寒い冬でもバイクに乗るぞ!高機能インナーウエア高速500㎞実走比較
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バイクだからこそ高機能インナーウエアが欲しい

この時期バイク屋さんで気になるのがちょっとお高い高機能インナーウエア。

パッケージに書かれたうんちくを見ていると、なんだか凄くそそられます。

しかし、手に取ったはいいけれど、プライスを見てひっこめる?

確かに安い買い物ではありません。

『色々あるけど、高価格ということは、どんな機能が違うんだろう?』

そこで今回は、冬の高速約500㎞を実際に走って試しました。

今回の結果が皆さんのお役に立てたら光栄です。

敢えて厳しい条件で高機能インナーウェアをテスト

選んだ車両はヤマハのMT-09SP。

スクリーンすらないネイキットで、冷気をもろに食らわんとするがためのドMな選択です。

既にMT-09SPのレビューをお伝えしていますので、

マシンについて感じたことなどはこちらをご覧ください。

さて、走行テストは12月初旬。


気象レーダーアプリ、My Radar Proの映像によると、この日は上信越方面に雪雲がかかり、関東でも暖冬の勢いが去ってかなりの冷え込みを記録した日です。

試験コースは安定した寒さを求めて、


画像引用元;TOURING SUPPORTER

中央道八王子→長野道→上信越道→関越→圏央道高尾という約500㎞の周回コースを設定し、チェーン規制ギリギリまで攻め込みました。
(※いわゆる周回走行ですが、非ETC軽・二輪の正規料金をお支払いしております。

テスト結果は外気温とインナーウェア内部温度で比較

測定はCRECERというメーカーの室内外が計れるデジタル温度計を使用。

これをデイトナ製のスマホホルダーに透明テープを使って括りつけて外気温を計測し、

温度センサーは胸の心臓付近にガムテープで貼り付け、肌とインナーの間の温度の変化を見ていきました。

最初にお断りしておくと、これはあくまで素人の計測。

精密な計測を生業にしている方からはお叱りを受けるかもしれませんが、今回の計測はあくまで参考という形で受け止めていただけると幸いです。

冬用高機能インナーウェアのオールスターをテスト

今回試したのは主にこちらの3ブランド。


※着用順

ミズノ・ブレスサーモ
ブレスサーモ ウール ヘビーウエイトクルーネックシャツ

ブレスサーモ アンダーロングタイツ

Daytona・HenlyBegins

防風インナーシャツ

防風インナーパンツ

    GOLDWIN・光電子※「こうでんしと読みます。

    光電子スーパーヘビーウエイトシャツ

    光電子スーパーヘビーウエイトパンツ

    冬のバイク用品店に行けば、結構な熱量で売られている、言わば「冬用インナーのオールスター」といったラインナップです。

    装着方法について

    肌にあたる面積を大きくとり、各インナーの効果をしっかりと把握するため、

    Tシャツは上に着ていて

    その上に、アクリルのセーターを1枚着こみました。

    アウターには、RSタイチの2層タイプのウインタージャケット、

    ボトムもRSタイチのオーバーパンツを着用してテストに臨みます。

    高機能インナーウェア実走テストスタート!

    急きょ参戦したユニクロ ヒートテック

    番外編として、汎用性の高いUNIQLOのヒートテックはどうなの?

    と思い、急きょ手持ちのヒートテックを引っ張り出して参戦させました。

    下は最近購入した立毛厚手タイプ、上は数年前に購入し今は販売されていない「ワッフル地」タイプです。

    思いつきでの参戦なので上下不揃いなのは大目に見てくださいね。

    吸湿素材が身体からの湿気を熱に変えるのがヒートテックの効能。


    画像参照元;ユニクロ/HEATTECH

    街を歩くと薄手でもポカポカしてコスパの良さを感じますが、果たして12月のハードなライディング。

    どこまで暖かさを保ってくれるのでしょうか?

    家を出るとピリッとした寒さを感じますが、ガレージではまだ外気は2ケタ台、インナーの内部も体温に近い温度です。

    市街地を抜けながら走行開始約30分、

    いよいよこれから八王子インターに入ろうというところで撮影。

    走行風もあって、外気は一気に5.3℃まで降下、しかしまだ速度が低く、ヒートテックもしっかりと体温をキープ。

    中央道に入り速度を上げ、八王子から約10分くらいだったでしょうか。

    外気は3℃程まで落ち込み、インナーの温度も徐々に低下。

    膝先、そして肩や腕を中心にぞわっと冷えがしみ込んできました。

    約45分の走行、最初のパーキングエリア藤野で停車。

    インナー温度は自宅から3℃マイナス。

    参考までのショートライドなので、インナーはまだ30℃を保っていますが、ヒートテックは寒さのしみ込みが速く、時間がたつごとに寒さが突き抜けてくる感じがありました。

    ここでヒートテックを脱ぎ、ミズノのブレスサーモに着替えます。

    発熱系ミズノブレスサーモの機能は発揮されるのか?


    ブレスサーモは肌の湿気を熱に変える発熱系。


    画像参照元;ミズノ/ブレスサーモ

    筆者はブレスサーモのリピーターで、肌触りの良さや、平常時の暖かさは実感しています。

    以前同様のテストを行った際、

    「ワインディング等で身体を動かしながらバイクを操る中での効果は意外に高い」

    という結果を得ていましたが、今回は高速でじっと耐えている状態ではどうなのかを試していきます。

    着替え直後の藤野出発前の温度がこれ。

    トイレで半裸になっているうちに、肌がすっかり冷えてしまいました。

    気を取り直して再出発です。

    日が高くなったこともあり、走行中の外気は6〜7℃後半をキープ。

    途中気温が5度台に下がる場面もありましたが、インナーの温度は30度まで回復。

    走行中の外気温は5℃台が平均でした

    しかし、走行時間が1時間を超えたあたりで感じたアウターの冷えとともにインナーは26℃まで徐々に低下、ただこの温度を割らずにキープしてくれていたのが凄いと思いました。

    藤野から約1時間半ほど走った双葉サービスエリアでの休憩時はこの温度。

    ミズノ・ブレスサーモはサラッとした快適性が続き、体温を長く保ってくれている印象でした。

    もっと着ていたい感じもありましたが、この双葉SAでDaytona・HenlyBeginsに着替えます。

    HenlyBeginsの防風効果は流石

    HenlyBeginsは厚手の生地で冷気を遮断するタイプの防寒インナー。


    画像参照元;Daytona・HenlyBigins

    今回試すインナーの中で一番生地の厚みを感じ、手に取った感じが若干ガサッとした感じもあったのですが、

    着てみると内側は肌触りが良く、サラッとした着心地が好印象です。

    ライティングフォームを意識した立体裁断のおかげで、腕や膝の角度が楽に決まり楽。

    この先も長いので、これはなかなか期待できます。

    ※不覚にも、双葉出発時で走行中の温度を記録するカメラのバッテリーがダウン、ここからは文章での記録になりますのであしからず。

    双葉から先は八ヶ岳、徐々に外気は冷えていき、中央道の標高最高地点のあたりでは、とうとう外気が0.5℃にまで下がりました。

    にもかかわらず、インナーの温度は30℃代をキープし、冷気が染み込んでくる感じがありません。

    その後約2時間ほど走行し、やはりアウターが冷えるのは感じましたが、結局インナーは29.5℃を下回ることがありませんでした。

    これはバイク用品を数多くプロデュースしているデイトナ製品として流石だなと思わせるところでしたね。

    ただ、冷気を防ぐ部分があるのは前面のみで、後ろ側は特に発熱機能のない普通のナイロン生地。

    走行が1時間を超えるとアウターの冷えとともに、背中や足の裏側には若干の冷えを感じました。

    気が付けば既に雪国。

    雪雲が近くに見える姥捨SAに停車し、ここでゴールドウインの光電子に着替えます。

    毛布の様な光電子の着心地

    実装テスト、いよいよラストはゴールドウインの光電子。

    光電子は、体温を中空繊維に保ちながら遠赤外線効果でそれを輻射(ふくしゃ)するという凄いもの。


    画像参照元;GOLDWIN/光電子

    値段的にも期待度が最も高かったので、ラストに持ってきました。

    着替えてみるとちょっとした毛布にくるまったような着心地で心地いいですね。

    こちらもライダー向けの立体裁断なのですが、フカフカな生地のおかげでタウンユースにも抵触なく使えそうです。


    姥捨て出発時の外気温は7度、体温もだいぶ回復しました。


    ここから上信越道で高崎を目指します。

    走行前半、北風に煽られた風雪がちらつく場面もありましたが、インナー内は30℃台にキープされ、なかなか好印象です。

    しかし約1時間後、標高も上がって日陰の多い佐久平では気温2℃台

     


    ↑思わず非常帯でハザードをたい撮りました。

    アウターの冷えが徐々に伝わり、インナー内部は28℃台に低下、それでも生地が体温を保とうとしてくれているようで、寒さを刺すようには感じません。

    ワンセッション約2時間と決めていましたが、燃料計が給油を求めたので1時間30分ほど横川SAで休憩。

    すでに西に暮れた日が軽井沢の山中に隠れようとしています。

    ここまで外気温の平均は2~4℃と低かったにもかかわらずインナー内は28℃台をキープ。

    外気温を考えれば、これはかなりの高性能だと思います。

    ここまで約330㎞。

    インナーも優ることながら、尻の痛みの予防に用意したバイク座シートも快適!

    尻には殆ど痛みを感じ無かったのも驚きです。

    給油を終え、再び本線へ合流。

    標高も下がり、高崎熊谷を抜ける頃には気温の平均は6℃、インナー内はほぼ28℃を保たれました。

    さらに約2時間走行し、関越自動車道の高坂SAで給油前に撮影した温度がこちら。

    日が暮れて外気は非常に寒く感じますが、インナーの中はこの温度。

    まさに着る毛布、GOLDWIN光電子恐るべしです。

    実装テストはこの時点で終了としましたが、その後も凍えるようなことはないまま帰宅することができました。

    実は横川で家族の土産に釜飯を買っていたのですが、

    暖かい状態で売られていた釜飯が冷めてしまうのを惜しんで、これまで脱いできたインナーウエアにくるんでいました。

    19時30分ごろに帰宅しましたのでおよそ4時間。

    バックを開けて妻に釜飯を手渡すと、若干冷めてはいたものの、まだ暖かさが残っていたのは驚きでしたね。(笑)

    まとめと気付き

    平均気温1けた台、約500㎞のロングラン。

    いろいろな「気付き」がありました。

    厳冬期走行の安全について

    ウエアの性能云々の前にまずお伝えしておきたいことがあります。

    厳冬ツーリングでは、保温努力をしているとはいえ、通常よりも体が余計にこわばるということ。

    今回も、SAでの切り返しなどで、意思に対する体の反応が明らかに低下しているのを感じました。

    おおよそ2時間をめどに休憩を取りましたが、平常時でも、ワンセッションの距離をこれ以上延ばさない方が良いでしょう。

    ですので冬季は特に、

    • 距離を欲張ら無いこと
    • 日照時間を考慮して計画を立てること
    • 電熱・カイロなど何らかの熱源を併用すること

    など、まずは安全を第一に考え、寒い時期はウエアの如何を問わず、計画性をもった無理のないツーリングを心がけていただきたいと思います。

    走行条件に合わせた工夫でもっと有利に!

    ウエアについては初めにお断りした通り、計測は一般の走行を考えた一例で、厳密かというとそうでもありません。

    なので、内容には何の脚色も加えておりませんが、「あえてどれが一番」ということは避けておきます。

    しかし、このテストで明確に言えるのは、

    • 走行1時間ほどでアウターの冷えが内部に浸透しはじめること。
    • それをどう防ぎ、いかに体温を保ってくれるかがこれら高機能アンダーウエアの勝負だということ。
    • ポイントとしては首・袖に隙間をなくして冷気の侵入をブロックするのがカギであること。

    ☆吸湿発熱系のウエアを着る際には、肌がカサつかないよう、あらかじめ身体に保湿クリームを塗っておくと良いのだそうです。

    また、文中も触れていますが、テストは冬季の高速の連続走行を想定したものです。

    なので結果はおそらく、アウターの性能や、使い捨てカイロや電熱ジャケットとの組み合わせ、あるいは上に着るものの厚さなどによっても変化するものだと思います。

    さらに、ワインディングや街路での走行については汗の書き方も違うので、走行条件によって組み合わせも工夫されるとよいでしょう。

    冬は高機能アンダーウエアと1時間ごとの休憩で、暖かく楽しいツーリングを!




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