カワサキZ2300 V12とは?アレン・ミルヤード製ワンオフの正体

結論:通称「Kawasaki Z2300 V12」は、カワサキが開発・販売した量産車ではありません。英国のエンジニア、Allen Millyard(アレン・ミルヤード)が、カワサキZ1300系のエンジン部品を使って製作した約2.3LのV型12気筒ワンオフ・カスタムです。

動画だけを見ると「カワサキがV12バイクを試作した」と誤解しやすい車両ですが、メーカー純正のコンセプトモデルでも販売予定車でもありません。2026年8月時点で、カワサキの現行ラインアップにV12モーターサイクルはありません。

旧記事の訂正:以前の記事は映像紹介だけで、メーカー純正車か個人製作車かを明確にしていませんでした。製作者本人の解説とカワサキ公式のZ1300資料を確認し、車両の出自、構造、実走歴を分けて全面改稿しました。

Z2300 V12の要点

製作者 Allen Millyard(個人製作のワンオフ)
製作時期 2002年前後。製作者の解説動画には2005年までの製作写真・映像も収録
ベース カワサキZ1300系の直列6気筒エンジン部品
エンジン 約2.3L・水冷DOHC・V型12気筒、24バルブ、デジタル燃料噴射
販売 市販なし。価格表、型式、メーカー保証は存在しない
現在 米国アラバマ州のBarber Vintage Motorsports Museumに収蔵

ベースになったZ1300はどんなバイク?

カワサキ公式のヘリテージ資料によれば、Z1300は1979年に登場した水冷・直列6気筒の大型ツアラーです。シャフトドライブと3基の2バレル・キャブレターを採用し、後年の燃料噴射仕様では120bhpに達しました。

Z2300 V12は、このZ1300を2台そのまま横に並べた車両ではありません。ミルヤードは製作者本人の動画で、Z1300系のシリンダーやヘッドなどを材料に、V12として成立させるためのクランクケース、クランクシャフト、コンロッド配置、吸排気、冷却、燃料供給を作り直した過程を説明しています。

なぜ「2300」なのか

名称は約2.3Lの排気量に由来します。Z1300の1,286cm³エンジンを単純に2倍した2,572cm³ではなく、ボアやストロークを変えた独自のV12です。「Z2300」「KZ2300」「Viper」など複数の呼び名がありますが、いずれもカワサキ公式の商品名ではありません。

完成車は24バルブDOHCとデジタル燃料噴射を備えます。大排気量V12らしく燃料消費は非常に大きく、製作者自身も解説動画でその点に触れています。最高出力や最高速度には推定値が多いため、メーカー測定値のように断定すべきではありません。

展示専用ではなく実際に走った

これは始動デモだけのショーバイクではありません。ミルヤードは完成後に公道やイベントで数千マイルを走り、マン島TTの時期にも持ち込んで周回したと説明しています。動画ごとに紹介される総走行距離には差があるため、ここでは「数千マイルの実走歴」と整理します。

現在は米国アラバマ州バーミングハムのBarber Vintage Motorsports Museumに収蔵されています。したがって、中古車市場で購入できる量産カスタムではなく、歴史的な一台物として見るのが正確です。

同じものを製作・登録できる?

一般的なエンジンスワップの範囲を超え、クランクケースや回転部品まで新造する専門工作です。強度、潤滑、冷却、振動、燃料制御、制動力を車両全体で成立させる必要があり、動画を見て再現できるDIYではありません。

日本で類似車を公道登録する場合も、保安基準への適合、車体・原動機の変更、排出ガス・騒音、強度資料などを個別に確認する必要があります。完成後にナンバーや保険を考えるのではなく、設計前に運輸支局や専門事業者へ相談すべき案件です。

カワサキ純正の多気筒車とは分けて考える

カワサキにはZ1300をはじめ直列6気筒の歴史がありますが、V12市販車の歴史を意味しません。カワサキ6気筒車の系譜はカワサキ6気筒バイクの歴史、他社の名車はホンダCBX1000の6気筒エンジンで詳しく整理しています。

AmazonでカワサキZ1300の書籍・モデルを探す

※価格、在庫、仕様は移動先でご確認ください。当サイトはAmazonアソシエイトの適格販売により収入を得ています。

一次資料

初出:2016年12月/出自と実走歴を一次資料で確認し、2026年8月に全面改稿。




おすすめの記事