今回はGOLDWINのフッ素系撥水スプレーを購入してみました。

ここでポインですが、生地の機能を念頭に置いて、1ヶ所に厚塗りをするのはNG。

全体にまんべんなく薄くスプレーしていき、4~5回に分けて塗布するのがコツです。


※ 撥水材を吸い込むと人体に有害ですので、スプレーする場合には、密室で行うことを絶対に避け、必ず換気しながら行うようにしてください。
※※ また、スプレー中は、くわえタバコや蚊取り線香等、火気からは十分に遠ざけて引火を防いでください。

これまでお伝えしたの工程を経てしっかり乾燥させた後、風呂場でシャワーをかけてみました。

この写真でわかりますでしょうか?

しっかりと撥水性が復旧しています。

正しく装着して、レインウエアの機能を引き出そう

こうして撥水性を復活させた後は、その機能をしっかりと引きだして、雨天のライディングも快適に過ごせるようにしたいですね。

その為に、ライディングウエアの装着にもポイントがあります。

吸湿と汗の発散に優れたインナーを組み合わせましょう

私が持っているRSタイチのドライマスターのように、今のレインウエアには、放湿機能を持ったものが多くなっています。

放湿機能を高めて、内部をできるだけさらっとした状態に保つために、レインウエアの下に着るもにも一工夫するといいでしょう。

例えば下着やTシャツは、吸湿発散性の良い高機能のもの、

或いは、クールドライスーツなどを着るといいでしょう。

こうしたインナーを組み合わせることで、レインウエア内をドライに保ち、雨天のライディングを快適にすることができるのではないかと思います。

レインウエアの正しい着こなし

まず、ファスナーやボタン・面ファスナーなどは、しっかりと閉めて留めましょう。

特に首周りがルーズになっていると、その隙間から浸水しやすくなり、そのジメジメが不快の元になります。

また、裏地が飛び出していると、雨の流路ができてしまいます。

上の写真のように、インナーは中にしまって、しっかりと袖口を閉めましょう。

また、グローブの装着方法によっては、停止時に袖から伝った水がグローブ内に進入する恐れがあります。

写真のようにウエアの袖口がグローブの上に来るようにした上でしっかりと袖を閉めることで、グローブ内への浸水を防ぐことができます。

※今回はRSタイチのハーフグローブを使用していますが、グローブのタイプによってこのあたりの方法が違うこともあると思います。
ですので、袖口に関してはお手持ちのグローブに合わせた工夫をお願いします。

さらに、ウエアの表面にシワやタワミが起きないようにするのもポイントです。

写真ではちょっと大げさにやっていますが、シワやタワミの部分に水が溜まって、風の受け方によってはその溜まった水がフロントファスナー等から浸水してくる恐れがあります。

レインウエアを来てバイクに跨った時には、今一度そのあたりをチェックですね。

まとめ

低い降水確率にもかかわらず振られてしまう場合もよくあることですね。

また、通勤・通学、あるいはお仕事などで、雨と解っていてバイクで出かけざるを得ない場合もあるでしょう。

いづれにしても、レインウエアはライディングをする上でのマストアイテム。

なので、正しい知識と日ごろのお手入れで、お手持ちのレインウエアを長く上手にお使いいただけたらと思います。

また、今回はレインウエアを中心にお伝えしましたが、

防水シューズや、

ブーツカバー

レイングローブなどの備えがあると完璧でしょう。

装備をしっかり整えて、雨のシーズンもぜひ安全運転でお出かけください!

取材協力;RSタイチ

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