90年代の傑作CBR600F2は今こそ輝く!ホンダ党が語る色褪せない技術屋魂と機能美
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愛車を磨く時間が何よりの至福、そんな週末を過ごしていますか?

こんにちは、ライターの田中恒一です。最近は天気が不安定で、ガレージにこもって愛車のチェーンを磨く時間が増えています。それはそれで、機械と対話するようで悪くない時間です。

90年代の傑作CBR600F2は今こそ輝く!ホンダ党が語る色褪せない技術屋魂と機能美

さて、今回は海外のライダーから寄せられた「この古いスポーツバイク(CBR600F2)はクールだと思うか?」という問いかけについて、私の経験とホンダ愛を交えてお話ししたいと思います。

結論から言わせていただきます。CBR600F2はクールどころか、現代のバイクが失ってしまった「二輪車の根源的な楽しさ」が凝縮された、まさに尊い存在です。

私が所有するBROS(ブロス)や、かつて乗っていたCB-1と同じ時代、つまり90年代初頭のホンダ車には、今のコスト重視の設計とは一線を画す、エンジニアの狂気にも似た情熱が詰まっています。私の愛車遍歴、特にX4のようなメガクルーザーや、現在のNC750Xでの実用的な視点も踏まえつつ、なぜこのF2が今なお輝きを失わないのか、業界視点で解説していきます。

業界視点で紐解く、CBR600F2が最高に「クール」な3つの理由

1. 「優等生」という名の最強の性能

ホンダ車はよく「優等生」と評されます。刺激が足りないなんて言う人もいますが、元業界人の私から言わせれば、それは大きな間違いです。誰が乗っても速く、壊れず、扱いやすい。これを高次元でバランスさせる技術こそが、実は最も難しいのです。

CBR600F2(PC25)は、まさにその結晶です。私が以前乗っていたX4は、その巨体とトルクで直線を豪快に走るのが醍醐味でしたが、F2は街乗りからサーキットまで、あらゆるステージを涼しい顔でこなします。この「懐の深さ」こそがホンダの真骨頂。エンジンを限界まで回しても悲鳴を上げず、むしろ歓喜の歌を歌うような直列4気筒のフィーリングは、現代の環境規制で牙を抜かれたエンジンとは別物です。技術屋魂を感じずにはいられません。

2. 時代を超越した「機能美」デザイン

最近のスポーツバイクは、空力を意識しすぎて昆虫のような複雑なデザインが増えました。しかし、F2を見てください。あの少し丸みを帯びたフルカウル、通称「ジェリーモールド(ゼリーの型)」とも呼ばれる流麗なライン。

私のガレージにあるBROSもそうですが、この時代のホンダデザインは、シンプルでありながら筋肉質な力強さがあります。無駄な装飾を排し、機能そのものを形にした美しさ。これこそが、30年経っても色褪せない理由です。一周回って、今の若者にはこのレトロなフルカウルが新鮮に映るのも納得です。ネオクラシックブームなんて言葉がありますが、これは「本物のクラシック」が持つ説得力です。

3. 実は現代に通じる「万能性」

私は現在、NC750X(DCT)をメインに乗っています。NCは実用性と燃費、そして収納力を兼ね備えた現代の傑作ですが、CBR600F2はその先祖とも言える「オールラウンダー」の資質を持っています。

当時の600ccクラスは、現在のSS(スーパースポーツ)ほど前傾姿勢がキツくなく、ツーリングにも十分使えるポジションでした。私が30代で乗っていたST1300パン・ヨーロピアンほどの快適性はありませんが、スポーツ走行とツーリングを一台でこなせるという意味では、F2は現代のミドルクラスのお手本のような存在です。「速いのに疲れない」なんて、今のSSでは考えられませんよね。このバランス感覚、本当にが生えるほど完成されています。

所有するために必要な費用の目安

さて、いくら名車とはいえ30年前のバイクです。購入してそのまま乗れるとは思わないでください。ここからは現実的な「維持の沼」についてお話しします。

  • 車両価格: 状態によりますが、底値で40万円〜上物は80万円程度。
  • 初期整備費: 20万円〜(ここが重要です)。
  • キャブレターOH: 必須です。4連キャブの同調が取れていないF2なんて、ただの鉄屑です。約5万円〜。
  • 足回り刷新: サスペンションやステムベアリングの交換。約10万円〜。
  • タイヤ交換: 当時のサイズラインナップは減っていますが、ハイグリップを入れたいところ。約5万円〜。

正直、維持費はかかります。しかし、その金額を投じて蘇らせたF2の走りは、プライスレスな感動を与えてくれるはずです。

購入前のチェックリスト

元プロとして、中古車を見る際に絶対に外せないポイントを挙げます。ホンダ車特有の弱点もありますので、要注意です。

  • レギュレーター(整流器): この時代のホンダ車の持病です。対策品に交換されているか、予備があるか確認してください。電装系が死ぬとただの重い置物になります。
  • カムチェーンテンショナーの音: エンジン始動時、「ジャラジャラ」という異音がしないか。CBR系の持病です。
  • カウルの割れと欠品: エンジン部品はなんとかなっても、外装パーツは絶版の嵐です。割れや欠けがない個体は奇跡に近いです。
  • タンク内部の錆: 年式的に錆びていない方が珍しいです。フィルター詰まりの原因になります。

よくある質問(FAQ)

Q: 初心者でも乗れますか?
A: 乗れますが、覚悟はいります。NC750XのようにABSやトラクションコントロールなんて親切な装備は一切ありません。右手の操作がそのまま挙動に直結します。それを「対話」として楽しめるなら、最高の教師になります。

Q: 部品は手に入りますか?
A: 正直、厳しいです。純正部品の多くは廃盤(ゴソウダンパーツ)になっています。海外のオークションサイトを巡回したり、流用情報を探したりする覚悟が必要です。まさに部品探しのへようこそ、です。

Q: 現代の600ccと比べて遅いですか?
A: スペック上の馬力は劣るかもしれませんが、公道でその差を感じることは稀です。むしろ、低中速のトルク感やキャブレターならではのレスポンスは、数値以上の高揚感を与えてくれます。

CBR600F2は、ホンダが世界に誇る「技術の金字塔」の一つです。もし状態の良い個体に出会えたなら、それは運命かもしれません。私のようにカブから大型まで乗り継いできた人間でも、あの時代のホンダ車に乗ると背筋が伸びる思いがします。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。安全運転で、良きバイクライフを。




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