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NIKENって自立するの?普通免許で乗れるの?

「NIKEN(ナイケン)って自立しないんですか?」

これは筆者がよく聞かれる質問です。

結論から言うと、NIKENは自立することはできません。

停止中はライダーが支えていないと、一般の2輪バイクのように倒れてしまいます。

もっと言えば、3輪なのは自立して安定させることが目的ではないんです。

それから、

「トライクのように普通自動車免許で運転できるのか?」

という質問も良く受けます。

NIKENは自立する機構を持たないため、法規的にも2輪車扱い。

免許は大型自動二輪免許でないと乗ることができません

「じゃぁ、なんで3輪なの?」

気になりますよね。

今回はヤマハさんからNIKENをお借りして、

「なんで3輪?」

についていろいろとお話していこうと思います。

前2輪機構・LMW(リーニング・マルチホイールズ)の狙い

NIKENに採用されているのは「LMW」(リーニング・マルチ・ホイールズ)というシステム。

既に125㏄・155㏄のスクーター「トリシティー」にも採用されている前2輪システムなので、ご存知の方も多いですよね。

筆者はNIKENがまだWMT-09と呼ばれる開発車だった時に、トリシティーの乗り味からWMT-09の乗り味を予測する記事を書いていました。

この記事は、トリシティーで砂の浮いた低ミュー路を走ったあと、同じコースを普通の2輪スクーターで走った感想から話を展開しています。

トリシティーでは全く普通にスラロームなどができたのですが、

2輪スクーターを同じ勢いで走らせようとすると、

「これが同じコースなのか?」

と、疑いたくなるほど、前輪が流れそうになって怖いんです。

つまり、路面の荒れ具合を全く意識させずに安定した走りを楽しめるというのが、このLMWの凄いところ。

特に、トライクのように自立するバイクだと、この写真のように「エイっ!」とリーンさせながらアクセルを開けていく2輪の愉しさはないと思うんですよね。

なので、バンクさせる楽しさを、安全に楽しめるようにすることが、LMWの狙いなのです。

そして、通りからコンビニへ入ろうとしたら、入り口の縁石に前輪をとられてヒヤっとした経験ってないですか?

こんな時もLMWは垂直を保ってくれるので安心。

なので、路面のギャップで感じる怖さからライダーを解放して、様々なスキルのライダーでも安全に走らせるようにするというのもLMWの狙いなのです。

さて、LMWの基本の「き」ついておさらいさせていただいたわけですが、トリシティーやNIKENがどうして自立しないのか?

もうお分かりですね。

トリシティーとは一味違うNIKENのLMW

トリシティーの場合は片持ちのテレスコピックサスが内側についていますが、


NIKENの場合は外側についているのにお気づきでしょうか?

これってなぜ?

そこにNIKENのキャラクターがあります。

まず、トリシティーのLMWに採用されているのは4輪で一般的に採用されている「アッカーマン・ジオメトリー」です。

つまり、蛇角を大きく付けた時、内輪が外輪よりも内側を向くことで安定性を確保しているわけですね。

しかし、一般的なアッカーマン・ジオメトリーでリーンを深くすると、左右輪の舵角の差異が大きくなりすぎてしまうのが難点。

車はリーンしないので、ここを考慮しないんですね。

これを解消する為にNIKENで新開発のLMWアッカーマン・ジオメトリー」を採用

NIKENは、左右両端にリンクを追加して、フロントフォークを外側に配置しています。

これが「LMWアッカーマン」の肝。

このおかげでバンク角を深く取っても、左右輪はトー角に差異がなく同芯上に必ず平行に向くようになっているのです。

NIKENは最大バンク角を45°とすることが可能。

つまりNIKEN用のLMWは高次元なスポーツ走行を安全に楽しめるようにすることが、狙いなんですね

取り回しはどんな感じ?

では、実際にどんな感じなのか?

まずは取り回しから見ていきましょう。

NIKENの車両重量は263kg。

NIKENの取り回しは、このズッシリとした重さをLMWが補助してくれるわけではないので、大型ツアラーを取り回しているとき同様の緊張感があります。

恐らく小柄な女性ライダーにはちょっと難しいものになるでしょうね。

シート高は高く感じるの?

NIKENのシート高は820mmですが、

腿周りのタンク幅がやや大きいため、

自然に足を下すと、つま先立ちに近い形になってかかとが上がります。

最初はちょっと戸惑いますが、お尻を片方に少しずらして乗ればすぐに慣れるでしょう。

それでも、ステップに両足を置いた時、全体のポジションはこの上なく楽なもです。

ライダーが直立するので、視点を非常に高くしてくれるのが好印象ですね。

この車両はETCがない広報車なので、「一般」ゲートをくぐるのですが、


道路の入り口で、バイクなのに自動発券機が中段から発券してきたというのも、頭の高さを象徴するエピソードだと思います。

メーター・ミラーの位置が絶妙

高い視点に合わせて、メーターはとても見やすい位置にあります。

また、デジタルメーターも、反転文字自体が非常に見やすいものなのですが、

文字の配列などが整理され、字が大きめなのがおじさんには高ポイントですね。(笑)

また、12V電源がその横にあるのですが、

これも抜き差しがしやすい位置なので、なかなか使い易いと思います。

そしてバックミラーは。ハンドルよりも低い位置から生えているのですが、

このミラー位置は、視線をあまり動かさなくても後方をしっかりと確認することができるので、大変機能的です。

いよいよNIKENのリアルな走行インプレッションです!

NIKEN試乗前に書いた先述の記事では、MT-09の乗り味とトリシティーの乗り味を脳内合成して、

「LMWが大型スポーツバイクと合体したら、かなり限界性能が高いはず」

と予測した「バーチャルインプレッション」を書いていました。

その記事を書いて1年と3カ月。

いよいよWMT-09、いえ、NIKENを試乗してその答え合わせも兼ねた、NIKENのリアルインプレッションをお届けします。

MT-09ベースでさらに粘るエンジン

先日、MT-09SPについてもインプレッションをお伝えしました。

NIKENのエンジンはこのMT-09がベース。

原動機種類 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列 直列, 3気筒
総排気量 845cm3
内径×行程 78.0mm×59.0mm
圧縮比 11.5:1
最高出力 85kW(116PS)/10,000r/min
最大トルク 87N・m(8.9kgf・m)/8,500r/min

諸元上、この数値もMT-09と同じものですが、

NIKENはMT-09よりも70kgも車重が重いので、クランクをあえて重くしてエンジンの慣性力、つまり回転に弾みをつけている点が違うことは聞いていました。

実際に乗ってみるとエンジンは、明らかにNIKENの方が極低速での粘り強さがあって扱いやすいですね。

さらに、減速比をMT-09よりも軽くしてあるのでアクセルワークにもさほどの重さを意識することなく、

クイックシフターを使って、6,000回転あたりでつないでいけば、「ギョイーン」という加速音とともに俊敏な加速を楽しむことができます。

低速の取り回しは緊張感がある

直線路では5㎞/h以下の極低速でもかなりの安定感を感じます。

しかし、Uターンなど細かい動作では、NIKENの重さに負けそうな不安もあるので、LMWに甘えることはできません。

むしろそこは、視線配置や体の脱力管理など、2輪の基本動作に求められることをさらに忠実にやっていかないと、しっぺ返しも大きくりそうな印象がありますね。

しかし、速度がのってくると安定感は盤石です。

一般的な2輪車よりも方の力を抜いて走ることができ、極めて疲れにくい。

これは恐らく、NIKENに乗れば多くのライダーが感じることではないでしょうか。

クルーズコントロールで楽ちん

LMWの盤石な安定性、そして高い視点からの高度な安心感。

これだけでも、

「かなり贅沢な乗り物に乗っているんだな」

という気持ちにさせてくれるわけですが、

以前お伝えしたFJR1300ASの記事の中でもお伝えしたように

やはりクルーズコントロールの快適性は絶大。

NIKENはLMWと相まって、長距離でも疲れにくく、さらに燃費の向上も期待できます。

ちなみに、燃費のメーカー公表値(1名乗車時)は18.1km/L。

ワインディングなどを含む走行では16㎞/Lでしたが、クルーズコントロールを多用して走った値が19.6㎞/Lでしたから、まずまずと言えるでしょう。

刺激も安定も手に入る

市街地から高速道路の巡行まで、路面からのショックの伝わり方が穏やかで、実にゆったりとした乗り味です。

その上、前後とも接地感が豊かで、前輪は「今、左前輪滑ってますよ」という情報もちゃんと伝わってくる。

スポーツツアラーとしてこの前後サスペンションの動きは非常に上質です。

ワインディングをゆっくり走り始めると、ホイールベースが長いにもかかわらず、イン側に向きを変えるのが速いことに気づきました。

初めはオーバーステアを疑ったのですが、コーナーの中腹で早めにアクセルを開けてやると、きれいにラインをトレースしてくれる。

「ここはもっとグッと行っていいよ!」

まるでNIKENが耳元でそんな風に囁いているようです。

NIKENのフロントフォークはSSバイク同様に、


圧側

伸び側、両方にイニシャル調整機構を持っています。


また、リアサスにもリモート式のプリロード調整機構が備わっているので、ライダーが望めばさらにスポーティーなキャラクターも引き出せそうです。

ただ、この日の路面コンディションは最悪の部類。

朝方は霜が降りて凍結していたようで、日向は湿っており、おまけに相当に落ち葉が路面に降り積もっているという状況です。

しかしそれでも、NIKENの動きは極めて自然。

前輪の安定は保たれ、まるで動くシミュレーターに乗っているような不思議な気分です。

「もうちょい行けますよ」

と誘ってくるNIKEN。

「あまりマシンの誘いに乗ってはいけない…。」

と思ような自制心が必要な程、NIKENはアグレッシブな気持ちを掻き立てます。


公道では速度を控えて安全運転を心がけましょう。

流石に滑りやすい路面。

フロントは盤石ながらも、コーナーの立ち上がりでアクセルを開けるとリアが滑っているのがわかります。

ただ、2輪ならそれだけでは済まないのは確実。

筆者が登場前から予測していたように、NIKENには盤石なスポーツ性能と、とてつもない安定性が備わっていることは確認できました。

ところで、皆さんはもうNIKENを使ったヤマハのテレビCMをご覧になりましたか?

「刺激も安定も手に入れろ」

それはまさにそういうということなんですね。

NIKENの250版が出る?

「250㏄等他のクラスにもNIKENの様なLMWのスポーツバイクが登場し、そこには自立可能なLMWが搭載される?」

という噂を聞いたことがあります。

それは恐らく、2018年にEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)で発表されたコンセプトモデル、「CT3」のことかもしれません。

これはX-MAX300をLMW化したもので、停止時にライダーがLMWをロックすることができるようにしたもの。

ただこれは停止中にライダーを休ませるためのもので、完全自立を目的としたものではありません。

「なんでNIKENは自立しないの?」

恐らくその答えは2017年のモーターショーで話題になった、モトボット等のAIバイクの開発が最たるものだと思います。

これも、2輪の自動運転が目的なのではなくて、「人はバイクで何を楽しいと感じているか?」を数値化する為に開発されたものなんです。

あくまでも「バイクの楽しさは人の操作に起因する」と考えているのがヤマハという会社。

NIKENは「人機官能」という企業精神が色濃く反映されたバイクだと言えるでしょう。

皆さんもぜひ、お近くの試乗車レンタルバイクで、NIKENの異次元の走りをご体感してみてください。

 

資料画像参照元:ヤマハ発動機/NIKEN/製品特長

車両協力;ヤマハ発動機販売株式会社




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