
結論:「Kawasaki KH606」は、カワサキが製造・販売した2ストローク7気筒モデルではありません。英国のビルダー、Simon Whitelock(サイモン・ホワイトロック)が1999年に製作した、空冷2ストローク・直列7気筒のワンオフ・カスタムです。
ベースは1970年代のカワサキKH250系。7本のシリンダー、7基のキャブレター、7本のエキゾーストを横一列に並べた実働車です。「幻のカワサキ純正車」「2026年の新型KH606」とする情報は誤りです。
目次
KH606の基本情報
| 製作者 | Simon Whitelock |
|---|---|
| 完成 | 1999年 |
| エンジン | 空冷2ストローク・直列7気筒 |
| ベース部品 | カワサキKH250系のシリンダー、クランクケースなど |
| 吸排気 | 7キャブレター、7本出しチャンバー |
| 車体 | カワサキS3系フレームを拡幅。KH500系の足回り・クラッチ部品も使用 |
| 販売形態 | 量産・市販なし。世界に1台のカスタム |
なぜ7気筒になった?
KH250はもともと空冷2ストロークの直列3気筒です。ホワイトロックは複数のエンジンから左端、右端、中央用のシリンダー部品を集め、クランクケースとクランクシャフトを延長して直列7気筒を成立させました。
幅の広いエンジンを載せるため、フレーム、燃料タンク、シート、テールまわりも拡幅。KH250用クラッチでは容量が足りないためKH500系の部品を組み合わせ、7系統の点火に必要な電力を補うため自動車用オルタネーターも追加されています。
排気は左3本・右4本へ振り分けた7本出しです。単にシリンダー数を見せるだけでなく、始動して走行できる車両として作り込まれています。
排気量606ccは確定値?
KH606という呼称から排気量606ccとして広く紹介されています。一方、標準KH250の1気筒分を単純に7倍すると約581ccです。公開資料にはボア、ストローク、実測排気量の一次データが見当たらないため、オーバーサイズピストンなどによる606ccという説明は推定を含みます。
最高出力についてもメーカー諸元やダイナモグラフは公開されていません。「60PS以上」「非常に速い」といった記事はありますが、量産車の公称値として扱わない方が安全です。
2025年に日本で売りに出された?
KH606は2025年7月、日本のオンラインオークションに1,200万円の即決価格で掲載されたことで再び話題になりました。これは当時の出品価格であり、成約価格や現在の販売価格を意味しません。記事や動画の日付を見ずに「新型発表」と解釈しないでください。
仮に同種のワンオフ車を購入する場合は、車体番号、登録書類、輸入経路、改造申請、エンジンの整備履歴、交換部品の製作可否まで確認が必要です。量産旧車の相場表だけでは価値も維持費も判断できません。
カワサキの市販多気筒車との違い
KH606はカワサキ部品を使った個人製作車です。Z1300の直列6気筒や、現行ZX-4Rの直列4気筒のようなカワサキ純正量産車とは出自が異なります。メーカーの歴史を調べるときは、ビルダー名の付いたカスタムと公式モデルを分けてください。
カワサキ純正6気筒の系譜はカワサキ6気筒バイクの歴史、別の巨大ワンオフはZ2300 V12の正体で解説しています。
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確認資料
- KAWASAKI SEVEN CYLINDER 2 STROKE KH606(走行映像)
- BikeBound:Simon Whitelock製KH606の来歴
- MOTORRAD:2025年の車両取材と出品情報
初出:2017年7月/製作者と車両履歴を確認し、2026年8月に全面改稿。

