
2026年5月14日、トヨタが新型ランドクルーザー「FJ」シリーズの発表とあわせて、ちょっと毛色の違うモビリティを公開しました。電動パーソナルモビリティ「LAND HOPPER(ランドホッパー)」です。発売は2027年春以降の予定。
「トヨタの新しい乗り物」と聞くと四輪の話に聞こえますが、このランドホッパーは私たちバイク乗りこそ注目すべき一台です。なぜなら、その心臓部に「前2輪のリーン機構」― つまり"傾いて曲がる"という、バイクと地続きの仕掛けが入っているからです。
目次
ランドホッパーとは何か ― 免許不要の「特定小型原付」
まず、ランドホッパーがどんなカテゴリーの乗り物なのかを整理しておきましょう。ランドホッパーは特定小型原動機付自転車(特定小型原付)に区分されます。
特定小型原付は、電動キックボードなどでおなじみの比較的新しい車両区分です。大きな特徴は2つ。運転免許が不要(16歳以上であれば乗れる)で、法律上の最高速度が時速20kmに制限されること。手軽さと引き換えにスピードは控えめ、という設計思想のカテゴリーです。
つまりランドホッパーは「免許を持っていない人でも、16歳以上なら乗れる電動モビリティ」。バイクとはまた違う、もっと気軽な移動の道具として企画されています。

注目は「前2輪リーン機構」 ― これは"傾く多輪"の系譜だ
ここからが、motonavi として一番伝えたいポイントです。ランドホッパーは前2輪の3輪構造を採用しています。そして、ただ前輪が2つあるだけではありません。
トヨタの説明によれば、フロントの左右輪はチェーンやバネで機械的につないだリーン機構を備えています。リーン、つまり車体が傾く。これによって、2輪でも4輪でもない一体感のある走行フィールを生み出し、オフロードでも低速から高速まで安定して走れる ― としています。
この「前2輪が傾く」という発想、motonavi の読者ならピンとくるはずです。ヤマハのトリシティやNIKEN(ナイケン)、かつて紹介したスイス製のQuadro ― 「リーンするマルチホイール」は、二輪メーカーが長年挑戦してきたテーマでした。それがいま、トヨタの手で、免許不要の手軽なモビリティという形に降りてきた。傾いて曲がる楽しさを、もっと多くの人に開こうという試みなのです。
プロトタイプのスペック ― 折りたためる小さな相棒
公開されたプロトタイプの主要諸元は次の通りです。
- 全長1,370 × 全幅590 × 全高990mm
- 折りたたみ時:680 × 450 × 800mm(サドルなし)
- ホイールベース:985mm
- 乗車定員:1人
注目すべきは折りたたみ時のコンパクトさ。全長1,370mmの車体が、畳めば680mmまで縮みます。一方で、車両重量・モーター出力・バッテリー容量・航続距離といった数値は、現時点では公表されていません。プロトタイプ段階なので、ここは続報待ちです。

「ランクルの先」を走破する ― ランドホッパーのコンセプト
ランドホッパーが面白いのは、それが単体の乗り物ではなくランドクルーザーとセットで考えられている点です。
折りたためる車体は、ランドクルーザーの荷室に積んで運べるように設計されています。クルマで行けるところまで行き、その先 ― 山林の未舗装路のような「ランドクルーザーでも入り込めない領域」を、このランドホッパーで走破する。トヨタはこれを「ランドクルーザーの思想の延長」と位置づけています。
日常の足としても、目的地に着いてからのトレッキング的な相棒としても使える。前2輪構造によるオフロードでの安定性は、まさにこの「クルマの先を走る」ための装備というわけです。クルマとモビリティを組み合わせて移動の楽しさを広げる ― この発想自体が、ひとつの提案になっています。

まだ分からないこと ― 価格・性能・発売時期の「その先」
期待が高まる一方で、現時点で未公表の情報も多くあります。
- 価格 ― 未定。予約受付の開始時期も発表されていません。
- 動力性能 ― モーター出力、バッテリー容量、航続距離はいずれも非公表。
- 最高速度 ― 特定小型原付であれば法規上は時速20kmが上限ですが、ランドホッパー固有の数値は明らかにされていません。
- 発売時期 ― 「2027年春以降」とされており、具体的な月は未定です。
プロトタイプ公開の段階なので、これらは今後の続報で埋まっていくはずです。期待しすぎず、しかし楽しみに待ちたいところです。
モーナビ 視点のまとめ ― 「傾いて曲がる」の裾野が広がる
ランドホッパーは免許不要の特定小型原付であって、いわゆる「バイク」ではありません。それでも私たちがこの一台に注目するのは、「前2輪が傾く」という、二輪の世界が長年磨いてきた発想が、まったく新しい文脈で形になった</strong >からです。
トリシティやNIKENが「バイク乗りのためのリーンマルチホイール」だったとすれば、ランドホッパーは「免許を持たない人にも、傾いて曲がる楽しさを届ける」試み。傾いて曲がる気持ちよさの裾野が、また少し広がろうとしています。2027年春、このユニークな3輪がどんな姿で市販されるのか ― モーナビは続報を追いかけていきます。
※本記事はトヨタ自動車の公式発表(2026年5月14日)に基づいて構成しています。画像はトヨタ自動車公式提供のもの。スペックはプロトタイプのものであり、市販時に変更される可能性があります。
