
最近、淹れたてのコーヒーを片手にガレージで愛車を眺める時間が長くなっている気がします。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

モーターサイクルナビゲーターの田中 恒一です。52歳、元バイク業界人の視点と、根っからのHonda党としての情熱を交えて、今日も興味深いカスタムの話題についてお話しします。
今回取り上げるのは、海外のビルダーが手がけている「1982年式 Honda CB650SC Nighthawk」のレストア兼カスタムプロジェクトです。これがただの修理ではなく、電装系を最新のMotogadget(モトガジェット)製品でフル武装するという、非常に現代的かつ「わかっている」ビルドなのです。
私自身、現在はNC750Xという「走る家電」のような最新技術の塊に乗っていますが、ガレージには88年式のBROSも鎮座しています。古いホンダ車に最新のパーツを組み込む楽しさと苦労、これはもう共感しかありません。
目次
結論:古き良きホンダの鉄馬に最新の頭脳を載せる、これぞ大人の遊び
このプロジェクトの素晴らしい点は、80年代の質実剛健なホンダの車体に、現代の信頼性の高い電装システムを融合させていることです。これは、長く乗るための最も賢い選択肢の一つと言えるでしょう。
投稿者は「完全な初心者」と自称していますが、選んでいるパーツのリストを見ると、かなりのリサーチを行っていることが分かります。Rick'sのレギュレーターやAntigravityのバッテリーなど、電装系の弱点を的確に補強しています。そして何より、私が愛してやまない「ホンダのエンジンは裏切らない」という前提があるからこそ、ここまで周辺機器にコストを掛けられるのです。
業界視点で見る、このカスタムが「尊い」3つの理由
1. ベース車両CB650SCのチョイスとホンダエンジンの信頼性
まず、1982年のCB650SCを選んでいる点が渋いですね。この時代のホンダの空冷4気筒エンジンは、まさに「技術屋魂」の結晶です。私がかつて乗っていたCB-1やCB250RS、あるいはX4といったバイクたちもそうでしたが、ホンダのエンジンは基本的にオイルと燃料さえ適切なら、何十年経っても目覚めてくれます。
このビルダーが「ブランクスレート(白紙の状態)」から始めたと言っていますが、これはホンダ車の耐久性に対する絶大な信頼があってこそ成立する言葉です。エンジン本体のオーバーホールに莫大な予算を割かなくても、電装系さえしっかりすれば走る。この安心感こそがホンダの「優等生」たる所以であり、最高の性能なのです。まさに尊い存在です。
2. 電装系カスタムという名の「底なし沼」へのダイブ
リストを見て思わず唸ってしまいました。Motogadgetのm-Unit Blue、m-Lock、Motoscope Pro...。これらはバイクの配線をデジタル化し、スマートフォンで管理できるようにする最高級パーツです。
私自身、BROSの維持で一番苦労するのは電装系の劣化です。古いバイクの配線はスパゲッティのように絡まり合い、断線や接触不良の原因になります。このビルダーは、純正ハーネスを補修するのではなく、m-Unitを使って配線を一から引き直すという、ある意味で一番近道かつ険しい道を選びました。
ただ、配線図を作成中にパソコンが壊れてしまったそうで、現在は「紙とペン」で作業しているとのこと。ハイテク化のためにアナログ作業に戻るという展開には、申し訳ないですが草が生えます。しかし、手書きで配線図を引くことこそ、電気の流れを理解する一番の近道なんですよね。私も若い頃、カブの配線図をノートに書き写して勉強したのを思い出します。
3. 初心者が挑む「調べる楽しさ」とプロ顔負けのパーツ選定
「自分は完全な初心者」と言いながら、選んでいるパーツは玄人好みです。Motion ProのスロットルやCognito Motoのバッテリートレイなど、機能美を追求したブランドを選んでいます。
初心者がここまで到達できたのは、インターネット上の膨大な知識と、ホンダ車というグローバルなプラットフォームのおかげでしょう。私が業界にいた25年間でも、ホンダの部品互換性の高さや、アフターマーケットパーツの豊富さは群を抜いていました。
貯金をして、ネットを徘徊し、自分のスキルで何ができるかを考える。このプロセスこそがバイクいじりの醍醐味であり、完成した時の喜びは何物にも代えがたいものです。NC750XのDCTがもたらす完璧な制御も快感ですが、自分で組んだ回路が機能した時の感動は、また別の種類の脳内麻薬が出ます。
カスタム費用の目安(概算)
このビルダーが揃えたパーツ類は、日本円に換算するとかなりの金額になります。もし同様のカスタムを検討される場合の参考にしてください。
- Motogadget m.unit blue: 約60,000円(配線の集中管理ユニット)
- Motoscope Pro (メーター): 約65,000円
- m.lock (キーレスエントリー): 約25,000円
- Motogadget周辺パーツ類: 約30,000円
- Antigravity リチウムバッテリー: 約25,000円〜
- Speedmotoco ヘッドライト&ステー: 約30,000円〜
- Rick's Motorsport レギュレーター等: 約20,000円〜
パーツ合計だけで約25万〜30万円コースです。これに車両代と、その他消耗品が加わります。まさにカスタム沼ですが、信頼性と機能美を手に入れる対価としては適正と言えるでしょう。
レストア&カスタム開始前のチェックリスト
もしあなたが、ガレージに眠る古いホンダ車(例えば私のBROSのような)を起こそうとしているなら、以下のポイントを確認してください。
- メインハーネスの状態: 硬化してひび割れていませんか? m-Unit化は究極の解決策ですが、難易度は高いです。
- 充電系統: レギュレーターとジェネレーターは古いホンダ車の数少ない弱点です。新品への交換を強く推奨します。
- 予算管理: 今回の事例のように、パーツ代だけで車両価格を超えることはザラにあります。「愛」でカバーできる範囲か冷静に判断しましょう。
- 情報の確保: サービスマニュアルは必須です。パソコンが壊れても大丈夫なように、紙のマニュアルも用意しましょう(笑)。
よくある質問(FAQ)
- Q: 初心者がいきなり配線の引き直しをしても大丈夫ですか?
- A: 覚悟と時間は必要ですが、可能です。特にMotogadgetのm-Unitのような製品は、配線を簡素化するために作られています。ただし、電気の基礎知識(プラスとマイナス、アースの重要性など)は必須です。私のカブいじりの経験から言えば、失敗から学ぶことの方が多いですよ。
- Q: なぜ古いバイクにリチウムバッテリーを使うのですか?
- A: 小さくて軽いため、カスタムの自由度が高まるからです。特に「スカチューン(サイドカバー内を空洞にするカスタム)」をする場合、バッテリーの隠し場所を作るのに役立ちます。ただし、古いバイクの充電電圧に対応していない場合があるので、レギュレーターもセットで現代のもの(MOSFET型など)に交換する必要があります。
- Q: 80年代のホンダ車でおすすめはありますか?
- A: ナイトホークシリーズはもちろん、CB750Fや、私が愛用していたCB-1(これは89年ですが)などは、エンジンの耐久性が高く、部品もまだなんとかなる範囲です。「優等生」と呼ばれるバイクほど、カスタムのキャンバスとしては優秀なんですよ。