Yamaha製Moto3エンジン、2028年からR7ベースで登場。95馬力超えの新時代
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Yamaha製Moto3エンジン、2028年からR7ベースで登場。95馬力超えの新時代

Moto3が大きく変わります。2028年からエンジン供給がYamaha単独となり、ベースはあのMT-07/R7の水冷パラレルツイン。出力は現行の約60馬力から95馬力超へ、車重は約120kgに設定される見込みです。Moto2との性能差を縮め、若手の階段を滑らかにする狙い。しかも運営コストは半減が目標という、なかなか大胆なプロジェクトです。今回はYamaha乗りとして気になるポイントを、レースファン目線と技術目線の両方から整理していきます。(出典: Visordown)

発表内容の概要:R7エンジンをベースにした新Moto3

まず事実関係を整理します。MotoGPの発表によれば、2028年からMoto3のエンジン供給はYamahaが単独で担当し、現在のKTMとHondaに置き換わります。搭載されるのはYZF-R7およびMT-07に採用されているCP2型、いわゆる689ccの並列2気筒クロスプレーンエンジンをレース用に大幅改修したもの。市販車の心臓部を競技専用に鍛え上げるという、いかにもYamahaらしい流儀です。

目標スペックは、車重120kg前後で95馬力超。現行Moto3の250cc単気筒プロトタイプが約60馬力ですから、単純計算で1.5倍以上のパワーアップになります。一方でシャシーは市販車流用ではなく、あくまでプロトタイプ構造を維持するとのこと。ここが個人的にはかなり重要なポイントで、「量産車ベースだから安っぽくなる」わけではないと明言されているわけです。

MotoGPのChief Sporting Officer、Carlos Ezpeleta氏のコメントによれば、全ライダーが完全に同一マシンで戦えること、現代の大柄化した若手ライダーの体格に合うこと、そして運営コストを現行の50%まで下げることが同時に狙われています。Moto2との性能差を縮め、ステップアップをスムーズにする効果も期待されています。TRX850を10年転がしてきた身からすると、Yamahaのパラレルツインが世界選手権の入口を担うという事実に、正直ちょっと胸が熱くなっています。

注目ポイント1:CP2エンジンの素性と改修の方向性

CP2エンジンは270度クランクの並列2気筒で、Vツインに近い不等間隔爆発と鼓動感を持つのが特徴です。私が乗っていたTRX850は同じく270度クランクの並列2気筒で、あの独特のトラクション感とバンク中の粘りは今でも忘れられません。CP2はその思想を継承しつつ、現代的な軽量コンパクトさとメンテナンス性を兼ね備えたユニットです。

市販のR7で約73馬力、MT-07でも同等レベル。ここから95馬力超まで引き上げるには、圧縮比の変更、カムプロファイルの見直し、吸排気系の徹底最適化、そして許容回転数の引き上げがセットになるはずです。ボア・ストロークをどこまでいじるかは不明ですが、レース専用ヘッドとチタンバルブ、専用ECUの投入は現実的な線でしょう。

興味深いのは、あくまで「heavily modified(大幅改修)」であって別物ではないという点。市販車と技術的DNAが繋がっていることは、Yamahaにとって開発費の合理化と広報的価値の両方をもたらします。MT-09に乗り換えてからYamahaの電子制御の詰め方に感心する日々ですが、Moto3の新エンジンで得られた燃焼制御やライドバイワイヤの知見が、いずれ市販のMT-07やR7に還元される可能性も十分あります。この「レースと市販の往復書簡」こそが、私がYamahaに惹かれ続ける理由の一つです。

注目ポイント2:120kg・95馬力というパッケージの意味

数字を並べてみると、この新Moto3のパワーウェイトレシオは約1.26kg/psになります。現行Moto3が約80kgで60馬力とすれば1.33kg/ps程度なので、実は加速性能そのものの伸びしろは劇的というほどではありません。むしろ変化は「トルクの厚み」と「速度域」に出ると私は見ています。単気筒250ccからツイン689ccになれば、低中速から立ち上がりのトラクションが別物になります。

これはライダー育成の観点で非常に大きな意味を持ちます。現行Moto3は極端に高回転を維持しないと走らない、いわば「集団走行前提」のマシンでした。だから予選も決勝もスリップストリームの奪い合いになり、若手の技量差が見えにくいという批判もあった。新型はツインらしい太いトルクバンドを使う走りになるはずで、単独でタイムを刻む力、コーナー立ち上がりでスロットルを開ける勇気、そういった純粋な速さが問われるようになります。

MT-09に乗っていて実感するのですが、電子制御込みでツインやトリプルのトルクを扱う技術は、そのままMoto2以上への橋渡しになります。若手が20歳前後で765ccのMoto2に飛び乗る現状より、ずっと自然な学習曲線が描けるはず。人馬一体という言葉が好きな私としては、ライダーがマシンと対話しながら成長できる環境が整うのは、素直に嬉しいニュースです。

従来モデル・ライバルとの比較:KTM/Hondaからの交代で何が変わる

現在のMoto3はKTM系とHonda系のシングルエンジンが競合しており、供給体制上どうしても仕様差や熟成度の違いがライダーの成績に影響してきました。ここが単一サプライヤーになるだけでも、フェアネスは大きく向上します。Ezpeleta氏が「全員が完全に同じ機材で戦える」と強調しているのは、この点への回答でしょう。

エンジン形式の比較も面白いところです。Moto2は現在Triumphの765cc直列3気筒、来季のMotoGPからは850ccの新世代マシン、そしてMoto3が689ccツイン。3クラスすべてで多気筒化・排気量アップの方向に揃うことで、ライダーの育成階段が「排気量と気筒数」の観点で段階的になります。単気筒→ツイン→トリプル→大排気量、という物理的な連続性は、教育的に見て理にかなっています。

コスト面では現行比50%削減が目標。これは供給の一本化、シャシー側のレギュレーション整理、そして市販エンジンをベースにすることによる部品供給の安定化で達成する狙いです。私は過去にSRX250やFZX250 ZEALから始めて、TRX850、MT-07、MT-09とYamahaを乗り継いできましたが、Yamahaの強みは「量産の合理性」と「レースの狂気」を無理なく共存させるところ。今回のMoto3プロジェクトはまさにその真骨頂と言えます。

誰にとって注目のニュースか:レースファンとYamahaオーナーへの意味

このニュースが刺さる層は、大きく三つに分かれると思います。一つ目は当然、MotoGPを追いかけているレースファン。エンジン供給体制の激変は今後数年のライダー移籍やチーム戦略にも影響し、2028年に向けてYamahaの各テスト情報から目が離せなくなります。ジュニア選手権にも「ローバスペック版」が展開される計画なので、日本の全日本ロードレースやアジア選手権への波及も気になるところです。

二つ目は、MT-07やYZF-R7のオーナー、または購入を検討している方。自分の愛車と同じ心臓が世界選手権の舞台に立つというのは、乗り物への愛着として無視できない要素です。日本国内でのMT-07人気を考えると、Yamahaが今後CP2エンジンを長期的に主力として位置づけていく強いシグナルとも読めます。開発リソースが集中投下されるプラットフォームは、それだけ延命と進化が期待できるということです。

三つ目は、私のようなYamahaのハンドリング哲学にハマった中級以上のライダー。プロトタイプシャシー×市販ベースエンジンという構成は、まさにTRX850の思想の現代版に見えます。デルタボックスフレームで鍛えられたYamahaのシャシーワークが、新しいMoto3でどう表現されるか。試乗はできませんが、2028年の開幕戦は生放送を正座して見る覚悟です。

まとめ

まとめます。2028年、Moto3はYamahaのCP2エンジンをベースにした新世代プロトタイプへ移行します。120kg・95馬力超という新パッケージは、Moto2との橋渡しを滑らかにし、コストを半減させ、全ライダーに同一機材を提供する三つの課題を一気に解決する狙いです。市販R7/MT-07と技術的な血がつながることで、レースと日常の距離もぐっと縮まります。今できるアクションは二つ。一つは2027年からのMotoGP新レギュレーションを追いかけて予習しておくこと。もう一つは、興味が湧いたならYamahaディーラーでMT-07やR7を試乗して、そのCP2エンジンの素性を自分の右手で確かめてみることです。ニュースの熱をリアルな体験に繋げてこそ、バイクの楽しみは深まります。(出典: Visordown)




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