

「青汁王子」の異名でおなじみの実業家・三崎優太氏が、ついにバイク業界に殴り込みをかけた。2026年5月19日、彼が率いる三崎未来電子株式会社から、配達業務に特化した電動バイク「L-noa(エルノア)」の発売が正式に始まったのだ。価格は67万円(税込)。新聞配達やデリバリーの現場をひっくり返すべく投入されるこの一台は、国内最大手のHonda・Yamaha・Suzukiが長年握ってきた配達バイク市場の構図を、本気で書き換えにいくつもりらしい。果たして「青汁王子のバイク」は単なる話題作りで終わるのか、それとも本気で業界に風穴を開けるのか。現時点で判明している全情報を、忖度なしで掘り下げていく。
目次
「青汁王子」がEVバイクを売り始めた理由
三崎優太氏といえば、ファビウス株式会社の青汁ヒット商品「すっきりフルーツ青汁」で20代にして年商130億円を達成、その後の脱税報道や復活劇でも世間を騒がせた異色の経営者だ。YouTube登録者は約100万人、X(旧Twitter)でも頻繁にトレンド入りする発信力の持ち主である。
そんな彼が、なぜ今バイクなのか。答えは彼が代表を務める三崎未来ホールディングス(MFH)のサイトを見れば一目瞭然だ。MFHは現在、
- 高級不動産ブランド「LUVIA」
- YouTube事業
- 経営者コミュニティ「REAL VALUE」
- ヴィンテージセレクトショップ「MIXTHINKS」
- 化粧品・健康食品の「FABIUS」
といった多角的事業を展開しており、その第6の柱として2024年5月に三崎未来電子株式会社を設立。EVバイク事業を本格スタートさせた。単発の話題作りではなく、グループ戦略のど真ん中にEVモビリティを置いてきたわけだ。
しかも2025年7月29日には、経済産業省の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」に正式採択されている。国が認めた本気のメーカーなのだ。

主役「L-noa(エルノア)」とは何者か

L-noaは、ひと言で表すなら「配達業務に振り切ったEVスクーター」だ。Hondaのベンリィ、Yamahaのギア、Suzukiのアドレスといった既存の配達バイクが土俵としてきた市場に、電動という新しい武器を持って参戦してきた格好になる。
公式スペックを表にまとめると以下のとおり。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 区分 | 原付一種(新基準原付) |
| モーター | ブラシレスDCモーター(インホイール方式・リヤ搭載) |
| 定格出力 | 0.58kW |
| バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン電池 3.99kWh |
| 航続距離 | 155km(30km/h定地走行予測値) |
| 充電時間 | 約7時間(家庭用100V) |
| 車両重量 | 128kg |
| 寸法 | 1,940×665×1,090mm |
| シート高 | 730mm |
| 価格 | 670,000円(税込) |
注目すべきは、「家庭用100Vコンセントで充電可能」という点だ。これは配達業者にとって、専用充電インフラの追加投資が不要であることを意味する。Hondaのベンリィe:が交換式バッテリー(モバイルパワーパックe:)に依存しているのとは対照的な思想と言える。
走るインフラ「インホイールモーター」搭載

L-noaが採用したインホイールモーターは、後輪のホイール内部に直接モーターを内蔵する方式。チェーンやベルトなどの伝達機構が不要で、構造がシンプルになる。これは部品点数が減ることでメンテナンスコストが下がり、故障リスクも低減できるという、配達現場には嬉しい設計だ。
そして、前後ディスクブレーキを標準装備。この価格帯の原付一種としては破格の制動性能である。

全4色のカラーバリエーション
L-noaは個性ある4色で展開される。

- ピュアホワイト:法人ロゴラッピングが映える定番
- アーバンレッド:街中でひと際目立つ攻めの一色
- ゴールデンイエロー:新聞販売店の象徴的カラーに親和性
- スレートグレー:落ち着いたモダン仕様
新聞販売店やデリバリー企業がブランドカラーに合わせて選べるラインナップになっているのが上手い。
配達現場ガチ仕様の装備たち
L-noaの真骨頂は、装備のひとつひとつが「現場で本当に役立つか?」という視点で設計されている点にある。
1. リバース機能搭載

128kgの車重を後ろに押し戻すのは想像以上に重労働。L-noaは原付では珍しいリバース機能を備え、狭い駐輪場や坂道での切り返しを電動アシスト。配達中の細かい動きが格段に楽になる。
2. 広大なフットスペース

新聞の大型バッグや弁当ケースを足元に置けるよう、フロアを徹底的にフラット化。Hondaベンリィの大容量積載思想を継承しつつ、足元の自由度はさらに上を行く。
3. 大型LEDヘッドライト

早朝・深夜の業務を想定し、視認性に振った大型LED。配達員の安全直結装備だ。
4. 高精細液晶メーター&USB電源

スマホナビを使う現場の声に応え、USB電源ポートを標準装備。配達アプリの電池切れに悩まされる時代に、地味だが効く一手。
5. 業務専用シート設計

長時間の停止・発進を繰り返す配達業務に最適化された専用シート。座面の素材・形状とも、Yamaha E-Vinoのような街乗り原付とは別物の設計思想だ。
Honda・Yamaha・Suzukiと徹底比較
L-noaが投入された配達バイク市場には、当然ながら既存の強豪がひしめいている。スペックを並べてみよう。
| モデル | 価格(税込) | 航続距離 | バッテリー | 充電方式 |
|---|---|---|---|---|
| 三崎未来電子 L-noa | 67.0万円 | 155km | 3.99kWh固定式 | 100V家庭電源 |
| Honda BENLY e: I | 73.7万円 | 87km(30km/h) | MPP交換式×2個 | 専用充電器 |
| Yamaha E-Vino | 31.5万円(生産終了) | 32km | 50V交換式 | 100V家庭電源 |
| Suzuki アドレス125(ガソリン) | 28.1万円 | (ガソリン約60km/L) | なし | 給油 |
ここから見えるL-noaの圧倒的アドバンテージは「航続距離」だ。Hondaベンリィe: Iの約1.8倍、Yamaha E-Vinoの実に約5倍。1日中走りっぱなしの配達業務において、これは決定的な差になる。
一方Hondaのモバイルパワーパック交換式は、営業所での即時バッテリー交換が可能というメリットがある。「途中で切れたら終わり」のL-noa固定式とは、運用思想が真逆と言っていい。
Suzukiは現時点で原付クラスの電動バイクをラインナップしておらず、配達現場はガソリンのアドレス125・アヴェニス125が主力。「EV化の波に最も乗り遅れているのがSuzuki」という構図が、L-noa登場でより鮮明になった形だ。

価格67万円は高いのか?安いのか?
正直、原付一種としてはかなり高い。Yamaha E-Vinoの倍以上、Suzukiアドレスの2.4倍だ。
しかしHondaベンリィe: I(73.7万円)より約6.7万円安く、しかも航続が約1.8倍。「Hondaがやれていない領域」にピンポイントで攻め込んでいる価格設定なのが分かる。
加えて、ガソリン代・オイル交換・チェーン整備が原則不要になることを考えれば、3年で十分元が取れる計算。新聞販売店・宅配業者の経営者にとって、TCO(総保有コスト)で見れば現実的な選択肢だ。
「青汁王子」ブランドはバイク販売に活きるのか
ここからは予想だ。三崎優太氏のYouTube・X影響力はB2C向けに圧倒的だが、L-noaのターゲットは法人である。新聞販売店長・宅配企業の購買担当が「青汁王子の会社だから買う」と判断するかは、正直微妙。
ただし、彼のブランド力はメディア露出という形でL-noaに莫大なPR効果をもたらすだろう。本記事のように、出すだけでメディアが取り上げる。新興メーカーが最も苦労する「知ってもらう」コストを、ほぼゼロで突破できる強みは計り知れない。
経産省補助金採択という事実もあわせ、「単なるタレント企業ではない」と業界に認知させる準備は整っている。

まとめ:配達EVバイク戦争の幕開け
L-noaは、青汁王子の単なる話題作りではなく、配達EVバイクという成長市場に本気で殴り込みをかけた一台だ。
- 航続155kmはクラス最強級
- 100V家庭充電でインフラ投資不要
- 67万円はHondaより安く競争力十分
- リバース機能・大型フットスペースなど現場特化装備
- 経産省補助金採択済みの信頼性
Suzukiが沈黙し、Yamahaが生産終了し、Hondaのベンリィe:が独走してきた配達EV市場に、強烈な対抗馬が現れた。バイク選びは、単にメーカーロゴで決める時代ではなくなりつつある。
予約はmisaki.co.jp/reserve/から30,000円(税込)で受付中。配達業務に関わる事業者なら、一度カタログを取り寄せて検討する価値は十分にあるだろう。motonavi編集部としても今後、実機レビュー・耐久テストの可能性を探っていきたい。
(※画像出典:三崎未来電子株式会社 公式サイト https://misaki.co.jp/)
