結論:スバルWRXの2.5L水平対向4気筒を積むバイク「MadBoxer」は、SUBARUが開発した市販車やコンセプトモデルではありません。ニュージーランドの工具職人Marcel van Hooijdonkが約5年をかけて製作した、実走可能なワンオフ・カスタムです。
2009年にIan McElroyがSolidWorksで描いた「Kickboxer」という別のデザイン構想に触発され、Marcelが自分の構造で実車化しました。CGだけのKickboxerと、完成してニュージーランドで公道登録されたMadBoxerを混同しないことが重要です。
目次
MadBoxerの基本情報
| 製作者 | Marcel van Hooijdonk(ニュージーランド) |
|---|---|
| 区分 | 個人製作のワンオフ。SUBARU純正車ではない |
| エンジン | スバルWRX系2.5Lターボ・水平対向4気筒 |
| 変速機 | トルクコンバーター付き2速オートマチック |
| 変速操作 | 左ハンドルのスイッチで電気的に切り替え |
| 車体 | 専用フレーム、前後片持ち構造、ハブセンターステアリング |
| 登録 | 製作地ニュージーランドで公道登録されたと現地取材が報道 |
KickboxerとMadBoxerの違い
Kickboxerは、Ian McElroyが2009年にSolidWorksで発表したスバル水平対向エンジン搭載バイクのデザイン・コンセプトです。公表されたCAD画像は大きな注目を集めましたが、その時点では量産車でも完成車でもありませんでした。
MadBoxerは、Kickboxerから着想したMarcelが、手元の部品、強度、加工、登録要件に合わせて設計し直した実車です。エンジン配置という発想は共通していても、完成車を「Kickboxerの公式製品」や「SUBARUの試作車」と呼ぶのは不正確です。
なぜ2速ATなのか
自動車用WRXエンジンは、一般的なバイク用エンジンより低回転から大きなトルクを発生します。そこでMadBoxerは自動変速機を加工し、トルクコンバーター付き2速に簡略化。クラッチレバーを使う通常の6速バイクとは操作も動力伝達も異なります。
変速はハンドルのスイッチで行い、停車時や低速時はトルクコンバーターが吸収します。これは「2速しかないから簡単」というより、大排気量自動車エンジンを二輪車で扱うための専用解です。
水平対向だからBMWと同じ?
シリンダーが左右へ張り出す水平対向という基本配置はBMWのボクサーツインと似ていますが、MadBoxerは4気筒・2.5Lターボの自動車用エンジンです。重量、冷却、過給、変速機、出力軸の向きが異なり、既存のBMWフレームへ載せ替えた車両でもありません。
前後片持ちアームとハブセンターステアリングを採用したのも、巨大なパワーユニットを避けながら操舵と懸架を成立させるためです。一般的なテレスコピックフォークのバイクとは部品構成も整備方法も違います。
買える?日本で公道を走れる?
MadBoxerは2017年にニュージーランドで売りに出された履歴がありますが、継続生産される商品ではなく、現在価格や販売中と断定できる情報はありません。2017年の記事を現在の在庫広告として扱わないでください。
ニュージーランドでの登録実績があっても、日本でそのままナンバーを取得できるとは限りません。輸入書類、車体・原動機の識別、強度、ブレーキ、灯火、騒音、排出ガスなどを日本の基準で個別確認する必要があります。任意保険もオンライン商品で車名検索できない可能性が高く、引受可否を保険会社へ事前照会すべき車両です。
似たワンオフ車を見るときの確認点
- メーカー純正車、デザインCG、実働ワンオフのどれか
- 製作者名と完成年、走行映像の出所
- エンジンだけでなくフレーム、操舵、制動、冷却の成立方法
- 製作国での登録と、日本での登録可能性を分ける
- 過去の出品価格を現在価格や成約価格と取り違えない
同じく自動車用エンジンを二輪へ組み込んだ極端な例として、カワサキZ2300 V12も解説しています。
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確認資料
- Bike Rider Magazine New Zealand:製作者への現地取材
- Driven Car Guide:MadBoxerの製作・登録
- Subaru New Zealand:現行WRXの水平対向エンジン(参考)
初出:2017年5月/Kickboxerとの区別と車両履歴を確認し、2026年8月に全面改稿。

