休日の朝、ガレージでコーヒーを飲みながら愛車のホイールを磨く時間が何よりの至福です。おはようございます、モーターサイクルナビゲーターのライター、田中恒一です。
長年バイク業界に身を置き、16歳のスーパーカブから始まり、若かりし頃はCB250RSやCB-1、そしてX4といった「ホンダの直4・直6の系譜」を乗り継いできた私にとって、今回のニュースは単なる新型車の発表以上の意味を持ちます。そう、巷で話題となっている「2026年モデル CB500スーパーフォア」のカラーバリエーションについてです。
現在はNC750X（DCT）という、ある意味で「ホンダの実用哲学の極致」のようなバイクをメインに据えつつ、足元のカブと、鼓動感を楽しむBROSという3台体制で落ち着いていますが、今回のCB500SFの報せには、正直なところ平静を保っていられません。この優等生が本気を出した時の「色気」には、抗えない魅力があるからです。
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結論：これは単なる塗料ではない、ホンダの歴史そのものだ
今回リークされているカラーリングを見ると、ホンダがこのモデルにどれほどの覚悟を持っているかが分かります。私がかつて所有していたCB-1の頃のようなシンプルさとは一線を画し、かといってX4のような威圧感とも違う。まさにCB400SFが築き上げてきた「ニッポンのスタンダード」を、グローバルな500ccクラスで昇華させようという気概を感じます。
特に伝統のトリコロールや、深みのあるキャンディレッドの質感は、画像越しでもその塗装の厚みが伝わってくるようです。私の経験上、ホンダの赤は紫外線による退色にも強く、長く乗るほどに愛着が湧く色です。「優等生」と揶揄されることもありますが、塗装品質一つとっても妥協しないその姿勢こそが、最高の性能だと私は信じて疑いません。
業界視点で見る、このカラーとモデルが「買い」である3つの理由
1. 直4エンジンという「底なし沼」への入り口
昨今は並列2気筒が主流の時代です。私の愛するNC750Xも、BROSも2気筒です。しかし、CB500SFはあえての4気筒（と予想されています）。この時代に直4を、しかもミドルクラスで出してくるホンダの技術屋魂には頭が下がります。
かつて私がCB-1で味わった、カムギアトレーンのような金属音と突き抜けるような高回転の伸び。あの感覚が、最新の環境規制をクリアした上で蘇るのです。このエンジンフィールと美しいカラーリングの組み合わせは、一度ハマったら抜け出せない直4サウンドの沼と言えるでしょう。2気筒の実用性に慣れた今の私でさえ、あの「フォーン！」という快音を想像すると心が躍ります。
2. 普遍的な美しさと「尊い」デザインバランス
X4に乗っていた頃、その巨大な車体と直線の速さに酔いしれましたが、取り回しには苦労しました。一方で現在のNC750Xは極めて合理的です。しかし、CB500SFのデザインはその中間にある「オートバイの理想形」を体現しています。
タンクからテールに流れるライン、エンジンの造形美を際立たせるカラーリングの配置。奇をてらわないその姿は、流行に左右されず10年後も美しいと思えるはずです。若者言葉を借りるなら、この普遍的な造形美はまさに尊いの一言に尽きます。ホンダのデザインは地味だと言われがちですが、長く付き合うにはこの飽きのこないデザインが正解なのです。
3. 所有欲を満たす「クラスを超えた質感」
私がかつて所有していたST1300パン・ヨーロピアンは、カウルやパニアケースの塗装品質が四輪車並みでした。今回のCB500SFのカラーバリエーションを見る限り、そのクラスを超えた質感が500ccクラスにも落とし込まれていると感じます。
光の当たり方で表情を変えるメタリックやパールの使い方は、所有者だけがガレージでニヤリとできる特権です。スペック表には載らない「塗装の深み」にお金を払う価値は十分にあります。
導入に向けた費用の目安
業界の動向と部材価格の高騰を鑑みると、この品質で出てくるならば価格は安くはないでしょう。
- 車両本体価格の予想：115万円〜130万円前後
- 諸費用：約10万円
- 初期カスタム（ガード類など）：約5万円
おそらく乗り出しで140万円近くになる可能性があります。CB400SFの最終型が高騰したことを考えれば妥当ですが、500ccクラスとしては強気な設定になるかもしれません。しかし、リセールバリュー（再販価値）の高さもホンダ車の特徴ですので、長い目で見れば決して高い買い物ではないでしょう。
購入前に確認すべきチェックリスト
もしこの車両を検討するなら、以下の点は実車で確認が必要です。
- 足つき性：シート高だけでなく、サイドカバーの張り出し具合（足の開き）を確認してください。X4のように幅広だと数値以上に足つきが悪くなります。
- 塗装の仕上がり：タンクのフチや溶接痕の処理。ここが綺麗なら「当たり」のモデルです。
- 重量バランス：引き起こしを試してみてください。ホンダのマスの集中化技術は優秀ですが、4気筒エンジンのヘッド周りの重さは要確認です。
- E-Clutchの有無：最新技術が搭載されるかどうかもポイントです。DCT乗りの私としては気になるところです。
よくある質問（FAQ）
Q：大型免許を持っていますが、あえて500ccを選ぶメリットは？
A：日本の道路事情における「使い切れる楽しさ」です。X4のようなリッターオーバーは自制心が必要ですが、500ccならエンジンの美味しいところを公道で味わえます。回して走る歓びは格別です。
Q：NC750Xと比べてどうですか？
A：実用性と燃費、そしてラゲッジスペース（メットイン）ならNC750Xが圧倒的に有利です。しかし、官能性能や所有する喜び、そして「バイクらしさ」を求めるならCB500SFでしょう。こればかりは理屈ではありません。
Q：メンテナンスは大変ですか？
A：ホンダの耐久性は世界一です。「オイル交換さえしていれば壊れない」というのは、私の25年の業界経験でもあながち嘘ではありません。4気筒なのでプラグ交換などの工賃は単気筒よりかかりますが、それを補って余りある信頼性があります。噂レベルの故障リスクなんて、ホンダ車の前では草が生えるほど無意味な心配です。
長くなりましたが、2026年のCB500SF、これはホンダ党として見逃せない一台になりそうです。私のガレージのBROSと入れ替えるべきか...いや、NCを下取りに...などと妄想するだけで、今夜の酒が美味くなりそうです。