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新型Kawasaki Z650S実走インプレ、ミドルネイキッド戦線に投入された刺客の実力

新型Kawasaki Z650S実走インプレ、ミドルネイキッド戦線に投入された刺客の実力

2026年モデルのKawasaki Z650Sがバルセロナで国際試乗会を迎え、その全貌が見えてきました。結論から言えば、これは初心者にも経験者にも刺さる、軽量で軽快なミドルネイキッドです。価格は英国で7,199ポンド。MT-07やCB750ホーネットと真っ向勝負を仕掛けるこの一台、注目すべきはスタイリングの刷新、新型TFT、トラクションコントロールの追加、そして19kgの軽量トレリスフレームが生む素直なハンドリングです。私はZ650を公道用に所有しているので、後継機がどう進化したのか、サーキット視点も交えて整理していきます。

Z650Sの位置づけと2026年アップデートの全体像

Kawasakiは2026年に向けてZファミリーを大幅に刷新し、その一角としてZ650Sが新設されました。標準のZ650(7,099ポンド)に対し、100ポンド増しの7,199ポンドで装備を強化した派生モデルという位置づけです。エンジンは649ccの並列ツインを継続。最高出力は約67bhp、最大トルク64Nmを6,700rpm付近で発生します。アイルオブマンTTで鍛えられた基本設計はそのままに、O2センサー追加でEuro5+に適合させてきました。

大きな変化はエレクトロニクスとスタイリングです。これまで装備されていなかったKTRC(トラクションコントロール)が新たに加わり、フルカラー4.3インチTFT、スマートフォン連携のRideologyアプリ対応も実現。ヘッドライトカウルは三眼LEDに刷新され、Sugomiデザインの文脈に沿った塊感のあるルックスへと変貌しました。

私自身、現行Z650を公道用にガレージに置いていますが、2020年以降ほぼ手付かずだったモデルがようやく現代水準に追いついた印象です。とくにTFTとKTRCは、A2免許カテゴリーの欧州市場で他社が先行していた装備ですから、Kawasakiとしても投入は必然だったと言えます。日本での正式な発売アナウンスは現時点で明確ではありませんが、Z650は国内でも継続販売されているモデルだけに、後継としてのZ650S展開には期待が持てます。

コーナリング性能を支える軽量トレリスフレームと足まわり

Z650Sの素性の良さを語る上で外せないのが、わずか15kgのスチール製トレリスフレームです。車両重量(湿潤)190kg、ホイールベース1,410mm、シート高810mm(スペック表では805mm表記もあり)というディメンションは、ミドルクラスとして極めて軽快な部類に入ります。

私は普段ZX-6Rの2024年式でサーキット走行会に通っていますが、その視点から見てもZ650Sの車体剛性バランスは「素直」の一言。フロントの接地感を読み取りやすく、初心者がコーナリングの基礎を体で覚えるには理想的なプラットフォームです。一方で、フォークは41mm非調整式、リアもプリロード調整のみ。ハードブレーキングではフロントがやや沈み込み、新しい前傾気味のポジションも相まってノーズダイブが目立つ場面はあります。

ここはセッティングの余地が少ない部分なので、本気で走り込むなら社外フォークスプリングや油面調整で対処したいところ。標準のダンロップ Sportmax Roadsport 2はフロントが少し曖昧でリアが流れやすい印象との海外レビュー評価もあり、私もタイヤ交換は最優先項目に挙げます。ロードスポーツ系のミドルラジアル、たとえばBattlax S23やRoadSmart IVあたりに履き替えれば、車体ポテンシャルがもう一段引き出せるはずです。

ブレーキは300mmディスクにツインピストンキャリパーのダブル。CB750ホーネットの4ピストンラジアルに比べれば穏やかな効き味ですが、街乗りからワインディングまでの常用域では過不足ありません。

電子制御とTFT、Rideologyアプリの実用度

新型で追加されたKTRCは2モード制。モード1がスポーティ寄り、モード2が早めに介入する設定で、走行中にもオフが可能です。海外メディアの試乗インプレでは、モード1でも介入がやや早く、流れに乗ったライディングではオフにした方が気持ちよく走れたとの報告が上がっています。私もサーキット派の立場から言えば、電子制御は「保険」として機能してくれれば十分で、過剰介入は走りのリズムを崩します。Z650Sは公道での安心装備として割り切るのが正解でしょう。

ライディングモードは非搭載。スロットルはケーブル式のままで、ライドバイワイヤは採用されていません。これは賛否の分かれるところですが、車体側の素性が良いのでアクセル開度に対するリニアな反応は確保されており、シンプルさを好む層には逆に好印象でしょう。コストを抑える割り切りとしても理解できます。

新採用の4.3インチフルカラーTFTは、表示パターンが2種類、背景も黒白から選択可能。Rideologyアプリ経由のBluetooth接続は2分ほどで完了するそうで、通知や走行ログ管理が手軽になります。私のZ650(2020年式系)にはこの手の機能がないので、純粋に羨ましい部分です。

クイックシフターはオプションで239.95ポンド。アップシフトのみのクラッチレスで、高ギアでは快適、低ギアではややギクシャクするとのこと。スリッパークラッチは標準で、レース部門のフィードバックを反映したと謳われており、ダウンシフト時のリアの跳ねは抑えられています。

MT-07、CB750ホーネットとの三つ巴比較

ミドルネイキッドの主戦場は今、Yamaha MT-07とHonda CB750ホーネット、そしてこのZ650Sの三つ巴です。Z650Sの最大の武器は、英国価格7,199ポンドという最安水準のプライスタグ。MT-07は調整式サスペンションを持ち、CB750ホーネットは4ピストンラジアルキャリパーや充実した電子制御で先行しています。

性格の違いを整理すると、MT-07は弾けるようなCP2エンジンの低中速トルクが魅力で、足まわりに手を入れる前提なら遊びの幅が広い。CB750ホーネットは755ccの排気量と本格的なブレーキ・電制で「速さ」を求める層に向いています。一方Z650Sは、軽さと素直なフレーム剛性を武器に「ライディングの基本を磨ける一台」という立ち位置です。

サーキット視点で見ると、3台の中ではCB750ホーネットがもっとも攻め込みやすく、Z650Sは走行会で基礎練習をするのに向いている素性。MT-07は中間で、サスを煮詰めればワインディングで光る個性派です。私のZ650で峠を流していても、この軽さと素直さは捨てがたい長所だと感じます。Z650Sはその美点を維持しつつ、ようやくTFTとKTRCで現代化された、というのが正確な評価でしょう。

もうひとつ、Z650Sには上位の「Performance Edition」が8,599ポンドで設定され、アクラポビッチのフルチタンエキゾースト、スモークフライスクリーン、シートカウル、タンクパッドが付属します。価格は跳ね上がりますが、所有満足度の高い構成で、Z650S本来の素性をさらに引き出したい人には魅力的な選択肢です。

誰におすすめか、サーキット派から見た本音

結論として、Z650Sがもっとも刺さるのは「これからミドルクラスで本格的にライディングを学びたい人」です。軽さ、素直なハンドリング、シンプルな操作系、そしてクラス最安水準の価格。Kawasaki自身、このクラスの購入者の多くが25歳以下と公表しており、若年層に届けたいという意思が明確です。

一方、私のように10年以上サーキットに通っている層から見ても、Z650Sは練習機材として優秀です。電子制御に頼り切らず、スリッパークラッチで挙動を学び、車体の素直な反応でライン取りやブレーキングの精度を確認する。こうした基礎反復には、過剰装備のバイクよりむしろ向いています。

ただし、本気で走り込むならタイヤ交換、フォークオイル管理、そしてクイックシフター追加は前提になります。標準仕様のままでは、ハードブレーキング時のフロント沈み込みやタイヤの曖昧さが気になる場面が出てくる。逆に言えば、そこに手を入れる「育てがい」がある一台でもあります。

避けたほうがいい層を挙げるなら、最初から大排気量のパワーと最新電制をフル活用したい人、そして調整式サスペンションでセッティングを煮詰めたい人。前者はCB750ホーネット以上、後者はMT-07が候補になります。私自身は荒木翼として、初心者にもベテランにも「自分の腕で走らせる楽しさ」を再認識させてくれる一台だと評価しています。」(出典: MoreBikes)

まとめ

新型Kawasaki Z650Sは、軽量トレリスフレームと素直なハンドリングを核に、TFT、KTRC、スマホ連携といった現代装備をようやく手にしたミドルネイキッドです。英国価格7,199ポンドはクラス最安水準で、初めてのミドル選びにも、基礎を磨き直したい経験者の練習機にも刺さります。MT-07ほどの調整幅、CB750ホーネットほどの電制はありませんが、車体の素性で勝負する潔さが魅力です。私のガレージにあるZ650からの正常進化として、後継候補にも十分なり得ます。日本での正式導入時期は現時点で未確定ですが、気になる方は最寄りのKawasakiプラザで現行Z650に試乗し、後継のフィーリングを想像してみることをおすすめします。タイヤとクイックシフター追加を前提に予算を組むと、満足度は一段上がるはずです。

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