サイトアイコン 新型バイクニュースならモーターサイクルナビゲーター

ヤマハ愛は工具にも宿る?カスタムナイフに見る「人馬一体」と機能美の融合

こんにちは、モーターサイクルナビゲーターのライター、井上 亮です。

最近、愛車のTRX850のキャブレター同調を取ろうとして、バキュームゲージの針の振れよりも自分の心拍数の方が上がってしまったような気がします。古いバイクと向き合う時間は、まさに禅の修行。ガレージの油の匂いだけでご飯3杯はいける、そんな週末を過ごしています。

さて、今回は非常に興味深いトピックを見つけました。「Yamaha inspired fastback」というタイトルで、あるライダーが自分の仕事道具であるミルウォーキー(Milwaukee)製のカッターナイフ「Fastback」を、なんとヤマハ仕様にカスタムしてしまったという話題です。

これを見た瞬間、私は膝を打ちましたよ。これぞまさに、ヤマハ乗りが陥る深い「沼」の極みだと。

私たちヤマハ党は、単なるスペック上の数値だけでなく、「官能評価」や「人馬一体」といった、感性に訴えかける要素を何よりも大切にします。私が長年連れ添っているTRX850も、決して当時最速のバイクではありませんでしたが、270度クランクが奏でる鼓動感と、パイプフレームがしなる独特のハンドリングは、他の何物にも代えがたい芸術品でした。

今回のカスタムナイフも、ただ「切る」という機能を持つ道具に、ヤマハという「魂」を注入した一品。この行為には、バイク愛と道具愛がクロスオーバーする、とてつもなく「尊い」哲学が隠されているのです。

結論:道具への愛は、ライディングプレジャーの延長線上にある

結論から申し上げますと、身の回りのツールを愛車仕様にカスタムすることは、バイクに乗っていない時間ですら「人馬一体」を感じられる、極めて有効な精神安定剤となります。

現在私が乗っているMT-09は、電子制御の塊です。クイックシフターの「スコッ」と入る感触や、ライド・バイ・ワイヤの緻密なスロットルレスポンスは、現代の機能美の結晶と言えます。このカスタムナイフのオーナーも、仕事中にナイフをフリップ(展開)するその瞬間に、おそらく愛車のスロットルを捻る瞬間の高揚感を重ねているはずです。

たかがカッター、されどカッター。そこにヤマハのカラーや意匠が施されるだけで、それは単なる文房具から「マシン」へと昇華するのです。

比較検証:既製品と「ヤマハ仕様」の精神的効用

では、論理的にこのカスタムがもたらすメリットとデメリットを整理してみましょう。私の経験則に基づいた比較表です。

項目 既製品(ノーマル) ヤマハ仕様(カスタム)
機能性 カタログスペック通り。切れる。 物理的には同じだが、精神的な切れ味は3割増し(当社比)。
愛着度 紛失しても「また買えばいい」。 絶対になくせない。もはや体の一部。尊い。
使用時の感情 「作業」という認識。 「操作」という認識。官能評価対象。
デメリット 特になし。没個性。 傷つくのが怖くて使えない本末転倒な事態が発生して草。

根拠:ヤマハデザインが持つ「ハンドリング」への執着

なぜ我々はヤマハのデザインに惹かれるのか。それはヤマハが楽器メーカーをルーツに持ち、工業製品に「美しさ」と「触感」を求めているからです。

私が18歳で最初に乗ったFZX250 ZEALを思い出してください。あのバイクには、タンク前に「ジャンプするイルカ」をイメージした独特な小物入れがありました。機能としてはただの収納ですが、デザインの一部として融合させるあのセンス。あれこそがヤマハです。

今回の「Milwaukee Fastback」というナイフ自体も、名前に「ファストバック」と付いている点が心憎い。ファストバックと言えば、流れるようなルーフラインを持つスポーツカーや、空力を意識したバイクのテールカウルを連想させます。

このナイフのアクション(開閉動作)における「カチッ」という金属音とクリック感。これをヤマハ党の視点で解析すると、MT-09の精度の高いシフトフィールのそれに近い快感を脳が求めているのだと推測できます。これをヤマハブルー、あるいは往年のストロボカラー(スピードブロック)で彩ることは、視覚情報と触覚情報を一致させるための、極めて論理的な帰結なのです。

理屈っぽいと言われるかもしれませんが、TRX850のトラスフレームの剛性バランスについて一晩語れる私としては、この「手に触れる道具の剛性感と美観の一致」は譲れないポイントなんですよ。

おすすめの構成:あなただけの「専用工具」を作るなら

もし読者の皆さんが、自分の愛用するツールをヤマハ仕様にするなら、以下のポイントを押さえることをお勧めします。

まず、カラーリングです。現代のヤマハ乗りなら、やはり「ディープパープリッシュブルーメタリックC」を意識した深い青を入れるべきでしょう。逆に、私のような古参ファンやSRXのようなネオクラシック系を好む方は、白赤のストロボカラーや、SR400のようなサンバースト塗装をワンポイントで入れると、渋すぎて言葉を失うレベルの仕上がりになります。

そして重要なのが「音叉マーク」の配置。これがあるだけで、その工具は楽器のような調律された精度を持っているように見えてくるから不思議です。ステッカーチューンでも良いですが、あえて塗装や刻印で仕上げると、その「沼」の深さが周囲に伝わって一目置かれること間違いなしです。

注意点:愛が重すぎて法に触れないように

最後に、大人のバイク乗りとしての注意点を一つ。今回のトピックはカッターナイフでしたが、日本国内において刃物の携帯は銃刀法や軽犯罪法によって厳しく規制されています。

「仕事で使うから」という正当な理由があったとしても、過度なカスタムや、すぐに取り出せる状態での携帯は誤解を招く恐れがあります。あくまで、ガレージ内で愛車を整備する際の「専用ツール」として、あるいは自宅のデスクで段ボールを開封する際の密かな楽しみに留めておくのがスマートです。

MT-07に乗っていた頃、軽快さがウリのバイクでしたが、軽率な行動はNGでしたよね。道具への愛は重くても、社会的な振る舞いは軽やかでスマートに。それがヤマハ乗りの美学、「ジェントルマン・ライダー」の姿だと私は信じています。

皆さんも、ガレージに転がっている無機質な工具を、愛車と同じカラーに染めてみてはいかがでしょうか? きっと、整備の時間が今まで以上に「官能的」なものになるはずです。

モバイルバージョンを終了