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ネイキットの時代だからこそ光るVFR800Fの魅力

最近はフルに使い切れる親しみやすさが魅力のネイキットスポーツバイクが人気。

ただ長距離走行では、低温時や小雨からある程度しのぐことができるフルカウルのありがたみも捨てがたいところです。

しかし、ミドルクラスで国産・新車のフルカウルのスポーツツアラーを選ぼうとすると、選択の幅は意外なほど狭いんですよね。

こうしたモデルを求めるとき、小柄な日本人としては困った状況です。

そんな中、必然的な選択枝として浮かび上がるのがVFR800Fの存在。

恐らく不意にそのスマートなスタイルを見たならば、直感的に心を引かれる人も多いのではないでしょうか。

しかし多くの魅力があるにもかかわらず、VFR800Fの存在はどこか控えめな感があります。

実はこの稿を執筆中に、ホンダからCB650R国内発売のアナウンスがありました。

しかしVFR800FはV4エンジンを持ったツアラー、しかもミドルクラスというところに孤高の価値があるのです。

というわけで今回は、ホンダさんからVFR800Fをお借りして、その魅力にガッツリとスポットライトを当てていきますよ。


機能美あふれるスタイリング

2019年モデルでは、「インターセプターカラー」として往年のライダーに親しまれてきた、パールグレアホワイトが新たに加わり、

従来のラインナップにもあったヴィクトリーレッドとの2色のみとなるVFR800F。

残念なことに今回お借りした「デジタルメタリックシルバー」は今年カタログ落ちしてしまいました。

しかしどうですかこの色、カラーは晴天によく映えて、「インスタ映え」もばっちりですよね。


すっきりとした「表情」と陰影のコントラストが美しいフォトジェニック。

今回この色でお借りできたのはラッキーでした。

V4ならではのスリムさを実感

複合的なアールが美しい燃料タンクの容量は21リットル。


V4エンジンということで、お借りする前は「後ろバンクのヘッドが股周りのタンク幅を大きくしているのでは?」と想像していました。

しかし、実際に跨ってみるとタンクは思ったよりもかなりスリム。

写真で見る以上にコンパクトに感じられ、光の角度によって表情を変える美しさが素敵です。


また、シートに連続したラインのおかげでニーグリップもしやすく、脚をまっすぐ下に降ろせるのが良いですね。


さらに、スイングアームの支持をエンジン後部に委ねるピボットレスフレームのおかげで、くるぶしのホールド感も良好。

実車は全体的に、V4ならではの機体のスリムさを実感できます。

小柄な女性ライダーにもおすすめなシート高

このクラスのツアラーであれば、820~830mmくらいのシート高が標準的。

その点、VFR800Fのシート高は標準の809mmから、

下の写真のように789mmに下げることもできます。

ちなみに筆者の身長は162㎝。

809mmの位置にしても、片足なら下の写真のように足をしっかりと接地でき、つま先で両足を接地させることもできました。

恐らく小柄な女性ライダーにとっても、これはうれしいシート高なのではないでしょうか?

その気にさせるスポーツポジション

最近のツアラーはハンドル位置が高く、ライダーに近いものが多くなっていますよね。

VFR800Fの場合はセパレートタイプのアップハンドルで、ライディングポジションは、やや前傾した形になります。

最近のアップハンドル車から乗り換えるライダーにとっては、初めのうち若干の慣れを要するものかもしれません。

ただ、筆者の様にスーパースポーツに乗り慣れたライダーなら、ほどよい前傾だと思うでしょう。

もし前傾が気になったとしても、オプションでハンドルアジャストプレートがオプションで用意されているので安心。


これによりグリップ位置を上方に13.5mm・手前に6.5mm移動することができます。

視覚的にも楽しめるスポーツマインド

フロントにはその質感も楽しめる、インナーチューブ径43mmのカートリッジタイプ正立フォーク。


また、310mmダブルディスクにはABSが装備され、それを掴むラジアルマウントキャリパーがスポーティーな印象です。

テンション側のアジャスターと、プリロードアジャスターはアルマイト仕上げ。

ここにもスポーツ性と質感へのこだわりが見て取れますね。

さらにスイングアームは、歴々のVFRから受け継がれてきた片持ちプロアーム。


幾重にも折り返されたその造形の美しさも目を楽しませてくれます。

こうした前後の足回りからも、「ちょっときれいなツアラー」だけに収まらない、「VFR800Fのスポーツマインド」を視覚的に感じることができますね。

シチュエーションを想像できる機能性

直線的なデザインの中には、しっかりとまとめられた機能性が光っています。


全体のデザインのアクセントにもなっているグラブバーもそのひとつ。

その用途のみならず、荷物の積載時や取り回しのサポートにも大変有用で、取り回しを多用する撮影時には威力を発揮してくれました。


タンデムシートを開けると、テール部にはちょっとしたスペースがあり、その中にETC2.0が標準で装備される点が嬉しいですね。

そのタンデムシートの裏側にはに荷掛フックが4か所用意されているので、


ちょっとした荷物を扱うのに便利。


例えば、「駅で待ち合わせたパッセンジャーを送り迎えする」、といったシチュエーションなどにこのフックはちょうどいいと思います。

そして、左右にやや張り出したフェンダーには、


4か所のフック穴が設けられていて、


オプションで用意されるパニアケースの装着を容易にしてくれるというのは、ツアラーとして親切な装備。


さらに、リアサスペンションにはリモートアジャスターがついていて、荷物の重さやパッセンジャーの有無に合わせ、工具なしで沈み込み位置を変えられるのも有り難いところです。

こうして、ライダーを素直に受け入れながら、ツーリングの可能性を広げてくれる機能性がさり気なく詰め込まれていること。

VFR800Fのスタイリングの美しさは、そうした機能美に由来するのだと思います。

市街地走行で分かる素性の良さ

スターターボタンを押すと、エンジンが「ドリューン」と低いハスキーボイスとともに目覚めましました。


磨き上げられたサイレンサーは、最近のホンダ車のトレンドともいえる2つ穴のデュアルタイプ。

このサイレンサーが90°V型4気筒エンジン独特のハスキーボイスを、より個性的なものに仕立ているようです。

いよいよこの音とともに走り出します。

メーターのすっきり感が好印象

走り出すと最初に気づくのは、反転液晶メーターの視認性の良さ。

情報がすっきりと整理されていてとても見やすいですね。

この中には標準装備されるグリップヒーターの制御モニターもついていて、


冬の試乗にはうれしいところです。

ライダーをアシストしてくれるVFRの優しさ

走り出したのは昼時の青山通り。

いきなり渋滞に巻き込まれたため、アクセルを開けることもままならず、悶々とした試乗スタートになってしまいました。

諸元上の車重は243kgと、このクラスのツアラーにしては標準より若干重め。

しかし、車体の重心バランスが良く、車幅もスリムなことから、実車に乗っている感覚はもう一クラス下のバイクのようにマシンを軽く感じます。

幾度となく繰り返されるストップアンドゴー。

やはり足つき性が良いこと、そしてセパハンながらハンドル切れ角が大きいことも、ポイントが高いですね。

バランスを崩しやすい極低速の状況で、これはライダーに大きなアドバンテージになります。

また、クラッチは若干重さを感じますが、アクセルを開けずともクラッチだけでスタートできるV4トルクの野太さは、実に扱いやすく頼もしいものでした。

その後もしばらく、1速2速のアップダウンを頻繁に繰り返す状況は続きます。

ただ、このシフトフィーリングも非常に軽く、それでいて「カチっ、カチっ」と入る確実性が心地よいものです。

渋滞にしびれを切らしてヤキモキしながら交差点を曲がろうとしたとき、前の車に映っているVFR800Fのウインカーの明るさに思わずハッとしました。

光量もあり人の目の高さに近い位置にあるので、この形でこの位置にあることについて、その視認性の良さを実感します。

さらにこのウィンカーには、前後タイヤの回転さを検知して機能するオートキャンセル機構があるので、市街地では非常にありがたいですね。

『乗り初めの極低速下において、これだけ素性の良さが伝わってくるとは…。』

試乗という目的をさておいても、ハードな渋滞にはまってしまったことをむしろ好都合だと思わせるのは、さすがホンダ・さすがVFRと唸る部分です。

低速ではしっとり、高速ではしっかりとする足回り

しぶとかった渋滞をようやく抜け出すと、今度はサスの動きの滑らかさに驚かされました。

視覚的にとらえている路面の凹凸よりも明らかに滑らかに走ってくれる。

『低速走行だからかな?』と最初は思っていました。

しかし、速度を上げていっても柔らかすぎる感触にはならず、むしろしっかりしていく感覚です。

全域の渡って保たれる上質感なサスの動き。

このサスの造り込みは本当に「見事」というしかありません。

ワイルドな気分を満喫できるV4サウンド

V4の面白いのは低速の粘り。

なんと5速2千回転でグググっと悶えながらも、なんとか耐えてくれます。

さらに、そこからドバっとサディスティックにアクセルを開けても、「ギュオぉぉぉ!」と雄たけびを上げながら素早く加速してくれる。

この従順性が可愛らしくて、うっかり惚れてしまいそうです。

高速に合流すると、その加速音はこれまで以上にワイルドな音質に!


押しの強い低音と甲高い高音の共鳴が美しく、筆者はこれを勝手に「デュオサウンド」と呼んで楽しみました。

VFR800FにはHYPER V-TECが組み合わされていて、6,000回転を境に4バルブに切り替わります。

この時は、それまでの「ギュオーぉ!」という低い音から「ガゥーぁ!」という高音に代わるのを感じます。

と言っても、音量はあくまで規制値内。

音の大きさよりも音質の良さが、乗る人を飽きさせません。

全域にわたって従順さを保ち、どこまでも伸びやかに加速するVFR800F。

時にジェントルであり、時に逞しく思える懐深さ、そしてこの「声」ともいうべきサウンドがV4の真骨頂です。

今回お借りした車両には、メーカーオプションとして用意されているクイックシフターの装着はありませんでした。

しかし、このスムースな加速と音質を楽しむには、確実に必要になる装備だと思います。

さらに欲を言えば、せっかくのスポーツツアラー。

今後マイナーチェンジがあるとすれば、クルーズコントロールの装備ははぜひ欲しいところですね。

まとめ

実は今回ワインディング走行について取材も試みましたが、現地は気温が低く所々凍結か所もあり、残念ながらテースティング走行は断念。

ゆっくりと下山しましたが、それでも脆弱な路面状況がブレーキングとアクセル操作にシビアさを求めてきます。

今どきの電子制御バイクとは違い、VFR800Fの安全装備はトラクションコントロールとABSのみ。

しかし、この二つの働きがしっかりとリアのグリップを保とうとしてくれているのを感じました。

VFR800Fは渋滞のときと同様、ネガティブな状況でライダーをアシストしてくれる素晴らしいバイク。

VFR800Fについて本稿で最もお伝えしたいのは、スタイルの良さ以上にこうした素性の良さですね。

特にV4エンジンのキャラクターは、ツアラーとしての使い勝手の良さと共に、まったりとしたツアラーにはない卓越したスポーツ性を存分に満喫させてくれる唯一無二の存在。

新進気鋭の電脳を備える新型車種たちが目立つ中で、写真には写らないV4の懐深い個性は、さらに多くのライダーに感じていただきたい部分です。

今回の記事をお読みいただいた方々が、V4エンジン・そしてVFR800Fへの興味を深めていただけ他ならば光栄です。

皆さんも是非、お近くの試乗車でこの従順で伸びやかな加速を「デュオサウンド」と共にご体験ください。

 

画像引用元;HONDA VFR800F/走行性能/パワーユニット

車両協力;株式会社ホンダモーターサイクルジャパン




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