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NIKENいよいよ国内へ

昨年の東京モーターショー2017において正式発表されたNIKEN。

その独特のフォルムは、多くのライダーに様々な想像力を掻き立てているところです。


昨年11月東京モーターショーでのアンベール直後の様子

9月13日、ヤマハはついにNIKENを国内向けて受注生産を開始、同日からその受注受付を開始すると発表しました。

正式にアナウンスされた価格は178万2000 円(税込み)。

YAMAHAの海外サイトでは194~195万円くらいで案内されているので、この値段でLMWの世界を楽しむことができるとしたら、ベストな価格だといえるでしょう。

いよいよあの独特なスタイル、そしてさらなる人機官能の世界が、私たちの街にやってきます!

LMWを持つスポーツバイク、NIKENの世界観とはいったいどんなものなのか?

今回はそのでティールだけでなく、乗り味についても解析もしていきたいと思います。

官能を安全に味わう前2輪

まだ体験したことのないことについて、人間の反応というのは

  • なんとか敬遠しようとする。
  • 興味や関心を持って引き寄せる。

大方この相反する2方向に分かれると思います。

発表以来、ネットの反応をいろいろ見てきましたが、あまりに革新的、かつ独創的なバイクであるが故、NIKENついての反応もまた然りです。

見慣れないルックスから、常に自立した退屈な3輪だと考えている人は意外に多いようですね。

そうした誤解も敬遠の理由の一つになっているのかもしれません。

しかし、最大の特長でであるこのLMW機構はバイクを自立させるための機構ではありません。

 

LMW(Leaning Multi Wheel)の「Leeninng」とは、「傾く」という意味。

なので、停止時には足をつかなければならず、スタンドを立てなければマシンを倒してしまいます。

では何故前二輪なのか?

結論から言ってNIKENは、これまでのどんなバイクよりも、安全かつ気楽に「悦」な走りが味わえるバイクです。

その理由を表しているのが、昨年お伝えしたこちらの記事。

この記事はトリシティー155と、同一排気量のマジェスティーSとを乗り比べた上でNIKENの母体となるMT-09に試乗し、NIKENの走りを脳内でモンタージュした内容となっています。


その時の様子

これはNIKENの走りを語るうえで重要なヒント。

改めて上記の記事の要点をお話しておきましょう。

当日のコース上は砂利が浮いて荒れていたので、マジェスティーSではコーナー侵入時のブレーキングや寝かし込みの動作に怖さを感じる部分がありました。

しかし同じコースをLMWのトリシティーで走ると、路面の粗さを感じることなく、まるで別の路面を走っているかのように安定して走行できることに驚かされます。

つまりLMWなら滑りやすい路面に神経質になることなく、思い切ってコーナーに飛び込んでいける感覚があるのです。

確認のためもう一度マジェスティーSに乗せてもらいましたが、やはりフロントが砂利で逃げる感覚があり、怖くてとてもトリシティーと同じ勢いで走ろうという気にはなれませんでした。

このことを気に留めながら、ちょっと想像してみてください。

MT-09を母体とした845㏄のエンジンを持ち、電子デバイスなど先進のスポーツ装備も備えたバイクに、この絶大な安心感が加わるということを。

LMWの基本的な性格想像するに、これは見た目以上に相当アグレッシブな動きに対応でき、しかもそれを簡単かつ安全に操ることができるでしょう。

…と、お伝えしたのは約1年前。

今回ヤマハは、NIKENの走りを「リラックス&エキサイトメント」と表現し、公式ページの中でLMWの実証動画をアップしています。

見る限り、一年前の記事の答え合わせになっているような気がしますが、予想もまんざらでないと小っさくガッツポーズをしております。

ディテール

前回の記事は東京モーターショー前に書いたもの。

つまり、ヤマハが開発を公表していた「MWT-09(のちのNIKEN)」に対する乗り味の予測を書いたものでした。

当然、詳細な数値やディテールは詳しく書くことができなかったので、今回は正式に発表された内容を元に、筆者の視点で解説してみようと思います。

2軸式ステムを持つ専用フレーム

MT-09から派生した車両でもあるNIKENですが、フレームはLMWのダイナミックな走りを可能にするための専用フレームとなっています。

特にステム部をアップすると、通常バイクとは違い、2軸式のステムを採用していることがわかりますね

写真手前の軸にハンドルがついていて、奥の軸にLMW機構が装着されます。

これはフロントカウルを上から透視した図ですが、写真上が前、下がハンドル側になります。

赤く囲ったように、前後の2軸は、リンクのついたロッドで連結されているのですがわかりますか?

このリンクが左右のサスペンションを結ぶタイロッドを動かして前2輪に舵角を与え、安定感のある動きを支えています。

新機構「アッカーマンLMW」とは

同じLMW車でも、NIKENにはトリシティー以上に、「エキサイトメント」に対する工夫がなされています。

例えば、トリシティーの場合は片持ちテレスコピックサスが内側についていますが、

NIKENの場合は外側についていますね。

トリシティーのLMWは、4輪で一般的に採用されている「アッカーマン・ジオメトリー」を採用しています。

つまり、こうやって内輪の「トー角」を大きくすることで安定性を出すわけですね。

しかし、NIKENはスポーツバイクとして違和感のないエキサイティングな走りを楽しめることが要求されます。

例えばバンク角を深くとってヒラヒラと舞うようにコーナーを駆け抜ける気持ちよさ。

一般的なアッカーマンでこの感覚を求めようとすると、バンクを深めた時に左右輪の舵角(トー角)に差異が大きくなりすぎてしまい、安定感が損なわれるのだそうです。

こんな感じですね。

これを解消するのが新開発の「アッカーマンLMW」機構。

上の写真で、金色に見えるのが「パラレログラムリンク」というマルチリンクです。

ステムを中心点として水平を保つ上下2本のマルチリンクを軸に、左右サスペンションをリーンさせる(傾ける)というのがLMWの基本構造になります。

NIKENの場合は、タイロッドをリンクでつなぎながら、左右のサスをパラレログラムリンクの左右両端にオフセットして配置しています。

これが「アッカーマンLMW」の肝となる部分です。

このおかげで、左右軸が同心円を描くので、ライダーは思ったラインを描くことができるのですね。

そして、NIKENの最大バンク角は45°。

タイヤの端まで使い切る走りをすると言ったら、2輪ではある程度の技量を要することだと思いますが、NIKENならそれが簡単にできてしまうのです。

筆者がトリシティーで感じたように、コーナーでの不安感をバイクの方でスポイルしてくれるのは、スピードレンジの違うNIKENでは相当にありがたいこと。

46番のろっしぃふみさんが、頑張って乗ってくれたとしたら、見たこともないタイムをたたき出すかもしれませんね。

しかし、NIKENから普通の2輪に乗り換えた時は、要注意で、同じ道を同じように走ろうとするのは、結構怖く感じると思います。

タンクはなんとアルミ製

写真やモーターショーで見るだけでは当然わからなかった部分ですが、燃料タンクはなんとアルミ製です。

これまでヤマハはOW-01/02そしてYZF-R1Mなどのスペシャルモデルにアルミタンクを使用していましたが、今回はNIKENにも採用されました。

左右へのモーションの軽快さに影響する部分を軽くしているわけですから、ここにはLMWの持ち味を最大に生かそうという狙いが感じられます。

転倒時に涙が出そうな修理代になるアルミタンクですが、転倒を防ぐLMWならそのリスクも少なくなるわけですね。

いずれにしても安全運転で!

これは楽ちんツアラーだ!

ミラーの位置もなかなか面白いところにありますね。

これは、体位移動があっても見やすいようにこの位置になっているのだそうです。

左のハンドルには、トラクションコントローラー、モードセレクター、そしてクルーズコントロールまで装備されています。

トラクションコントローラーは悪路や雨天にありがたい装備。

LMWとの組み合わせにより、悪天候に遭遇した場合でも、安心感を格段にUPさせてくれることでしょう。

モードセレクターも同様ですが、ワインディングや高速のレーンチェンジなど、マシンの即応感も楽しめそうです。

何より、クルーズコントロールが付いているはありがたいですね。

筆者も車でよく使いますが、やはり長距離での恩恵は絶大。

LMWと組み合わさることで、こちらもかなりの快適性が感じられるのは間違いなさそうです。

リアサスには、トレーサー900と同様にリモートアジャスターがついています。

これは、タンデム走行や荷物を多く積載したときなどに、車高の沈み込みを補正するためのもの。

リアサスの動きは、ハンドリングの素直さや安定性、さらには長距離走行での疲れにも影響がある部分なので、この装備はかなりありがたいですね。

メーターは、MT-900SPのような反転液晶。

文字のレイアウトは、見る限りMT-10(スタンダード)と同じようです。

MT-10にはスタンダードとSPの両方に乗ったことがありますが、スタンダードのレイアウトはわかりやすく、実に視認性のいいものでした。

MT-10SP同様のフルカラーTFT液晶メーターも期待しましたが、、NIKENの場合は反転液晶が全体のダークなイメージにマッチしていているような気もします。

そのメーター左横にあるのは12VDC電源。

スマホであったり、ドラレコであったり、最近は何かと便利な電子ツールが多いので、これはありがたいですね。

MT-09との比較

LMW、そしてかなり迫力のあるデザイン。

それゆえ、

  • 実際の大きさはベースと言われるMT-09と比較して、どのくらい違うものなのか?
  • 同様に、パワーユニットにはどんな違いがあるのか?

気になる方もおいでだと思います。

そこで、NIKENとMT-09の諸元を詳しく比較してみました。

車幅は7cm+

まず車体の大きさについて見ていきましょう。

NIKEN MT-09/MT-09SP
認定型式/原動機打刻型式 2BL-RN58J/N714E 2BL-RN52J/N711E
全長/全幅/全高 2,150mm/885mm/1,250mm 2,075mm/815mm/1,120mm

大きく見える車体ですが、諸元上の寸法は、MT-09比で高さ7.5㎝・車幅・7cm・全高10cmプラス。

確かに大きくなりはするものの、数値的にその差は、「印象より小さい」と思う方も多いでしょう。

3輪「ヤマハハンドリング」

さらに車体構成を数値には、「コーナリングのヤマハ」としてのこだわりが見えてきました。

NIKEN MT-09/MT-09SP
シート高 820mm
軸間距離 1,510mm 1,440mm
最低地上高 150mm 135mm
車両重量 263kg 193kg
燃料消費率 国土交通省届出値
定地燃費値
26.2km/L(60km/h) 2名乗車時 29.4km/L(60km/h)
2名乗車時
WMTCモード値 18.1km/L
(クラス3, サブクラス3-2)
1名乗車時
19.7km/L
(クラス3, サブクラス3-2)
1名乗車時
キャスター/トレール 20°00′/74mm 25°00′/103mm
タイヤサイズ(前/後) 120/70R15M/C (56V)
(チューブレス)/ 190/55R17M/C (75V)
(チューブレス)
120/70ZR17M/C (58W)
(チューブレス)/
180/55R17M/C (73W)
(チューブレス)

シート高は両車ともに820mm。

スポーツバイクとしては割と低めのシート高。

全体のボリュームがUPしている中でここが同じ数値なのは、扱いやすさへのこだわりといえるでしょう。

重さにして70kg増はたぶんこれでも相当な努力で抑えた数値だと思います。

定地燃費3.2㎞/Lマイナスは仕方ないところですが、70kg増でこれくらいの差に収めたのもの、努力の結果なのでしょう。

ホイールベースは900mmも長くなっています。

通常なら小回りが心配な増量ですが、LMWなら気軽に思い切った旋回に助けられるのではないかと思います。

また、キャスターは割と立っているので、直線での安定性も格段に上がり、相当ゆったりと下乗り味になるのではないでしょうか。

フロントタイヤのサイズはMT-09と同一ながら、NIKENには前二輪化に合わせてメーカーと共同開発した専用タイヤを採用。

リアタイヤも190→180とトレッド幅をさげています。

タイヤの組み合わせや、車体構成を見る限り、NIKENはヤマハらしいクイックなハンドリングが楽しめるバイクであることが予測できます。

味付けの違う同じエンジン

エンジンはMT-09由来の845㏄直列3気筒のCP3エンジン。

諸元の数値はほとんど同じですが気を付けてみると、細かな違いがあります。

NIKEN MT-09/MT-09SP
原動機種類 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列 直列, 3気筒
総排気量 845cm3
内径×行程 78.0mm×59.0mm
圧縮比 11.5:1
最高出力 85kW(116PS)/10,000r/min
最大トルク 87N・m(8.9kgf・m)/8,500r/min
エンジンオイル容量 3.40L
燃料タンク容量 18L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S
1次減速比/2次減速比 1.680/2.937 1.680/2.812
クラッチ形式 湿式, 多板
変速装置/変速方式 常時噛合式6速/リターン式
変速比 1速:2.666 2速:2.000 3速:1.619 4速:1.380 5速:1.190 6速:1.037

 

動力系の数値の違いは2次減速比。

つまり、スプロケットの丁数を、加速を助ける方向で最適化しているようです。

燃費の差というのも、ここからくるものなのかも知れませんね。

さらに、NIKENの公式ページ上には「MT-09/XSR900比、慣性モーメント18%UP」という文字があります。

慣性というのは、はずみ車のようなものを想像するといいでしょう。

数値には表れませんが、恐らくクランクシャフトの重さを変えるなどして、出足のをしっとり滑らかにするような味付けがされているようです。

これは早く試乗車を比較したいですね。

まとめ

乗用車には自動運転時代の到来が近いといわれています。

来るべきAI社会とバイクとを共存させるため、バイク業界は事故を現在の半分に減らすことを目標に掲げ、その方策を模索しているのです。

これらの記事でご紹介した自立運転可能なITバイクの存在もその一つ。

そして、ヤマハが提唱するLMWもまた、その方策の一つなのです。

これまで知りうる限りの情報と、筆者の体験を通してNIKENのディテールや乗り味について解析してきました。

ある意味これは、「安全やエキサイトメンとについてLMWやNIKENの性能を予測して答えなさい」というテストに対する、筆者の一解答例です。

ヤマハは10月以降、NIKENの試乗車を取扱店に順次配備していくと案内しています。

試乗車に乗りながらぜひ、この記事の答え合わせをしてみてください。

(9月中旬現在、内容は入っていませんが、試乗車検索のURLをリンクしておきますね。

その答えを見つけたとき、ヤマハが提唱する「リラックス&エキサイトメント」の意味に歓喜するあなたが、ヘルメットの中にきっといるはずです。

 

記事参照、および写真・図・諸元の出展元;ヤマハ発動機NIKEN/MT-09内の各ページ

 




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