【試乗レビュー】BMW R1250GS 見た目の大きさを裏切る親しみやすい1台
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店頭試乗車があった

昨年(2018年)9月17日にBMWモトラッドから発表された「R1250GS」。

私もこの車両にはぜひ乗ってみたいと思っていましたが、自宅からそう遠くはない町のお店にR1250GSの店頭試乗車があることを知り、早速試乗を申し込みました。

これまでもお伝えしてきましたが、

R1250GSの見どころは、なんといってもBMWモトラッドが誇る最新の可変バルブリフト機構「BMW Shift Cam」の搭載。

その画期的な仕組みがどんな乗り味を味合わせてくれるのかは非常に興味深いところです。

今回は東京・世田谷区のモトラッド・セントラル世田谷店のご協力ものと、こちらの店頭試乗車でR1250GSの乗り味を味わって見たいと思います。

伝統を受け継ぎながらも、外観はシャープに

BMW Shift Camを得て大幅に変更されたエンジンを持つR1250GS。


しかしその外観は、先代R1200GSに比べても大きく変わった印象を受けません。


相変わらず正面から見た縦に横に大きく見える外観。

その表情をなすヘッドライトは、LEDが凛々しく光り、


デザインは新世代のマシンであることを主張しています。


BMWのお家芸ともいえるフロントサスペンション機能「テレレバー」も健在。

フロントフォーク自体ににストローク域を大きく持たない、独特な外観を作り上げています。


テールビューもやはり先代R1200GSによく似ていて、一見してこれが新型のR1250GSがと判別はつきにくいものです。

大きさからは想像できない親しみやすさ

モトラッド・セントラル世田谷店には、今回のR1250GSの他にも、G310RとR1200GSアドベンチャーの試乗車も並んでいました。


この車格の差、巨漢とも言うべきGS1200の大きさには恐れ入ります。

それゆえ、R1250GSの試乗では大きさに相当手こずることを覚悟していたのですが、そこには意外な気づきがありました。

大きな車体を気負わず乗れる親しみやすさ

諸元上、R1250GSの車体寸法に関するデーターは以下の通り。

装備車両重量 256 kg
全長 2,205 mm
全幅
(ミラーを除く)
965 mm
全高
(ミラーを除く)
1,490 mm
燃料タンク容量 20 L
最大積載荷重
(標準装備時)
216 kg

カタログでこの数値だけを見てしまうと、やはり相当に大きな車体であることをは否めません。

R1250GSには、R1250GSアドベンチャーHPというオフ指向を強めたモデルもあるわけですが、


こちらのシート高は850/870mmという、国産アドベンチャーモデルからしても若干控えめなもの。

既に外観をご覧いただいたとおり、今回試乗車として用意されたのは、R1250GSのプレミアムスタンダード。


これは、日本向けのローダウンモデルとなっており、写真でも車格のわりに、かなりシート高が低いことにお気づき頂けるのではないでしょうか。

こちらのシート高は800~820mmと、HondaのアフリカツインLD(ロー設定時810mm)よりもさらに低い設定が可能。

なので、実際に跨ってみると、身長162㎝/座高91㎝と小柄/短足な私でも、


片足であればご覧のように、足の腹辺りまでしっかりと接地させることができるのです。


また、乗車姿勢においてもハンドルがライダーに近く、非常に自然でゆったりとしたライディングポジションをとることもできます。(800mm設定時)

これにより車体の取り回しは、車体の大きさをほとんど感じることがないことに驚きました。

走りとライダーや乗り方に合わせ、さらに変化するシート高

実はR1250GSのシート高は、ライダーやその時の乗り方に合わせて高さを変更することができます。

シート下先端にあるレバーを回転させることにより、シートはHI/LOW2段階の調整が可能。

さらにR1250GSには「ダイナミックESA」という電子制御サスペンションが搭載されており、


走行中のサス設定を常に最適化してくれるほか、ボタン一つで任意の車高設定が可能です。

スライドショーには JavaScript が必要です。

写真で見ると非常に微細な変化なのですが、マフラーのテールエンドの位置が上下しているのがお分かりいただけるでしょうか?

多機能でありながら馴染みやすいインターフェイス

R1250GSのイグニッションのキーはこのICタグ。

このICタグをポケットに忍ばせているだけでも、こちらのメインスイッチをONにすることができるので非常に便利です。

メーターパネルは。非常に大きなフルカラーTFT液晶メーター。


写真では反射がきつく写っていますが、これはは店頭試乗車ということで、パネルには保護フィルムが張られているためのもの。

メーター自体は文字配列などが実に整っており、様々な情報を視覚的に捉えやすいのが好印象です。


左のスイッチ群は、クルーズコントロールやハザードのほか、MENUキーとホイールスイッチからなっています。

上記デフォルト画面からMENUキーをを下に押し進んでいくと選択画面が現れ、

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整備状況の入力や管理が行えるほか、ホイールスイッチを右押しながら進んでいくと、スマートフォンと接続してナビを表示させたり、音楽を愉しむことも可能。

さらに、車両の各種セッティングを画面上で行うこともできます。

また、右スイッチボックスでグリップヒーターを操作でき、

2段階ながら、なかなかの発熱量を持つグリップヒーターには、肌寒さの残る春先の試乗でとても助かりました。

このように、非常に多機能でありながら、インターフェイスの操作性が良く、バイク全体の親しみやすさを感じさせてくれるのは素晴らしいことだと思いますね。

安全と豪快さを両立する先進の電子制御

先代R1200GSにおいても、様々な電子制御技術が搭載されていたわけですが、今回のR1250GSではその内容がアップグレード。

センサー群から送られる情報解析速度が向上したことでECUは、

  • 駆動系;空転防止(DTC)・横滑り防止(ASC)
  • 電子制御サスペンション;(ダイナミックESA)
  • ブレーキ系;ブレーキ操作を可能にした(ABS Pro)

これらの情報をより精密に統合管理し、各部を常時最適化する制御を行っています。

新たに加わった電制機能

R1250GSでは新たに、ブレーキ中に誤ってスロットルを開けてしまった場合に、点火と燃料噴射を抑制するDBC(ダイナミックブレーキコントロール)を装備。

さらに、勾配でのスタートをアシストするヒルスタートを、「ヒルスタート・コントロール・プロ」として先代よりアップデート。

5%以上の勾配で自動的にリアブレーキが作動してバイクの後退を防ぐなど、電制を使った安全を強化しているのが特長です。(※設定により手動も選択可能)

4つの「電制キャラ」が楽しい

R1250GSには、「ライディングモードプロ」というモード選択機構があります。


右側の切り替えスイッチで、

  • 「レイン」
  • 「ロード」
  • 「ダイナミック」
  • 「エンデューロ」

の4モードの走行モードを選択することができ、各モードそれぞれに合わせ、全系統のシステムが最適化されるというのが興味深いところです。

今回は店頭試乗車での試乗ということで、一般道を40分程度試乗したのみの試乗。

なので、これらのモードのキャラクターを十分に理解するには正直物足りないところ、それでも、一般的な走りの中で各モードの違いに注意しながら走ってみました。

まずお店を出るときにはRAIN(レイン)から乗ってみたのですが、


これはアクセルの動きに対して穏やかなふけ上り。

感覚としては600~750㏄くらいの一回り小さいクラスに乗っているような加速感がありますね。

今回はドライな路面を走っているので気づきにくいのですが、電子制御の働きによってぬかるんだ路面でも、安定した走りができるのではないかと思います。

ある程度それを確認したところで、今度は「ROAD(ロード)」を試しました。


これが通常走行モードということなのですが、アクセル操作に対する応答性が非常に従順で、バイクとの対話を楽しむようなゆとりがあります。


走っている中で気づいたのですが、2段階調節できるこのスクリーンは非常に効果的。

どちらの高さでも、ヘルメットの耳のあたりにまとわり様な、嫌な風音を起こさないのがいいですね。

さらに信号待ちで止まるごとにモードを変え、加速の具合などを確かめていきます。


「DYNAMIC(ダイナミックモード)」ではやはりROADよりも、瞬発力の強さを感じますね。

一般道ということであまり車速を盛ることができないのですが、この加速感はなかなか楽しいものです。

そして今度は「ENDURO(エンデューロ)」モードを試します。


これはその名の通り、これらのモードの中で最もホットな設定となるモード。

相当に攻め込めるようなワイルドな走りが可能ということですが、あいにくこの日、試乗コースとなった甲州街道は、車の流れが極めて悪い状態。

その状況の間隙をついてガッとアクセルを開け込んだ瞬間、面積の大きな板で尻をはたかれたような、ぶ厚いトルクと猛然とした加速に、

「これはもっと違うシュチエーションで試したかったぁ」

と嘆いたのもつかの間。

心惜しさに悶絶しながらも、これら4つの電制キャラに、GSの楽しみ深さを知らされました。

走り出しから味わえる上質なパワーフィール

先代R1200GSの1170㏄から1254㏄にボアアップして125→136ps、トルクも1.8kg-m増しの14.6kg-mに増強。

空冷かつ水冷という特異な冷却機構自体も興味深いところですが、やはりR1250GS最大のギミックと言えば、可変バルブタイミングシステムBMW SiftCam(シフトカム)の存在。


しかしその外観は、シリンダーヘッドの「SHIFTCAM」という刻印が目に入らなければうっかり見落としてしまいそうなほど控えめなものです。

改めておさらいをするとこのBMW SiftCamは、

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低・中速用と中・高速用の2系統のカム山が5,000回転で交代するという画期的な可変バルブタイミング機構です。

ちなみに、先日試乗させていただいたHONDAのVFR800Fもバルタイ。

この車両にもHyper V-TECという可変バルブタイミング機構があるわけですが、V-TECの場合は排気音と共に加速が鋭くなるなど、バルブの変わり際がはっきりと感じられるものです。

BMW SiftCamでも、出力変化に注目しながら乗ってみたのですが、アクセルの開け始めから実に濃圧なトルク感を感じ、それが安定して高回転まで続いていくという感じ。

バルタイの変化に気づけない程スムースな加速でした。

これまでお伝えしてきたことから乗り味を総合すると、車体は大柄ではあるものの、大きさを感じないほど取り回しが軽く、太いトルクが伸びやかに続くのが楽しいエンジン。

これをモードを替えることで、マイルドにしたりパンチを効かせたり。

「ライダーの意思に対する従順性を保ちながら、ダイナミックな走りを楽しませてくれる」

これがR1250GSの面白さだと言えるでしょう。

モトラッド・セントラル世田谷店のご紹介

今回、試乗車の協力をしていただいたのは、2018年9月に世田谷・烏山にオープンしたモトラッド・セントラル世田谷店

こちらには、


BMWモトラッドのラインアップ全車種が展示されており、


電動車のCエボリューションや、


1000万円のHP4にも遭うことができる他、


K1600GTLのケンズファクトリースペシャルと言ったスペシャルマシンの質感に親しむこともできます。

またこのショップの特色としては、

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通常、独立店として運営されるK80ビンテージショップが併設されていること。

これは世界的に見ても珍しいことで、ドイツからBMWの上役さんが見学にしたほどだそうです。

もちろん2Fでは中古車も販売。

スタッフの皆さんに大変ご丁寧なご対応をいただきました。


左が支店長の二瓶さん、右がスタッフの大森さん

世田谷店初めモトラッド・セントラルでは、そのほかにも試乗車が用意されていますので、ご希望の方はこちらにご連絡ください。

R1250GS、その乗り味を多くの方々にご賞味いただきたいと思います。




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