
先に結論:XSR700は2026年8月現在もヤマハ国内ラインアップに掲載され、掲載されている2025年モデルはメーカー希望小売価格1,001,000円です。本編は国内初期の2017年型を、身長162cmの筆者が店頭で約15分、市街地試乗した記録。現行車の価格・装備と、当時の諸元・感想を混同しないように追記しました。
XSR700の魅力は689cc並列2気筒のCP2エンジンと、ネオレトロな外観、扱いやすい車体の組み合わせです。一方、足つきは「835mm」という数字だけで決められません。本編では片足の親指の付け根付近まで接地しましたが、股下、ブーツ、シート形状、サスペンションで変わるため実車確認が必要です。
目次
現行新車と旧型中古、どちらを選ぶ?
| 選択肢 | 確認すること | 向く人 |
|---|---|---|
| 現行新車 | 乗り出し総額、納期、保証、現行の装備・色、試乗車 | 保証と最新仕様を優先する人 |
| 旧型中古 | 年式、型式、整備履歴、転倒・カスタム、消耗品、純正部品 | 旧カラーや予算を優先する人 |
中古は本体価格だけでなく、タイヤ、チェーン・スプロケット、ブレーキ、バッテリー、油脂類、車検残、保証を含む購入後1年間の総額で比較してください。
試乗で確認する7項目
- 普段のブーツで片足・両足の接地と、停車時の腰のずらしやすさ
- サイドスタンドからの引き起こし、ハンドルを切った押し引き
- 低回転からのスロットル反応と、渋滞速度でのクラッチ操作
- ハンドル幅、膝の曲がり、上体、30分以上保てる姿勢か
- 80〜100km/hを想定した風防、振動、ミラー視認性
- 同乗者・荷物を載せる場合の後席、グラブバー、積載用品
- 自宅駐輪場の幅・傾斜・盗難対策と、販売店までの整備距離
購入・維持・用品を一緒に比較
XSR700の積載・風防用品を比較
以下には広告リンクを含みます。当サイトはAmazonアソシエイトの適格販売により収入を得ています。XSR700は年式で外装・取付部が異なります。車検証の型式、年式、耐荷重、用品メーカーの適合表を確認してください。
2017年型実走記:跨って感じていた「意外性」
2017年11月に発売されたヤマハのXSR700。
街中でもだいぶ見かけることが多くなったように思います。
実は欧州では2015年11月から発売されていたモデルで、国内発売を待っていた人も多かったようですね。
モーターサイクルナビゲーターの中でも、国内で初見参となったXSR700のディテールをお伝えしていました。
「ヤマハMTシリーズ試乗会」の一角に設けられた展示スペースで初お目見え。
このときは跨ってエンジンをかけることろまでは許されていたのですが、走行はNGという展示会。
しかし幸運にも、XSR700のベースとなっているMT-07 に試乗することができたので、XSR700との細部の違いから乗り味などを予測するというレポートになったわけです。
普段はXJR1300Lというローダウン&ローシート化された教習仕様車に乗っている筆者。
それだけにシート高は、パッと跨ったときにかなり高く感じました。
また同時に、マシンを垂直に引き起こすときの軽さに驚かされたのを覚えています。
- 試乗したMT-07 の印象のこの腰高でロールの軽い感じを加味したときに、よりクイックなコーナリングが予見できたこと。
- そして、兄貴分のXSR900もMT-09よりスポーツ性能が勝っているという評判を聞いていたこと。
不確かだったので記事には書きませんでしたが、実はXSR700に対して筆者は「MT-07 よりもスポーティーな一面があるのでは?」という予測を立てていました。
それだけに、実際に街中をXSR700で快走するなかで、この予測がどれほど正しかったのか、実に興味の高まるところです。
街中で噛みしめる豊かな乗り味
発売から一か月が経過し、YSPに店頭試乗車が用意されたというので、「前回の続き」として乗り味を確かめに行きました。
シート高は意外に…
MT-07のシート高は805mm、XSR700のシート高は835mmという高さ。
前回の展示ではMT-07と乗り比べたわけですが、比較した印象からシート高に関して乗る前から気持ち的にやや構えた気持ちを持っていました。
それは一つの「先入観」といってもいいでしょう。

しかし店頭でいざXSR700に乗ってみると、足が無理なく接地しているのに驚かされました。
流石に両足は無理でしたが、片足で親指の付け根辺りまではしっかり接地しているのが解ります。(筆者は身長162㎝にして座高91㎝という短足のオッサンです。)
前回どうしてそう感じなかったのかはわかりませんが、タンク周りやシートの周りが写真で見る以上にすっきりできているため、脚を下に自然な形で下せています。

また、ハンドルもMT-07よりもっとアップライトで、ライダーにより近い位置に寄った印象を得ます。

なのでしっかり跨ってみると状態が起きている分、脚をゆったりさせることができているのに気づきました。
またハンドル幅もかなりワイドなので、上半身もかなりゆとりがあります。
このおかげで、意外なほどシート高を高く感じることがありません。
その上、全体的にゆったりしたポジションであるのが解り、前回の印象がかなり改まりました。
魔法のように従順なCP2エンジン

キルスイッチと一体になったスターターボタンを手前に引くと、コンパクトなシリンダーの中で並列に並んだピストンたちが歌い始めます。

ツインエンジンというと、「ドカドカっ」という音のイメージが強いかと思います。
しかしXSR700はそうした重低音的な音ではなく、ルルルっという軽やかな音が心地いい感じです。
このエンジンは「CP2」CP2と呼ばれるエンジンで270°クランクが採用されています。
90°V型2気筒エンジンであれば粘り強く伸びやかな特性を持っているわけですが、270°クランクはコンパクトな並列2気筒でその特性を発揮できるのが特長です。
実際の乗り味としては、スルスルと滑らかに加速して、走り始めた瞬間から乗り手として心がウキウキしてきます。
というのも、アクセルがライダーの右手の動きに極めて従順な動きをしてくれるのがうれしくてたまらないのです。
なので初速からかなり嬉しい気持ちにさせてくれるんですね。
中速まではルルルルルーという何とも癒されるような音と共にシルキーな乗り味が続きます。
しかしアクセルを「ぐぉっ!」と開ければドドっという鼓動と共に、野太いトルクが呼び覚まされ、一気に速度を上げていきます。
これまで様々なバイクの試乗をしてきましたが、このCP2エンジンほどライダーの意図したとおりの動きをしてくれるエンジンは他に知りません。
もしも右手で魔法が使えるとしたら、たぶんこんな感じなのかもしれませんね。(笑)
やっぱりヤマハのハンドリングだ
今回の試乗は4車線道路を約15分だけお借りして行ったもの。
なのでコーナーリングを詳しくどうこういうところまでは試せませんでした。
しかし、信号が青になって加速しながら交差点を曲がるようなちょっとした場面でも、XSR700のコーン―リングの楽しさが十分にわかります。

まず、車体もエンジンと相まって従順なもので、視線を送るだけで「スッ」とそちらを向いてくれます。
左右のロールもとても軽やかで実に取り回しが楽。
これは腰高に設定されたシート高が功を奏している部分ですね。
マシンをちょっと寝かしこみつつアクセルを開けていくと、リアにしっかりしたトラクションがかかり、グイーンとコーナーを立ち上がっていく様子がわかります。
全域にわたってとにかく従順で、特に飛ばすわけでもなくただバイクに乗っているだけなのに、こうも愉快な気分になるものかと驚いてしまします。
もしこのXSR700をワインディングに持ち込めば、ロールの軽さを味方につけてひらりひらりとスポーティーな走りができるでしょうね。
普段SSバイクに慣れている人が乗ったとすれば、山の空気も一層新鮮に気持ちよく感じることでしょう。
レトロにして「ネオ」な部分
足回りについて
そんな走りを支えるタイヤは 120/70R17M/C (58V)/ 180/55R17M/C (73V)。

標準で装着されるタイヤはピレリ―のデーモンという往年のパターンを復刻させたもの。
タイヤまでもがネオレトロというのが何ともオシャレです。
走らせていて思ったのは、この両輪共にしっかりと接地感を感じること。
エンジンの楽しさに加えてこの接地感の良さが安心感をプラスしてくれています。
ホイールデザインはMT-07と同様ですが、ブラックにするとこの外装にはスポークっぽいイメージになるのが不思議です。
正立のフロントフォークには、住友の4ポットモノブロックキャリパーが左右一対で装備され、ABSが標準で備わります。
実は筆者はABS装着バイクに公道で乗るのは今回が初めて。
なので、後続車がいないのを確認してフルブレーキングを試しました。
まずは50km/h まで加速し、リアブレーキペダルをグイッと踏み込みます。
すると若干カタカタっという作動音はしましたが、車体に余計な挙動を与えることなく停車。
続いてフロントレバーもガツンと握ってみます。
当然と言ってしまえば当然なのですが、これも同じように自然に止めることができました。
サーキット以上にツーリングでは路面の変化は多いものですから、やはりこれは安心ですね。
個性的でコンパクトなリアビュー

コンパクトなテール周りは、リアタイヤを「もりッ」とした感じに見せながらこのバイクの魅力を引き立てていますね。
レトロな雰囲気を持ちながらリアサスはモノショック。
車体の扱いやすさの要となっています。
そして先述のように脚を下におろしやすいシート周り。
このシートも見た通り厚みがあってショックを非常によくいなしてくれるので、走行中の心地よさにかなり貢献している部分です。

またXSRシリーズに一貫しているLEDのテールライトも視認性が良くしっかりまとまっていますね。
ただ、非常にコンパクトなリア周りは、タンデムツーリングなどでの荷物の扱いにちょっと工夫が必要でしょう。
新しいスタンダードの顔

フロントビューはじっくり見てみるとユニークなもの。
小径ながら前後に長いデザインのライトケースの中でマルチリフレクターがハロゲン球を照らしています。
恐らくもっと前後長を小ぶりにしたライトでも実用には足りるものと思います。
でも、このライトは、引きで見たときのレトロ感に大きく貢献していますね。
メーターはかわいいけど…
メーターはXSR900同様のシンプルなデジタルメーター。
今回試乗して一番気になったのはこのメーターでした。
メーター自体はコンパクトにまとまっていて、丸みを帯びたフォントもユニークでかわいいものです。
通常といってよいのか、ネイキットモデルであればメーターはライトの上にあるもの。
しかしXSR700の場合、かなり手前に寄っているのです。

試乗の時はフルフェイスヘルメットをかぶっていたのですが、なんとチンガードにこのメーターがすっぽり隠れてしまいます。
なのでメーターを見るためにはやや首を下に下げなければならないので、視点移動が大きくなります。
乗車にはオープンタイプのヘルメットがお勧めですね。


また、ODO メーターを表示している部分は右下のボタンを使って、時計や燃費計にもなるのですが、いずれか一つだけしか表示できません。
やはり時計は時計で独立させたうえで別にファンクションメーターがあった方が、ツーリング中はありがたいのではないかと思います

ついでに言ってしまうと、左のスイッチボックスにもやや戸惑いました。
というのもホーンのスイッチがウインカースイッチに近すぎて、どうしてもキャンセルするときに当たって鳴らしてしまうんです。
特にこの日は厚めのタイチの電熱グローブを着用していたので、余計にそれを感じました。
XSR700諸元表

| 認定型式/原動機打刻型式 | 2BL-RM22J/M410E |
| 全長/全幅/全高 | 2,075mm/820mm/1,130mm |
| シート高 | 835mm |
| 軸間距離 | 1,405mm |
| 最低地上高 | 140mm |
| 車両重量 | 186kg |
| 燃料消費率 | *1 国土交通省届出値定地燃費値 *2 38.4km/L(60km/h) 2名乗車時WMTCモード値 *3 23.9km/L *4 - |
| 原動機種類 | 水冷・4ストローク ・DOHC・4バルブ |
| 気筒数配列 | 直列, 2気筒 |
| 総排気量 | 688cm3 |
| 内径×行程 | 80.0mm×68.5mm |
| 圧縮比 | 11.5:1 |
| 最高出力 | 54kW(73PS)/9,000r/min |
| 最大トルク | 68N・m(6.9kgf・m)/6,500r/min |
| 始動方式 | セルフ式 |
| 潤滑方式 | ウェットサンプ |
| エンジンオイル容量 | 3.00L |
| 燃料タンク容量 | 13L (無鉛レギュラーガソリン指定) |
| 吸気・燃料装置/燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
| 点火方式 | TCI(トランジスタ式) |
| バッテリー容量/型式 | 12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S |
| 1次減速比/2次減速比 | 1.925/2.687 |
| クラッチ形式 | 湿式, 多板 |
| 変速装置/変速方式 | 常時噛合式6速/リターン式 |
| 変速比 | 1速:2.846 2速:2.125 3速:1.631 4速:1.300 5速:1.090 6速:0.964 |
| フレーム形式 | ダイヤモンド |
| キャスター/トレール | 25°00′/90mm |
| タイヤサイズ(前/後) | 120/70R17M/C (58V) (チューブレス) / 180/55R17M/C (73V) (チューブレス) |
| 制動装置形式(前/後) | 油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ |
| 懸架方式(前/後) | テレスコピック/スイングアーム(リンク式) |
| ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ | ハロゲンバルブ/12V, 60/55W×1 |
| 乗車定員 | 2名 |
※メーカー諸元表より参照
2017年型・15分試乗のまとめ
全体を振り返ればエンジンも車体も実に扱いやすく従順で、この15分試乗もなんと豊かに感じたことでしょうか。
実はこの後、MT-10SPという電脳バイクにも試乗させていただいたのですが、XSR700の乗り味はまた格別なものでした。
XSR700にはIMUはもちろんトラコンもないわけで、極めてシンプルな造りのバイクだと言えます。
むしろ、というかだからこそ、バイクの基本を十二分に楽しめるキャラクターを持っている。
XSR700試乗後の余韻がとても深かったのは恐らくそれを感じたからなのだと思います。

XSR700を写真で見ながら、ツインエンジンであるとかレトロであるとか、あるいは諸元の数値だけを見て「ツマラナイ」という人もいるようです。
しかし、ひとたび試乗したならば、XSR700は既成概念を気持ちよく裏切って、バイクの楽しさを新しく考えるきっかけになると思います。
つまり、XSR700は数値以上に乗り味として非常に人の感覚に近いバイクなのです。
試乗を終え、筆者はXJR1300Lに乗って帰ったわけですが、なんともXJRが重たくモッサリした感じに思えて仕方ありませんでした。(笑)
とにかく一度、ご自身の感覚でXSR700を試してみて欲しいと思います。
現行車の試乗・在庫は、ヤマハ公式の販売店検索から店舗を探し、訪問前に電話で確認してください。
きっと試乗しながらヘルメットの中で「ニヤッ」と笑顔になれますよ。
2017年取材協力店の記録
以下は取材当時の記録です。現在の試乗車、在庫、営業時間、ローダウン用品は店舗へ直接確認してください。
今回の試乗は東京都調布市にあるYSP三鷹さんに取材協力をいただきました。

試乗車は今回のXSR700のほかMT-09やMT-10SP、他にもいくつか用意されています。
ご試乗には予約が必要です。
詳しくはこちらへお問い合わせください。
またXSR700にはローシートやローダウンキットも用意されています。
「どうしても835mmじゃ乗れないよ」という方は同じくYSP各店にご相談ください。
XSR700のよくある質問
XSR700は2026年も新車で買えますか?
2026年8月29日時点でヤマハ国内ラインアップに掲載されています。掲載モデルは2025年型、メーカー希望小売価格1,001,000円です。色、在庫、納期、乗り出し総額は販売店へ確認してください。
身長162cmでも足は着きますか?
本編の筆者は2017年型で、両足接地は難しく、片足は親指の付け根付近まで接地しました。ただし体格・装備・年式・車体設定で変わります。普段のブーツで実車を確認してください。
2017年型の諸元は現行車にも当てはまりますか?
そのまま当てはまりません。本編末尾の諸元表は試乗した国内初期型の記録です。現行車はヤマハ公式の価格・主要諸元を確認してください。
XSR700とMT-07のどちらがよいですか?
エンジンの共通点だけで決めず、価格、シート高、姿勢、ハンドル、装備、外観、積載を同じ条件で比べます。購入前に両車へまたがり、押し引きと試乗をしてください。



