週末に愛車のBROSを磨き上げ、その金属的な輝きを眺めながら飲むブラックコーヒーが何よりの至福の時間です。こんにちは、モーターサイクルナビゲーターのライター、田中恒一です。
さて、今回は海外の掲示板で見かけた、非常に現代的かつ悩ましい相談について、私の経験と少しばかりの偏愛を交えて回答していきたいと思います。「初めてのバイク選びで、中古のHonda Rebel 500(レブル500)と、新車のCFmoto 450CLCで迷っている。予算はどちらも5,000ユーロ(約80万円)」という内容ですね。
CFmoto、最近勢いがありますよね。デザインも洗練されてきていますし、新車という響きは甘美です。しかし、元業界人として、そして何よりHondaというメーカーの「真髄」を知る者として、この問いに対する答えは一つしかありません。
目次
結論:迷うことなく中古のHonda Rebel 500を選ぶべき
結論から申し上げますと、最初の1台であれば間違いなくRebel 500を選ぶべきです。理由は単純で、「バイクは走らせてナンボ、維持できてナンボ」だからです。新車の中華クルーザーが悪いとは言いませんが、最初の一台における「安心感」というスペックにおいて、Hondaに勝るものはありません。
私が現在所有しているNC750Xもそうですが、Hondaのバイクは面白みがないと言われることがあります。しかし、それは裏を返せば「いつ、誰が乗っても、どんな状況でも100点を出し続ける」という驚異的な性能なんです。この「当たり前の凄さ」こそがHondaの本質なのです。
業界視点で見る「Hondaを選ぶべき」3つの理由
1. 「優等生」という名の最強の耐久性
私は16歳でスーパーカブに乗り始め、X4のような重量級、そして今のNC750Xに至るまで数多くのHonda車を乗り継いできました。その中で共通しているのは、エンジンの堅牢さです。Hondaのエンジンは、オイル交換さえしていれば壊そうと思っても壊れないレベルで頑丈です。この耐久性はもはや尊いと言っても過言ではありません。
CFmotoも品質は上がっていますが、数年後、数万キロ後の耐久性は未知数です。初めてのバイクでトラブル続きになっては、せっかくのバイクライフが台無しになってしまいます。Hondaの信頼性は、過去の膨大なデータと技術屋たちの魂によって裏打ちされています。
2. パーツ供給とアフターサービスの圧倒的差
業界に25年いたからこそ言えますが、バイクは「買って終わり」ではありません。むしろそこからが始まりです。転倒してレバーを折ったり、消耗品を交換したりする際、Hondaなら世界中どこでもパーツが手に入ります。私の古いBROSでさえ、主要部品はどうにかなります。
一方で、新興メーカーの場合、部品待ちで数ヶ月乗れないという事態も珍しくありません。修理できない期間が長引くなんて、正直言って草が生える状況です。乗りたい時に乗れる、これが最も重要な性能なのです。
3. 資産価値の維持(リセールバリュー)
もし貴方が2年後に「もっと大きなバイクに乗りたい」あるいは「別のジャンルに乗りたい」と思った時、中古のRebel 500なら、買った時とそれほど変わらない価格で売れるでしょう。Hondaの人気モデルは値落ちしにくいのです。
対して新興メーカーの新車は、登録した瞬間に価値が激減します。これは経済的な観点からも、Rebel 500の方が賢い選択と言えるでしょう。私のX4も、手放す時は驚くほど良い値段がつきました。
維持費と費用の目安
予算5,000ユーロ(約80万円)という枠組みで考える場合、購入後の維持費も考慮に入れる必要があります。
- 車体価格:両者ともほぼ同額。
- 初期メンテナンス費:中古Rebelの場合、タイヤや油脂類の交換でプラス5〜10万円程度見ておくのが無難です。
- ランニングコスト:Rebel 500の燃費は非常に優秀です。私のNC750X同様、財布に優しい相棒になるでしょう。また、Rebelはカスタムパーツも豊富なので、自分好みに仕上げるカスタム沼にハマる覚悟も必要かもしれませんね。
中古Rebel 500購入時のチェックリスト
中古車を選ぶ際のポイントを、プロの視点でまとめました。これらを確認すれば、ハズレを引く確率はぐっと下がります。
- フォークシールの確認
- フロントフォークからオイル漏れがないか。指で触ってオイルがついたら要注意です。
- タンク内の錆
- キャップを開けてライトで照らし、錆がないか確認してください。Hondaの塗装は高品質ですが、保管状況によっては錆びます。
- エンジンの始動性
- 冷えている状態から一発でかかるか。Hondaのエンジンなら、セル一発で目覚めるのが基本です。
- 消耗品の状態
- タイヤの溝、ブレーキパッドの残量、チェーンの錆。これらが交換時期なら、値引き交渉の材料になります。
よくある質問(FAQ)
- Q: 他におすすめのクルーザーはありますか?
- A: 同じ価格帯なら、少し年式は古くなりますがKawasaki Vulcan S(バルカンS)も良い選択肢です。スポーティな走りが楽しめます。ただ、Rebelの足つきの良さと取り回しの軽さは、初心者にとって神レベルの恩恵があります。
- Q: CFmotoのデザインがどうしても好きなんですが...
- A: デザインで選ぶのもバイク選びの醍醐味です。その気持ちは否定しません。ただし、「苦労を買う」覚悟が必要です。近くに信頼できるディーラーがあり、部品供給のルートが確保されているなら、挑戦するのも一つの道です。
- Q: 500ccだとすぐに飽きませんか?
- A: 私がかつてX4(1300cc)に乗っていた時、確かにパワーは麻薬でした。しかし、日本の道路事情や日常使いを考えると、ミドルクラスが最もバランスが良いのです。NC750Xに行き着いた私が言うのですから間違いありません。使い切れるパワーこそが、ライディングの楽しさを教えてくれます。
バイク選びは悩み多きものですが、その悩んでいる時間すらも楽しいものです。貴方が選んだ相棒が、最高の思い出を作ってくれることを願っています。まあ、私なら間違いなくHondaを選びますけどね。

