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【試乗レポート】HONDA 新型GL1800ゴールドウイングの親しみやすい乗り味

スリムさを感じた新型GL1800

2018年の東京モーターショーで発表された新型ホンダGL1800。

初めての姿を間近に見たとき、先代モデルよりも全体的にスリムになった印象を受けました。

Honda(ホンダ)新型Gold Wing GL1800(ゴールドウイング)最新情報まとめ(記事はこちら)

7速+リバースのデュアルクラッチ(DCT)を搭載。
(6速+リバースのMTもあり)

スーパー7ツアラーとしてのキャラクターに一層磨きのかかった新型GL1800。

大幅に変わった車体構成を見て、その乗り味が気になっていたところです。

そして年度も改まった2018年4月9日。

筆者は発売されたばかりのHonda新型GL1800最上グレード、ホンダ ゴールドウイングツアーDCT&エアバッグ装着車に試乗しました。

果たして、その乗り味はどんなものなのでしょうか?

優美な外観から乗り味を想像

試乗会が行われたのは観光の名所としても知られる港町横浜。

整然と並べられたGL1800たちは、春の晴天にドレスアップしたように優美な輝きをたたえていました。

やはり屋外の自然光の下で見ると、塗装の奥行きも際立って、ショーで見るよりもきれいに見えます。

スタッフの方々がてきぱきと裁きながら並べておられました。

「電動リバース使うより普通にやった方が速いよね。」

そういいながら、サクサク裁くスタッフの方にも驚きましたが、裁かれながら普通に取回されるGL1800の動きにも驚きました。

やはり、フロントデザインはこれまでよりシャープにまとまった感じがしますね。

このスクリーンの高さもあるので、自分の背丈に並んでみても大きさは感じます。

さらに間近に見てみると、タンクやハンドルに並んだボタンやジョグダイヤル。

その特別感にも圧倒されがちですが、クラッチレバーのないダブルクラッチ(DCT)が大いに気になります。

ワイドなカウル、と迫力あるフラット6の輝き。

パ二アケースやトップケースなども大きさを感じさせるところです。

しかし、本質的なところに集中してみていくと、ハンドルの位置やシートの高さそして着座位置より明らかに前にあるステップ。

これらが意外にライダーファーストな乗り味を期待させてくれました。

こうしてじっくり観察する機会も試乗会ならではの事。

外観を深く見ながら想像することで、ますます乗り味への興味が深まります。

宮城光さんのプレゼンで期待値UP

今回の集合場所はホテルメルパルク横浜。

並べられたGL1800たちのすぐ横で、港をバックに婚礼写真を撮影する新郎新婦の姿もありました。

参加者の皆さんもホテルの広間に通され、コーヒーサービスを受けながら出発の順を待つという厚遇ぶり。

サーキットや駐車場で開催される試乗会とは違い、うららかな中にもどこかフォーマルな雰囲気が漂う試乗会です。

そんな中、試乗に先立っての商品説明がありました。

そのプレゼンテーションを担当されたのはMotoGPの解説などでおなじみの宮城光さん。

お話をまとめると

 

ということでした。

例えば、ロスからニューヨークは飛行機でもおよそ5時間以上かかる距離。

東京-札幌が約1時間ですから、その長さを余裕で巡行するGL1800のゆとりは想像に余りあるものです。

また、NSXには乗ったことがないけれど、それに例えるくらいの快音。

このお話にますます興味がそそられました。

第一印象は「フレンドリー」

バイクを受け取りに行くと、そこには宮城光さん。

なんと、直々に操作説明をしてくださいました。

足つきやライディングポジション

「はい、じゃぁ跨ってみましょうね」

と宮城さんの柔らかい声に促されながら、まずはまたがってみる。

いざ引き起こしてマシンを垂直にすると、これがスッとでできてしまいました。

シート高は745mm。

足つきは身長162㎝にして両足がべったりと接地しています。

ハンドル位置もさすがにスーパークルーザー。

ライダーに近いため、腕をあまり伸ばさず、実に楽なポジションをとることができます。

1800㏄のフラット6、それに乗ってる自分。

乗車前はどれだけこれが重いのかと、心配でした。

しかし、跨ってしまうと体でその重さを感じることはありません。

スタート位置で筆者の緊張をほぐしたのは、意外にもGL1800自身が持つフレンドリーさでした。

『意外なほど普通に取回せて、自然に動いてくれる』

まだまだ試乗は始まったばかりですが、跨って感じた安心感を境に、体から要らない力が抜けていきます。

エンジンのかけ方にワクワク

このGL1800のキーはスマートキー。

これを身に着ければ、イグニッションやトランクの開閉などを行うことができます。

今回は詳しく試すことはできませんでしたが、「グローブをしてから鍵がポケットに…」というあるあるもこれで解決ですね。

宮城さんのご指示通りタンク上にある黒いイグニッションダイアルを右に回します。

すると、1800㏄のフラット6が静かに歌いはじめました。

『ろゆーーん』という音には攻撃性がなく、振動もほとんど感じません。

エンジンのかけ方もそうですが、『やっぱり今すごいものに乗ってるんだな』という気持ちが追いかけるようにやってきました。

ただ、それは緊張やプレッシャーの類のものではなくて、オーナーの所有感を想像してのこと。

きっとこうして、乗った瞬間から特別な気持ちになれるんだろうなと、購入されるライダーをうらやましく思いました。

「そもそもDCTって何?」

今回試乗したこの最上クラスには、伝統のフラット6にDCTが追加され、これが一つの目玉になっています。

しかし、「そもそもDCTって何よ」という方っもおいでかもしれません。

そこで、DCTに関する試乗レポートを前に、改めておさらいしておきましょう。

DCTというのは、Dual Clutch Transission(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の略です。

図のように1・3・5・7速の(奇数側)と2・4・6速の(偶数側)用2系統のギアとクラッチを持っています。(これに電動リバース用のギアもあります。)

ピンクで示されたインナーシャフトを奇数側ギアが担当。

そして水色で示されたアウターシャフトをギアが担当し、2系統のシャフトがそれぞれの動力を受け持つクラッチにつながれています。

走行イメージとしては、1速で発進すると既に2速がスタンバイ。

クラッチが奇数用から偶数用に切り替わって2速にシフトアップ。

3速の時には4速がスタンバイして同じようにクラッチが入れ替わってシフトアップするという仕組みです。

これによってシームレスなギアチェンジが可能となるため、クラッチ操作が必要なくなります。

先述ハンドル左側の写真でも触れましたが、クラッチレバーがないのはこのためなんですね。

コンピューターで制御されたモーターが、アクセル開度や車速などの情報を読み取って適切なギアを選択します。

そのうえ各々のクラッチは、後輪からの減速トルクを適度に逃がすスリッパー構造になっているので、減速時にギクシャクしないようになっています。

と、こうして構造をご理解いただいたところで、試乗会でのDCTのインプレッションをお伝えしていきたいと思います。

凄い機構なのに操作は簡単

「さてそれでは、スタンドを上げてギアを入れてみましょう」

筆者はDCT初体験。

分かっていても、さすがに戸惑います。

「まず、ハンドル右側のボタンでドライブに入れます。
走るために必要なのはたったそれだけ、後はバイクがギアを変えてくれますよ。」

宮城さんの言う通りに「D」を押すと、タコメーター下のギアインジケーターが1速に入ったことを示しています。

「そのまま一度スタンドを下ろしてみてください」

そう言われてスタンドを下ろすと、エンジンがストップ。

『あ、やばいNに入れたなかった』と、思ったのですが…。

「ハイ、今これで止まりましたね。
で、この後エンジンをかけると、自動的にNに入った状態で復帰するんですよ。」

なるほど、そういうことだったんですね、これは便利です。

「そして走行モードは左のジョグボタンで変更できますから、いろいろ試してみてください。
また、(半クラがないので、)一本橋の要領でリアブレーキを使うのが安定のコツですよ。」

ジェントルな宮城さんの言葉に見送られ、いよいよスタートです。

DCT走行フィーリング

初速の微妙な加減は最初にちょっと戸惑いましたが、宮城さんのおっしゃるようにリアブレーキを当てていくと安定するので、すぐにコツを飲み込むことができました。

今回の試乗は20分程度の市街地走行。

ゆっくりとアクセルを開けていくと、足元で「カシャっ、カシャっ」とギアが変わっていくのを感じます。

「そうか、DCTなんだよね」

Vベルト のAT機構とは全く違う乗り味。

ちゃんとしたシフトフィールがあることに、DCTの意味を再認識しました。

ちょっと面白くなってきたところで、アクセルを「どかっ」と開けてみます。

するとDCTはそれに応えてギアを1速落とし、「グゥわっ」と加速します。

その後は、ストーンストーンとギアが変わっていく。

この感触がとてもきれいだと思いました。

後述しますが、このギアのスケジュールも4つある走行モードでだいぶ違います。

それぞれに「表情」があり、その引き出しの多さにも感心させられました。

また減速も、速度に合わせて自動的に低いギアに移行。

しかもグッと減速しても、スリッパークラッチが唐突な挙動を与えず、自然な形で減速することができます。

ただ、若干気になったのは道が詰まって加減速が連続するような場面。

シフトチェンジの連続する極低速域では、シフトが忙しそうに動いています。

やはりギクシャクすることがないのは素晴らしいのですが、始めはこの音が若干ですが気になりました。

ただ、スーパークルーザーとしてのキャラクターを思うとき、ここは本領域ではないと割り切れるところかもしれません。

4つの走行モードその「表情」は?

DCTの扱いにも慣れてきたところで、今度は4つの走行モードの「表情」を見てみることにします。

「TOUR」モード


(※先述のスイッチ、メーターパネルの写真は走行後に主催者様の許可を得て停止状態で撮影しています。)

出発時前、宮城さんから、

「TOURは中速域2・3・4速をしっかり使ってのびやかな設定です。」

といった趣旨のレクチャーを受けました。

確かに早めに2・3・4と切り替わっていき、刻々と上下する速度に対して、ギアの動きもアクティブな印象です。

アクセルのフィーリングも自然で、右手の動きに従順についてきてくれる感じ。

常用域での汎用性の広いモードというのがこのモードでの印象ですね。

「SPORT」モード

宮城さんからこのモードについては、

「SPORTモードでは、しっかり加速しながら4・5・6と早めに高速ギアに入れようとする設定です。」

と伺っていました。

赤信号でSPORTモードに切り替えスタートしてみると、確かにその言葉通り。

「TOUR」よりもアクセルのレスポンスが鋭くなり、早めのギアアップで「ぐわぁーっ!」と一気に加速します。

GL1800の大きさをすっかり忘れるほど鋭敏な走りが楽しめました。

また、グッとアクセルを開けても唐突にリアが沈み込むのではなく、安定して素早くバイクを前に進めてくれている車体の安定性も秀逸なものだと思います。

今回はご先導いただいて市街地を走っているので限界はありますが、想像するにこれならハイウェイのレーンチェンジも気持ちよく行えそうです。

「RAIN」モード

「RAINはそれが示す通り雨天や悪路を走る場合のモードで、トラクションを効かせて低いギアを長めに使おうとします。」

宮城さんのレクチャー通り、このモードに入れると低速ギアに入っている時間が長くなりました。

アクセル開度も上記2モードより大きくなり、その反応も「モッチリ」とした感じに。

この「RAIN」モードで通常走行をすると、アクセルのモッチリ具合からそれを、車体の重さとして感じるかもしれません。

今回は晴天でしたので、その恩恵を受けませんでしたが、やはり冬場や雨天の変わりやすい路面では安心感を高めてくれるだと思います。

「ECON」(エコノ)モード

「ECONはその名の通り、燃費優先のモードですね。
これは低速時から早い段階で大きいギアに入れて、エンジンをゆっくり回そうとします。」

宮城さんからそう聞いてましたが、全くその通り。

アクセルレスポンスには「RAIN」ほどモッチリした感じはありません。

しかし、速度のわりに大きいギアを早く使おうとするので、「TOUR」より若干おっとりした感じの走りになります。

これはツーリング先で風景を楽しみながら、のんびりと走るのにちょうどよいかもしれせんね。

こうしてモード間で変わる「表情」。

これはやはり、四季や土地柄によって様々に変化する日本の道を旅するには、とてもありがたいものになるでしょう。

そういえばダブルウィッシュボーン

DCTと各モードの感触についつい忘れていましたが、このGL1800にはもう一つ大きな特長があります。

それはフロントに新採用されたダブルウィッシュボーンサスペンション。

「忘れていた」というのは、走行中の動きがあまりにも自然だったからでもあります。

構造写真でもわかりますが、実際の見え方はこんな形。

トップブリッジが左右2本のプッシュロッドを押し引きして、このダブルウィッシュボーン機構に舵をきらせていました。

停止時に若干ハンドルの重さを感じるものの、これだけガッチリとした造りなので、ハイウェイの巡行性にもかなり高い安定性が期待できます。

今回は、GL1800が持つ本領域からして、ゆっくりとしたペースでの試乗。

その中でも、走り出して加速するとき、交差点を曲がるとき、そして減速して止まるとき。

どの場面でも、車体は常に安定した状態を保ってくれたのは、このダブルウィッシュボーン機構の恩恵が理解できました。

また、GL1800には、1人乗り/2人乗りあるいは荷物の状況などに合わせて選択できる電動のプリロードシステムも備えられています。

今回は試せませんでしたが、例えばタンデムで他県へ連泊キャンプツーリングといったスチエーション。

一般のバイクではハードなこのような使用条件でも、ダブルウィッシュボーンとこの電動プリロードで、安定してゆとりを持った快適なツーリングを楽しめるでしょう。

浜風を楽しむゆとり

今回は限られた時間での市街地走行。

なので、実際に筆者が機能として試すことができたのはこれまでお話しした内容にとどまります。

しかし、新しくなった車体構成による乗りやすさと、DCTや電子制御を擁する新機構の乗り味。

こうした走りの本質にかかわる部分は、ある程度ご紹介できたのではないかと思います。

新型GL1800は、街中を走った速度域でも非常に高い安定感を保ちながら、乗り手にバイクの大きさを感じさせないほどのフレンドリーさを持っていました。

ですから、この延長線上をたどるとすれば、どの走行状況でもストレスを感じることはないのではないかと思います。

今回の試乗では、新型GL1800では、「風を楽しめるようにした」という宮城さんの解説が思い出されました。

ブルートゥースでiPhoneと連動するオーディオ機能。

あるいはクルーズコントロールの快適具合など、まだまだお伝えしきれていない部分は多岐に及びます。

でもそういった装備以上に、時折聞こえる船の汽笛とともに軟らかい浜風が楽しくて、筆者は新型GL1800と一緒に幸せな時間を満喫することができました。

「風=街の匂い。」

それは、バイクだから味わうことのできる楽しみの要素ですよね。

電動スクリーンをめいっぱい下げ、筆者はゴールまでずっとメットのバイザーを開けて走りました。

旅を楽しむスーパークルーザーとして、そんな情緒的な時間をくれたGL1800と、「風」を大切にしてくれたホンダの皆さんには感謝したいと思います。

試乗車に触れよう!

さて、いかがだったでしょうか?

GL1800ともなると、筆者がこれまで抱いていたように、「大きくて大変なバイク」という先入観を持っている人も多いでしょう。

ですが、ご紹介してきたように、意外なほどこれがパッと乗れてしまいます。

もちろん、DCTやそのほかGl1800ならではの機能もたくさんあるのですが…。

論より証拠、百聞は一見に如かず。

こちらに試乗車検索をご用意しました。

気になる方はホンダドリーム店で実車に触れて、乗って確かめてみてください。

HONDA GL1800諸元

Gold WingGold Wing Tour
Gold Wing Tour DCT
AIRBAG
主要諸元

Gold Wing Gold Wing Tour Gold Wing Tour
DCT
エア
バッグ
車名・型式

ホンダ・2BL-SC79

全長
mm
2,475 2,575
全幅(mm 925 905
全高(mm 1,340(スクリーン最上位置1,445) 1,430
(スクリーン最上位置1,555)
軸距(mm 1,695
最低地上高(mm 130
シート高) 745
車両重量
(kg)
365 379 383
乗車定員(人) 2
最小回転半径(m 3.4
エンジン型式 SC79E
エンジン種類

水冷4ストロークOHC
(ユニカム)水平対向6気筒

総排気量(cm3 1,833
内径×行程(mm 73.0 × 73.0
圧縮比 10.5
最高出力(kWPS/rpm 93[126]/5,500
最大トルク(Nmkgfm/rpm 170 [17.3] /4,500
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L 21
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン 電子式7段変速(DCT
変速比 1速 2.200 2.166
2速 1.416 1.695
3速 1.035 1.304
4速 0.820 1.038
5速 0.666 0.820
6速 0.521 0.666
7速 - 0.521
後退 電動
リバース
4.373
減速比(1/2次) 1.795/0.972×2.615
キャスター角(度) 30゜30
トレール量(mm 109
タイヤ 130/70R18M/C 63H
200/55R16M/C 77H
ブレーキ形式 油圧式ダブルディスク
油圧式ディスク
懸架方式 リンク式
スイングアーム式(プロリンク、プロアーム)
フレーム形式

ダイヤモンド

 

記事協力

株式会社 ホンダドリーム東京 代表取締役 酒匂 好規 様

ホンダドリーム相模原 店  長 川島  充 様

ホンダドリーム横浜旭 店長主事 秋山 雅和 様

Special Thanks    宮 城     光   様

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