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ヤマハVMAXとカワサキZ H2、筋肉系ジャパニーズの頂点はどちらか

ヤマハVMAXとカワサキZ H2、筋肉系ジャパニーズの頂点はどちらか

クルーザーの常識を変えたと言われるヤマハVMAX。あの強烈なVブースト、塊感のあるスタイリングは、今もなお「日本製マッスルバイク」の代名詞です。では現代において、その血を継ぐ存在は何か。私はスーパーチャージドの怪物カワサキZ H2を対抗馬に据えて考えたいのです。林道を走る私が、なぜあえてマッスル系を語るのか。理由はシンプルで、軽さや扱いやすさを愛するオフロード乗りこそ、対極にある「重さと暴力的トルク」の魅力を冷静に判定できると思うからです。VMAXとZ H2、選ぶならどちらか。スペック・体感・価格・用途、それぞれの角度から比較していきます。

VMAXとZ H2、スペックで見る両者の立ち位置

まずは数字から整理します。ヤマハVMAX(2009-2017の最終世代)は1,679ccのV型4気筒、最高出力は約200馬力、車両重量はおよそ310kg。対するカワサキZ H2は998cc直列4気筒スーパーチャージド、出力200馬力、車両重量239kg。出力はほぼ同じでありながら、排気量と車重に圧倒的な差があります。VMAXは大排気量で殴るアメリカン的アプローチ、Z H2は過給で叩き出すモダンな日本流。同じ「マッスル」でも思想がまるで違うのです。私はTénéré 700で204kgを扱っていますが、それでも林道では重さに気を使います。310kgという数字がどれほど特殊か、想像してみてください。停車中に少し傾いただけで支えるのは至難の業です。一方Z H2の239kgは、リッタースーパーネイキッドとしては標準的。両者の前後タイヤサイズもVMAXが極太の200/50R18、Z H2が190/55ZR17と一般的なスポーツサイズで、足回りの考え方も異なります。シート高はVMAXが775mm、Z H2が830mm。足つきだけ見るとVMAXが圧倒的に有利ですが、重さを忘れてはいけません。WR250Rの890mmに慣れた私でも、Z H2の830mmなら問題なく扱えるはず。数字だけでは語れない部分が、両者にはたっぷり詰まっています。

エンジン特性の違い、Vブーストと過給機の暴力性

VMAXの神髄はVブースト、後継世代ではYCC-Iと呼ばれる可変吸気システムにあります。低中回転は意外と穏やかで、6,000rpm付近から豹変する。あの「ドンッ」と背中を蹴られる加速は他のどのバイクでも体験できません。Vツインのような爆発感とV4の連続的なパワーが混ざった独特のフィールです。一方Z H2は、スーパーチャージャーが低回転域からトルクを盛り上げる設計。VMAXのような明確な「変わり目」はなく、開けた瞬間からブースト圧が立ち上がります。よりリニアで、ある意味現代的に洗練された暴力です。私は試乗会で両者に乗ったことがありますが、正直なところVMAXは「儀式」、Z H2は「兵器」という印象でした。VMAXはアクセルを開ける覚悟を要求してくる。Z H2は淡々と速度を稼ぐ。WR250Rで体を使ってバイクを操る楽しさを知っている身からすると、VMAXのドラマ性は強烈に刺さります。ただし長距離移動の疲労度はZ H2のほうが圧倒的に低いでしょう。風防効果はどちらも限定的ですが、Z H2はライディングポジションが直立に近く、上半身への風圧負担を体で受け止めやすい姿勢です。VMAXは前傾が浅く、独特の身構える姿勢になります。エンジン音はVMAXの不等間隔爆発によるグロウルと、Z H2の過給機ヒューンという音色。どちらも唯一無二で、好みが分かれるところです。

価格と維持費、現実的に所有するならどっち

VMAXは2017年に生産終了しており、現在は中古市場のみです。タマ数は少なく、状態の良い個体は150万〜220万円程度が相場。最終モデルは新車時点で230万円超えという、当時としては高価格帯のバイクでした。Z H2は新車で約200万円前後、SEグレードならさらに上です。維持費を見ると、VMAXは燃費がリッター10km前後、タンク容量15Lなので航続距離は短め。私のTénéré 700が16Lで400km走ることを考えると、VMAXは給油が悩みになります。Z H2は燃費がリッター15km前後で、タンク19L。実用面ではZ H2に軍配が上がります。タイヤサイズの特殊性もVMAXのネックです。リア200サイズはハイグリップ系の選択肢が限られ、1本あたりの単価も上がります。Z H2は190/55ZR17という主流サイズなので、スポーツタイヤの選択肢が豊富。消耗品コストで年間数万円の差が出る可能性もあります。さらにVMAXは旧車扱いになりつつあり、純正部品の供給状況を購入前に確認すべき段階です。電子制御もZ H2はトラコン・パワーモード・クイックシフター標準装備と現代的。VMAXはABS以外ほぼ機械的な構成です。安全装備の差も維持の安心感に直結します。私のような林道仕様の装備好きから見ると、Z H2のほうが「今のバイクとして所有する手間」が少ないと感じます。

用途別おすすめ、街か高速かステイトメントか

用途で考えると判定はもう少しはっきりします。街乗り中心ならどちらも不向きですが、信号ストップでの足つき重視ならVMAX。シート高775mmは絶対的なアドバンテージです。ただし310kgを取り回す体力があることが前提。私は身長164cmで、正直VMAXの押し引きは怖いと感じるレベルです。高速ツーリング用途ならZ H2が勝ちます。ポジションが現代的で、200km走っても疲労が少ない。電子制御クルコンこそ無いものの、過給エンジンの余裕は長距離で効きます。VMAXは1時間も走ると独特のポジションで肩が張ってきます。ワインディングならどう考えてもZ H2。車重70kg差は山道で決定的です。VMAXは直線番長として割り切る方が幸せです。コーナーで攻めるバイクではありません。一方で「所有する満足感」「停めた時の存在感」「カスタム文化の厚み」はVMAXが圧勝。バイク文化として一時代を築いた重みがあります。ヘルメット内通信を使ったマスツーリングなら、私ならZ H2を選びます。仲間のペースについていきやすく、休憩時の取り回しも気楽。逆にソロで「今日は儀式的に乗る日」と決めて出かけるなら、VMAXの非日常感は唯一無二です。転倒時の被害という観点では、両者とも大型カウル付きではない分、立ちゴケの修理費は比較的読めます。ただしVMAXのエアスクープ周りやZ H2のタンクは交換すると高額です。

総合判定、私が今買うならどちらか

ここまで比べてきて、私の結論を述べます。総合的に今買うなら、Z H2を推します。理由は3つ。第一に、新車で買えて電子制御が現代水準であること。第二に、タイヤ・燃費・部品供給が安定しており、長く乗れる安心感があること。第三に、200馬力の暴力を「使える形」で味わえること。VMAXのVブーストは確かに伝説的ですが、現代の交通環境で本領発揮できる場面はほぼありません。サーキットですら持て余します。一方Z H2の過給フィールは、高速合流や峠の立ち上がりで日常的に楽しめる質感です。ただし、これは「道具として優れているか」の判定です。「歴史的価値」「所有する物語」で選ぶなら、VMAXの存在感は色褪せません。日本のメーカーが本気でアメリカ市場のマッスル文化に殴り込んだ象徴であり、後継機種が出ないまま生産終了したこと自体がレジェンドの証です。私はオフロード派ですが、ガレージにあと1台置けるならVMAXに惹かれます。WR250RとTénéré 700で身体性を使い切る日々を送っているからこそ、対極にある「機械の暴力を味わう日」という選択肢が魅力的に映ります。実用と物語、どちらを取るか。それが両者を分ける最後の問いです。(出典: Top Speed)

まとめ

ヤマハVMAXとカワサキZ H2、日本製マッスルバイクの過去と現在を比べてきました。判定としては、これから新車で1台選ぶ実用派にはZ H2、歴史と物語を所有したいコレクター気質の方にはVMAXをおすすめします。Z H2は現代の電子制御と過給エンジンが融合した、長く付き合える完成度。VMAXは唯一無二のVブースト体験と、生産終了したからこそ高まる希少性が魅力です。私のように普段オフロードで「軽さ」を信奉する人間でも、たまには対極の世界に触れたくなるもの。気になった方はぜひディーラーや中古車店で実車を見てください。実物の存在感は写真の何倍もあります。次回は私の本領であるアドベンチャーモデル比較もお届け予定ですので、合わせてご覧ください。

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