整備士が自腹で買うホンダとは?定番の名車を歴史から読み解く
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整備士が自腹で買うホンダとは?定番の名車を歴史から読み解く

「バイク屋さんが自分のお金で買うバイクって、どんなモデルなんだろう?」そんな話題が海外メディアで取り上げられていました。プロが自腹で選ぶ一台には、必ず理由があります。私自身、リターンしてMT-07からCB650Rに乗り換えるとき、整備士さんの一言に何度も助けられました。今回は「整備士が自腹で買うホンダ」というテーマを軸に、ホンダの信頼性の歴史をたどりながら、なぜ特定のモデルがプロからも選ばれ続けるのかを、女性ライダー目線も交えてじっくり読み解いていきます。

1960年代から続く「壊れないホンダ」の系譜

話は1969年のCB750フォアまでさかのぼります。当時、英国車や欧州車が油漏れとキャブ調整に悩まされていた時代に、ホンダは並列4気筒に電気式スターター、ディスクブレーキ、そして「オイルが漏れないエンジン」という工業製品としての完成度を持ち込みました。これが世界の整備士に衝撃を与えた出発点です。

1970年代にはCB400フォア、1980年代にはCBX400FやVFR400R、そして1992年のCB400スーパーフォア。私が20歳で初めて買ったのがまさにこのCB400SFでした。教習車と同じ姿勢、同じエンジンフィール。整備士さんに「これは10年乗っても壊れないよ」と言われた言葉が、いまも耳に残っています。

プロが「自腹で買う」と言うとき、そこには単なるスペック以上の意味があります。部品供給、故障の少なさ、修理のしやすさ、リセールバリュー。この4つの評価軸で、ホンダは半世紀以上にわたって高得点を出し続けてきました。整備台に載せる回数が少なく、載せてもすぐ直せる。仕事道具として選ばれる理由は、意外なほどシンプルなのです。

同時代のライバルたちが選ばれなかった理由

同じ時期、ヤマハのXJR、カワサキのゼファー、スズキのGSXシリーズも名車として語り継がれています。どれも素晴らしいバイクです。私も試乗会で何度も乗り比べました。ただ、整備の現場から見ると評価軸が少し変わります。

たとえば1990年代の水冷スーパースポーツ。CBR900RRフィアブレードは1992年登場時、乾燥重量185kgという常識外れの軽さで世界を驚かせました。同時期のライバルが200kg超だった時代です。しかも壊れない。プロのメカニックが「サーキット遊びの相棒」に選ぶ理由が、ここに集約されていました。

カワサキやスズキの大排気量スポーツは、パワーの絶対値ではホンダに勝つ場面もありました。しかし、通勤にも使えて、10万キロ走っても腰下が持つ、という日常性能ではCB系やVFR系が一歩抜けていた。私の周りの整備士さんも「休日にサーキット、平日は通勤」というオールラウンダーとしてホンダを選ぶ人が多いです。

ちなみに、私が32歳でリターンしたときに最初に選んだのはヤマハMT-07でした。軽くて楽しい良いバイクでしたが、足つきに苦労して34歳でCB650Rに乗り換えました。ホンダを選んだ決め手のひとつが、近所のバイク屋さんの「うちの整備士も乗ってますよ」という一言だったのです。

現代のプロが自腹で選ぶ「ちょうどいい」ホンダたち

では、現代の整備士さんたちが実際にお金を出して買うホンダは何か。海外メディアでよく名前が挙がるのは、CB500系(現CB750ホーネットや日本のCB650R)、アフリカツイン、そしてグロムやカブといった小排気量勢です。

共通するのは「オーバーエンジニアリングされていない」という点。最新技術を全部盛りにするのではなく、必要な性能を、壊れにくい構成で実現している。CB650Rを購入してからちょうど1年が過ぎましたが、消耗品以外でトラブルはゼロです。オイル交換のたびに整備士さんと世間話をするのですが、「このエンジンは20万キロは大丈夫」と笑っていました。

身長158cmの私にとって、足つきは死活問題です。CB650Rはローシートに交換して両足の母指球が届く程度。取り回しも208kgと絶妙で、駐車場での切り返しも苦になりません。装備面では、電子制御を最小限に絞ったシンプルさが、長く乗る前提のプロには好まれるようです。トラブル箇所が少なければ、修理代も安く済みますから。

スーパーカブに至っては、世界累計1億台以上を生産した「工業製品としての完成形」。整備士さんが休日の足として1台持っている、というのは日本でもよく聞く話です。

系譜から見えるホンダの設計思想

こうして時系列で追っていくと、ホンダの設計思想が見えてきます。それは「壊れにくさを競争力に変える」という一貫した姿勢です。

1959年にホンダが米国進出したとき、当時のライバルは重厚長大なハーレーや、扱いにくい英国車でした。そこで小型で信頼性の高いスーパーカブC100を「You meet the nicest people on a Honda」のキャッチコピーとともに投入し、二輪の裾野を広げました。この「誰でも安心して乗れる」という価値観は、60年以上経った現在のCBシリーズやレブル250にも受け継がれています。

興味深いのは、ホンダが二輪事業で安定した利益を出し続けている一方で、四輪では電動化投資などで大きな課題を抱えているという現状です。整備士さんが自腹でホンダを選ぶという海外の話題は、二輪部門の底堅い信頼性を象徴しているとも言えます。

女性ライダー目線でもうひとつ付け加えると、ホンダは足つきや取り回しに配慮したモデルを継続的に出してくれています。レブル250、CL250、GB350、CB350、そしてPCXシリーズ。装備選びで悩んでいた頃、ローシートやローダウンリンクの純正オプションが用意されているだけで、選択肢が一気に広がりました。プロも初心者もカバーする層の厚さ、これが系譜の芯だと思います。

これからのホンダに期待する未来予測

では、この先ホンダはどこへ向かうのか。すでにEクラッチという半自動クラッチシステムがCB650RやホーネットHRC、CBR650Rに搭載され、日本でも展開が始まっています。渋滞の多い日本の街中で、左手の疲労を軽減できるのは大きな進化です。私も試乗会で体験しましたが、発進時のギクシャクが消えて、駐車場での取り回しがぐっと楽になりました。

電動化についても、2030年までに電動二輪を10モデル以上投入すると発表されています。ただし、ホンダの強みは「エンジンの信頼性」なので、電動化した後もその哲学をどう継承するかが鍵になりそうです。バッテリー交換式のEM1 e:やCUV e:シリーズは、その第一歩と言えます。

近い将来、整備士さんが自腹で買うのは、Eクラッチ搭載のCBシリーズや、次世代アフリカツインになるかもしれません。あるいは、意外にも電動カブ系が「壊れない仕事道具」の新定番になる可能性もあります。

読者のみなさんが次の1台を選ぶとき、ぜひディーラーの整備士さんに「自分で買うならどれですか?」と聞いてみてください。カタログスペックには載っていない、リアルな評価が返ってくるはずです。(出典: Top Speed)

まとめ

整備士が自腹で買うホンダというテーマは、単なる海外の小ネタではなく、1960年代から続く「壊れないホンダ」の系譜そのものを映し出す鏡です。CB750フォアからCB400SF、そして現代のCB650Rやアフリカツインまでーープロが仕事道具として選ぶ理由は、故障の少なさ、修理のしやすさ、そしてリセールバリューという地味で本質的な価値にあります。次のステップとして予測できるのは、Eクラッチや電動化を経ても、この「信頼性の系譜」は形を変えて続くということ。次に試乗するときは、ぜひ整備士さんに一声かけてみてください。カタログには載っていない、実務家の視点が最高のガイドになります。




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