

正直、トライアル競技ってあまり馴染みがなかったんですが、今回のニュースには思わず手が止まりました。ホンダの電動トライアルマシン「RTL Electric」が、TrialGPの舞台でトニ・ボウ選手の同僚であるゲラベルト選手と共に表彰台の頂点に立ったんです。電動バイクって街乗りスクーターのイメージが強いですが、レースの最前線で結果を出し始めています。私はPCX160で通勤、GB350で休日を走る普通のライダーですが、こういう技術って遠くないうちに自分の通勤バイクにも降りてくるはず。今日はそのRTL Electricの仕組みと、私たちの日常に何が起きるのかをゆるく深掘りします。
目次
そもそもRTL Electricってどんな仕組みのバイク?
RTL Electricは、ホンダのワークストライアルマシン「RTL」シリーズの電動版です。トライアル競技は岩場や丸太を超えていく超低速の技術系競技なので、エンジンの「微妙なトルクの出し方」が命なんですよね。電動モーターはここで強烈な武器になります。なぜなら、モーターはアクセルを開けた瞬間に最大トルクを出せるから。エンジンみたいに回転数を合わせる必要がない、というのが電動の最大の特徴です。ガソリンエンジンだとクラッチを当てたり半クラを使って瞬間的なトルクを作り出すんですが、電動は0回転からドンと押し出せます。私のGB350の348ccエンジンは低回転がトコトコ気持ちいいタイプなんですが、トライアルみたいに「岩を一発で乗り越える瞬発力」は得意じゃないんです。電動だとそこが根本的に違う。バッテリーの位置を低く配置できるので、低重心化もしやすく、足つきや取り回しにも効いてきます。ちなみにライバルのGasGasやVertigoも電動化を進めていて、ホンダだけの専売特許ではないんですが、今回のTrialGPでの好成績は技術が実戦レベルに来たことの証明だと思います。
従来のガソリンRTLとの決定的な違い
従来のRTL260FはCRFベースの260ccエンジンを積んでいて、トニ・ボウ選手が長年世界選手権を制してきた名機です。じゃあ何でわざわざ電動にしたの?という話なんですが、ポイントは3つあると私は見ています。1つ目は「音」。トライアル会場って実は閑静な山林で開催されることが多くて、騒音規制が年々厳しくなっています。電動なら会場選びの自由度が上がる。2つ目は「メンテナンス」。ピストンやバルブクリアランス調整といった内燃機関特有の作業がごっそり消えます。3つ目は「制御の細かさ」。エンジンマップの調整は燃調・点火時期など複数要素ですが、モーターはソフトウェアで出力カーブを自在にいじれます。ライダーごと、セクションごとに違うマップを瞬時に呼び出せるんです。一方で航続時間と充電という弱点もあって、トライアルは1日中走る競技なのでバッテリー容量と熱管理が課題。今回のニュース(出典: https://news.google.com/rss/articles/CBMiiAFBVV95cUxPYV9hUEtIUE9MYzdyNjZpTzFTbGlNa0M5dGJ3MkxHTTZYZXZrUm5SOXRJMDNKR2J2elFPMjNLQU1fUi1WQnlYVUM2TGRjU05RSTVfakZfSGtMWXpSXzZTVExNT1JDYW1kSmFxXzIxSW5vcktMUE50a1IxUllINVJLZ1JqTmhfRVVO?oc=5)で結果を出したということは、その課題にも一定の答えを出せたということだと思います。
実際の走りで何が変わるのか
電動になると、ライダーの操作感が想像以上に変わると言われています。ガソリン車だとアクセルを開けてから回転が上がって、それからトルクが出るというワンテンポの遅れがあるんですが、電動はその遅れがほぼゼロ。代わりに「クラッチを当てる感覚」がなくなるので、ベテランほど最初は戸惑うらしいです。ゲラベルト選手はトニ・ボウ選手と並ぶレプソル・ホンダのワークスライダーで、彼が電動マシンを乗りこなして好成績を出したのは、若い世代ほど電動への適応が早い証拠なのかなと感じます。私自身、PCX160でストップ&ゴーの多い都内通勤をしていますが、もしこれが完全電動になったら、信号スタートの一瞬の前に出る感覚はかなり気持ちいいだろうな、と想像します。トライアルマシンの瞬発力は街乗りスクーターのスタートダッシュにも応用できる技術。リバースギアも簡単に組み込めるので、駐輪場での切り返しが楽になる、なんて未来もありえます。電動は単純に「速い遅い」じゃなくて、操作の自由度を増やしてくれる技術なんですよね。さらに音が静かになることで、早朝の出勤時に近所に気を使う必要も減るはず。GB350の鼓動感とはまた違う魅力が、電動には間違いなくあると感じています。
整備性と耐久性、ユーザー目線で見るとどうか
私が一番気になるのは正直ここです。整備性と耐久性。GB350を3年近く乗っていますが、オイル交換やプラグ点検が「機械をいじってる感」があって楽しい。一方で電動になればその儀式は消えます。代わりに気にするのはバッテリーの劣化と充電サイクル。スマホと同じで、バッテリーは消耗品なので何年で交換が必要か、いくらかかるかが購入判断のキモになります。トライアルマシンレベルの高出力バッテリーはまだ高価ですが、量産バイクに降りてくる頃にはかなりこなれた価格になるはず。メンテ費用の総額で見たら、ガソリン車より安くなる可能性も十分あります。盗難対策の観点でも電動は面白くて、バッテリーキーやスマホ連動の始動ロックなど、ソフトウェアレベルでの防犯が組み込みやすい。物理キーをこじ開けて持っていかれるリスクが減るのは、駐輪場ユーザーとしてかなり心強いです。一方で水濡れや真夏の高温下でのバッテリー劣化など、日本の気候特有の心配もあって、そこはホンダの「裏切らない」品質管理に期待したいところです。PCX160で雨の日も毎日乗っている身としては、防水性能と長期耐久性は絶対に妥協できないポイント。競技で鍛えたタフさが市販車に降りてくれば安心です。
電動化の流れと、私たちの通勤バイクへの影響
競技マシンの技術って、5年から10年かけて市販車に降りてきます。MotoGPの電子制御が今のCBRに入っているように、RTL Electricで磨かれた制御技術はいずれPCXやリードといった通勤コミューターに反映されるはず。ホンダはすでにEM1 e:という電動スクーターを国内販売していて、原付一種クラスから電動の足場を固めています。RTLで培う「低速域の繊細なトルク制御」と「過酷な使用条件での耐久性」のノウハウが入ってくれば、次世代PCXの電動版なんて出てもおかしくない。私が注目しているのは、電動化と同時に進む「軽量化」と「コンパクト化」です。トライアルマシンは軽さが命なので、ここで開発された軽量バッテリーパックの技術はそのまま街乗りバイクにも効きます。原付二種クラスの車両重量って130kg前後が一般的ですが、これが100kgを切ってきたら駐輪場での取り回しが激変します。女性ライダーや小柄なライダーも乗りやすくなる。電動化は環境対応の話だけじゃなくて、バイクをもっと身近にする技術革新なんだと、今回のニュースを見て改めて感じました。
まとめ
RTL Electricの勝利は、電動バイクが「環境にやさしいけど遅い」というイメージを完全に塗り替えた象徴的な出来事だと思います。瞬発トルク、静粛性、ソフトウェア制御の自由度。トライアルという過酷な世界で結果を出したことで、技術の信頼性が一気に裏付けされました。私のような通勤メインのライダーにとっても、いずれPCXやリードクラスにこの技術が降りてくる日が必ず来るはず。次に注目したいのは「バッテリー交換ステーションの普及」です。ホンダはガチャコ(バッテリー交換式)の規格化を進めていて、そこが整えば充電待ちのストレスから解放されます。気になる方はまずEM1 e:の試乗から始めてみるのもありです。ホンダドリーム店などで体験できる店舗もあるので、電動の未来をぜひ自分の手で確かめてみてください。

