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弾薬箱をパニアケースに?DIY魂とホンダ純正の凄さを語る

最近、朝起きると腰が痛むことが増えてきました。長年のライディング姿勢のツケが回ってきたのか、それとも単なる運動不足か。それでも愛車BROSのエンジン音を聞くと元気になるのだから、バイク乗りというのは因果な生き物です。こんにちは、モーターサイクルナビゲーターのライター、田中恒一です。

さて、今回は非常に興味深い、そしてある意味「漢(おとこ)らしい」カスタムの話題が入ってきました。なんと、ホームセンターで手に入る材料と弾薬箱(アモカン)を使って、自作のパニアケースを作り上げたという猛者が現れたのです。費用はたったの100ドルから200ドル程度。日本円にして1万5千円から3万円といったところでしょうか。

私の愛車遍歴を振り返ると、30代で乗っていたX4や35歳で手に入れたST1300パン・ヨーロピアンなど、積載性に優れたバイクには何度も助けられてきました。現在はNC750X(DCT)という、タンク部分が収納スペースになっている稀代の名車に乗っていますが、やはり「荷物が積める」というのはコミューターとしての正義です。今回のDIYカスタム、元業界人の視点とホンダ党としてのこだわりを交えて紐解いていきましょう。

結論:工夫は素晴らしいが、やはり「純正」は偉大である

まず結論から申し上げますと、このDIY精神は素晴らしいです。ありあわせの道具(万力、ハンマー、電動ノコギリ)を使って、自分だけの装備を作り上げる。これぞまさに「ガレージのトニー・スターク」状態と言えるでしょう。しかし、25年間バイク業界に身を置いた人間として言わせていただくと、このカスタムは「安全性」と「快適性」の面で大きな課題を含んでいます。それを理解した上で楽しむのが、大人の嗜みというものです。

業界視点で見る「ここがポイント」

1. 強度と振動の終わらない戦い

投稿者は「見た目に反して安定している」「揺れもしない」と語っていますが、取っ手の部分が低速時にうるさいとも述べています。ここがまさにDIYの限界であり、愛嬌でもあります。私が以前乗っていたST1300のパニアケースは、高速巡航でも微動だにせず、風切り音も計算され尽くしていました。ホンダの技術屋たちが何千時間もかけてテストした純正品は、振動対策の「沼」を完全にクリアしています。金属同士が触れ合う部分にダンパーが入っていないと、長期的には金属疲労でステーが折れる可能性があります。取っ手がカチャカチャ鳴るのはご愛敬として「草」が生えるポイントですが、構造的な強度は常に点検が必要です。

2. コストパフォーマンスとリスクのバランス

総額200ドル以下というのは驚異的です。大手メーカーのパニアケースシステムを新品で揃えれば、ステー込みで10万円を超えることは珍しくありません。しかし、その価格差は「安心料」でもあります。万が一、走行中にケースが脱落したら大事故に繋がります。ホームセンターのボルトやアングル材は、バイクの激しい振動に耐えるようには設計されていません。このDIYは、コストを抑える代わりに、定期的な増し締めや亀裂のチェックという「手間」というコストを払い続ける必要があります。その手間さえも愛おしいと思えるなら、このカスタムは「尊い」と言えるでしょう。

3. 実用性という名の正義

「パーカーや魔法瓶、ブリトーまで運べる」という記述には、思わずニヤリとしてしまいました。私が16歳でスーパーカブ50に乗り始めた頃、前カゴに何でも放り込んで走っていた感覚と同じです。現在はNC750Xで通勤していますが、ラゲッジスペースに荷物を放り込んで走り出す瞬間の気楽さは何物にも代えがたいものがあります。バックパックを背負いたくないという投稿者の気持ち、痛いほど分かります。背中の自由は、ライディングの自由そのものですから。見た目は無骨でも、使い手のニーズに合致していれば、それは立派な機能美です。

費用の目安と現実

今回のケースでは、友人の工具を借りたことで工具代はタダだったようですが、日本で同様のことを行う場合の目安です。

合計でも2万円でお釣りが来る計算です。ホンダ純正のトップボックスやパニアケースが高価なのは、それがバイクの一部として設計されているからですが、この安さは魅力的ですね。

自作パニア導入前のチェックリスト

もし読者の皆様の中に、同様のカスタムを検討されている方がいれば、以下の点は必ずチェックしてください。

よくある質問(FAQ)

Q: こういった自作ケースは車検に通りますか?
A: ケース自体が「積載物」とみなされるか、「固定部品」とみなされるかで変わります。工具を使わないと外せないような固定方法(ボルト止めなど)の場合、車幅が変われば構造変更が必要です。簡易的に脱着できるなら積載物扱いになることが多いですが、検査員の判断によります。

Q: ホンダ車に似合うと思いますか?
A: ハンターカブ(CT125)や、無骨なアドベンチャースタイルには抜群に似合うと思います。しかし、私が愛するNC750Xのような洗練されたデザインには、やはり純正のフィット感が一番です。ホンダのデザインは機能と融合していますから。

Q: 走行中に蓋が開いたりしませんか?
A: 弾薬箱は本来頑丈なロック機構を持っていますが、振動でどうなるかは未知数です。南京錠や追加のバンドで固定するのが「プロの老婆心」というものです。

どんなバイクであれ、オーナーが使いやすくカスタムするのは楽しいものです。しかし、ホンダが提供する「優等生」な純正品がいかに凄い技術の結晶であるかも、忘れないでいただければと思います。

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