ヤマハが早くも2020年型YZF-R1/M発表!今度はかなり手が入りましたよ
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よりシャープでクレバーになった21年目のYZF-R1

1998年のデビューから今年で21年目を迎えるヤマハのYZF-R1。

21年目の鈴鹿8時間耐久ロードレースでYZF-R1は、ゼッケンナンバー#21の由来ともなった往年の「テック21カラー」を纏い、5連覇を狙います。

ライバルチームも新型車を次々と投入し、YZF-R1の5連覇を阻止せんと猛追の布陣で挑まんとしているところですね。

そんな中、ヤマハは今月になって海外で早くも2020年型のYZF-R1を発表しました。

今回の新型ではエレクトロニクスの更新だけではなく、エンジンやサスペンション、そしてブレーキなどにも大幅に手が加えられている模様。

この稿ではさらに前進の構えを見せる2020年型YZF-R1の内容を、制限字数目いっぱいまでお伝えしていきますよ。

よく見ると、だいぶ違う2020年型の「顔つき」

「んだよ、色変わっただけじゃん」

と言う人は、サイゼリアで間違い探しの練習をしてきてくださいね。(笑)

2020年型のYZF-R1。

新型カウルは、結構変わっているんですよ。

トップカウルの形状には段差が付き、ポジションライトもより睨みのきいた形に。

また一歩GPマシンのYZR-M1に近づいた「顔」になりましたね。

サイドカウルも、タンク周りから連続した形へと形状を一新。

アンダーカウルはステップ付近までのラインが、よりすっきりとした印象になりました。

YZF-R1の360°全景写真はこちら

これらによりエアロダイナミクスの効果が5%向上。

ちなみに欧州ヤマハサイトにあるカラーバリエーションは上記ブルーのほか、


ミッドナイトブラックの用意もあります。

またYZF-R1Mでは、ボディーワークをカーボンでまとめあげ、従来樹脂製だったテールカウルをカーボン化したのが目に新しいところ。

さらに、タンク上部先端には、プロダクションナンバーが刻印されるので、


オーナーの所有感は限りなく豊かなものになるのではないでしょうか。


しかし、ちょっと見ただけでもこのフォルム。

音叉ファンの私としては、相当なエクスタシーを感じますねぇ。

YZF-R1Mの360°全景写真はこちらです。

エンジンはEURO5に適合しつつ本気モードのバージョンアップ

トップカウルの外観を見ていて、

「あれ?もう一か所あるだろ」

と、心の中で思った方。

お待たせいたしました。

そうです、タンク前部に入っていたスリット。

ここもデザインが変更になっていますね。

ただ、この変更そのものに大きな意味はないようですが、実はこの中身が大きく変わっているんです!

2020年型では、まずエアボックス形状を含めた吸気系の見直しを図り、シリンダーヘッドの形状も変更。

より小型化されたBOSH製インジェクションを燃焼室に近づけ、バルブに対してよりダイレクトに燃料を噴射できる位置に配置しています。

そのうえで、ロッカーアームの形状を最適化し、従来よりもバルブのリフト量を増化。

さらに、バルブスプリング圧を柔らかくするなど、動弁系に徹底したフリクションロスが図られ、高回転域でのパフォーマンスを向上させたものになりました。

エンジン諸元上、最高出力;147.1kW (200PS) / 13,500r/minは変わりません。

しかし注目すべきは、最高トルク。

従来の112.4N・m (11.5kgf.m) /11,500r/minから、113.3Nm (11.6kg-m) / 11,500rpmへとトルクアップしているんです。

クロスプレーン4気筒エンジンには細部にリファインが施されて、アクセルフィーリングが従順かつよりアグレッシブなものになり、


速さにつながる扱いやすさが増強されているようです。

なにより、これだけのハイパフォーマンスをさらに向上させながら、これまでになく厳しい欧州の環境基準、ユーロ5に適合しているのというのは驚きですね。

足まわり一新でフィーリングUP!

ブラッシュアップされたエンジンに加え、今回はサスペンションにも手が加えられました。


フロントにはカヤバ製43㎜πフォークを装着。

2020年型では、この中のダンピングバルブを新型のラミネートタイプに変えています。


これが、リアサスの動きに絶妙にマッチし、R1があたかも自分の体の一部になったかのうように、路面の動きをダイレクトに感じることができるのだとヤマハのUKサイトが紹介しています。

そして、標準装備のマグネシウムホールには、ブリジストンの最新タイヤRS11を標準で装着。


先代RS10のすばらしさを知る人ならその銘柄を聞いただけで、かなりそそられるのではないでしょうか。

また、ブレーキについては、より制動性を多めた新ブレーキパットを採用。


これによりブレーキフィーリングも向上しよりコントローラブルなものになっているようですよ。

そして、YZF-R1Mではオーリンズ製電子制御サスペンション(ERS)をさらにグレードアップ。


今回は、ボトム側のキャリパーマウントにコンパクトなチャンバー室が設けられ、この中にガスが封入されています。

これはサスの作動に伴って発生するサスペンションオイル内の泡を消泡し、コーナーやアクセレーション、さらにはブレーキング時のサスの動き高度に安定させる働きを持っています。

このおかげで路面の変化により素早く適応することができるようになり、アグレッシブでありながらもライダーの感性になじみやす乗り味がもたらされ、躊躇ない走りを楽しめるようになっています。

また、YZF-R1Mでは、リアタイヤをスタンダードよりもワイドな200/55/17サイズを採用。


RS11の素性の良さが、シャープなヤマハハンドリングをより一層際立たせ、心置きなくコーナーのテイストを味わうことができるのではないかと思います。

電子制御も格段にアップグレード

これまのようなソフト面での電脳改良にとどまらず、システム全体がアップグレードされたことが2020年型への進化で特筆すべき点です。

中でも語るべきは、YZF-R1/M両車にグリップ内にスロットルポジションセンサーを内蔵したシステムが搭載されたこと。


Accelerator Position Sensor with Grip(APSG)と呼ばれるこのシステムでは、スロットルは完全に電子化され、これまでスロットルボディーから伸びていたスロットルワイヤーがありません。

このため、実に軽量なパッケージングの中でより細密なエンジンマネージメントが可能となり、乗り味のスムースさが確実に向上しているようです。

    また、今回から新しいエンジンブレーキマネージメントシステム (EBM)を搭載。

    2020年モデルではエンジンブレーキの強さを、サーキットの路面状況やコーナーの形状に合わせて3段階に変更することができ、ラップタイムの短縮に対し確実に貢献してくれるのではないかと思います。

    さらに従来から搭載されているコーナリングABSは特性を、任意で調整できるようになり、加えて2モードのブレーキコントロール(BC)を選択できるようになりました。

    これはIMUによる姿勢制御と統合されていて、バンク中の安全なブレーキングを可能とするものです。

    下の写真は、これら各電制パーツの設定画面。(YZF-R1M)


    ずらりと並んだ9つの項目を左から順に説明すると、

    1. YRCはA~Dの4つのモードの中にひとつづつ各部の設定をあらかじめ設定しておき、一括で呼び出すための走行モード設定。
    2. PWRはアクセル開度に対するエンジンの反応の強弱で、数値が高いほどアグレッシブになり、晴天のサーキットでは1を、雨天など路面の悪い場所での走行では4を選択するといった具合。
    3. SCSはスライドコントロールシステムで、コーナーリング時に横滑り防止の測るもので、1を最弱の介入度として3段階+offの設定が可能になっています。
    4. LCSはサーキットで使うロウンチコントロール、発進時のホイールスピンやウィリーを抑えながら、ロケットスタートに最適な形でエンジンを制御するという優れもの。
      この介入度も3段階の調整が可能となっています。
    5. QS▲はクイックシフター。
      左足がギアペダルをかき上げた瞬間に燃料をカットしてクラッチ操作なしもシフトチェンジを可能にするもの。
      ここでは、足がペダルに入力した際の燃料カットの長さなどを、任意で調整できるようになっています。
    6. QS▼はシフトダウン時にクイックシフターを作動させるためのもので、ライダーの好みに応じでOffを選択することもできます。
    7. LIFはリフトコントロールで、これはIMUで出力を制御し、ウイリーを抑止するもの。タイトなコーナーを切り抜けた後の長いストレートなどでタイムロスの軽減に役立ちます。
    8. EBMは先述の通り、エンジンブレーキの制御を行うもの。
      ここでは3段階の調整が可能なので、コーナーの進入にもいろいろなバリエーションを持たせられそうです。
    9. BCも先述の通りで、制動重視か旋回時の出力制御重視かで、ABSの特性を任意に選択できるようにしたもの。
      鮮やかな走りを求めるときに、これはなかなかの親切装備だと思いますね。

    ちなみにですが、こちら↓は我が愛車MT-10SPの設定画面。

    同じように、電サスを持っているMT-10SPですが、比較するとYZF-R1の守備範囲の広さが一目瞭然ですね。

    さらに、サーキット性能を高度に有するYZF-R1Mには、従来からコミュニケーションコントロールユニット (CCU)というものがあります。


    これはテールカウル内に仕込まれたGPSデータロガー。

    スタンダードではレーシングモードに設定の上、手動で(ライトのハイビームスイッチを押す)LAP計測を行うのですが、


    YZF-R1MではGPSによる自動計測が可能。

    さらに専用のアプリを使えば、画面上でコース内のどこでどんな走りをしたのかが一目瞭然になって、ライディングの改善の糧となるデーターを収集することができるんです。


    そのうえ、画面上から各電制パーツの設定も行うことも可能なので、GPマシンさながらのセッティングをしながら、スキルアップに挑戦することができるわけですね。

    もちろん、これはサーキット走行が前提の機能。

    ですが、公道でうまく使えれば、ブレーキやアクセル開度データーなどをドラレコ映像と合わせて、いざというときの証拠として活用できるかもしれませんね。

    (※CCUを公道で使用する場合には、車検記載事項の変更が必要です。)

    日本ではいつ頃いくらで発売に?

    さて、気になるのはその価格と日本での発売予定。

    現在北米ヤマハサイトに掲載されている価格を参考にするとその価格は次の通りです。

    北米ヤマハでの車両代金 2019年モデル現行車両代金
    YZF-R1 $17,399~=約190万円~ 221万6800円(8%税込)
    YZF-R1M $26,099=約280万円 307万8千円(8%税込)

    (※2019年7月17日現在のレート:1ドル108円で計算した車両代金

    おそらく今回のアップグレードでYZF-R1が6万円UPの240万円(10%税込)。

    YZF-R1Mではカーボン外装の追加ということもあり、10万円UPの324万5千円(10%税込)くらいになるとみています。

    また、販売時期に絡んで気になる話題ですが、とあるYSP店のWEBサイトには、

    「今期限りでヤマハの逆輸入車を取り扱ってきたプレストコーポレーションが解散する。」

    という旨の記載があります。

    なので、おそらく来期はヤマハからパワー制限なしの国内仕様として受注生産になるという説も濃厚?

    ヤマハ公式ツイッターで、「2020年秋以降の販売を予定」と発表されているので、いろいろと準備が大変なのでしょうね。

    まとめ

    YZF-R1は初代から2台乗り継いだ私もにとってもなじみ深い車種。

    それだけに、かなりの思い入れを込めて今回の稿を書いてみました。

    ライダーを未知の領域へいざなうYZF-R1。

    8耐5連覇はもちろんのこと、これからのさらなる進化に期待したいと思います。




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