
結論:2015年、ジェームズ・ヒリアーはカワサキNinja H2Rでマン島TTのマウンテンコースを走り、サルビー・ストレートでStravaのGPS表示206mph超(約332km/h)を記録したと報じられました。
ただし、これはTT決勝の競技記録ではなく、単独のパレード/デモンストレーション・ラップです。公式スピードトラップによるレース最高速や、コース1周の平均速度記録と同じ数字として扱うことはできません。
目次
2015年に何が行われた?
2015年6月、当時Quattro Plant KawasakiからTTに参戦していたジェームズ・ヒリアーが、クローズドコース専用のNinja H2Rで全長37 3/4マイルのマウンテンコースを1周しました。主催者側はほかの車両と競わない専用時間枠を設けています。
TT関連サイトの当時の記事では、サルビー・ストレートでStrava GPSアプリが206mph超を示したと説明されています。動画では速度計がさらに高い値を示す場面がありますが、車載メーター表示、スマートフォンGPS、公式計測器は測定方法と誤差が異なります。
206mphは何km/h?
1mph=1.609344km/hで換算すると、206mphは約331.5km/h、206.9mphなら約333.0km/hです。旧記事の「約331km/h」は206mphの換算として概ね正しい数字です。
しかし、数字の桁を細かくしても計測精度が上がるわけではありません。Stravaアプリで得たピーク速度は「当時の走行で端末が記録した値」として紹介し、公式認定の最高速と断定しないのが適切です。
TTの「最高速」と「ラップ平均速度」は別物
| 数字 | 意味 | 今回のH2R |
|---|---|---|
| 最高速 | 直線など一地点付近のピーク速度 | Strava GPSで206mph超と報告 |
| ラップ平均速度 | 1周の距離を所要時間で割った速度 | 公式レース記録として扱われていない |
| レース結果 | 規定クラスで争った順位・タイム | パレード走行のため対象外 |
マン島TTの公式データベースに載る2015年Senior TTでは、ヒリアーはカワサキで2位、平均速度130.03mphでした。これはH2Rのデモ走行ではなく、決勝レースの別の車両・結果です。
なぜH2Rでレースに出なかった?
Ninja H2Rは998cm³スーパーチャージドエンジンを搭載するクローズドコース専用車です。カワサキの技術資料では2015年型H2Rを310PS、300km/h超での安定性を開発目標として説明しています。
高出力であっても、特定レースの車両規則に適合することや、マウンテンコースで最速のラップを刻めることとは別問題です。TTのレースはクラスごとの規則、燃料搭載量、タイヤ、足回り、整備性、長い公道コース全体での扱いやすさを含めて競います。
2026年型H2Rもカワサキ英国サイトで公道用ではないと明記され、価格は52,000ポンドからです。日本の公道を走れるNinja H2シリーズやレンタル事情は、Ninja H2はレンタルできる?で整理しています。
H2Rのほかの最高速記録と混同しない
H2Rにはマン島の206mph以外にも、閉鎖された橋での400km/hチャレンジなど有名な映像があります。場所、車両仕様、計測器、距離、路面が違うため単純比較はできません。詳しくはNinja H2Rの最高速は400km/h?で整理しています。
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参考資料
- iomtt.com:Hillier hits highest speed on H2R(2015年)
- Isle of Man TT:2015 Senior TT公式データベース
- Kawasaki Technical Review:Ninja H2シリーズの開発
- Kawasaki UK:2026 Ninja H2R
初出:2015年7月/計測方法と走行区分を加え、2026年8月に全面改稿。

