Kawasaki 新型NinjaZX-10R/RR/SEはもっちりトルクでシュパッと速い!
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姿と走りをアンベール

2018年9月2日、大分県日向市にあるオートポリス。

この日、このサーキットで行われた全日本ロードレース選手権内のエキシビジョンでとして、2019年型Kawasaki Ninja ZX-10RRが世界に向けて公開されました。

しかも、当日それを駆ったのは、Kawasakiが誇る世界スーパーバイク選手権の覇者ジョナサン・レイ。

今年の鈴鹿8耐での熾烈なトップ争いも記憶に新しいですね。

単に姿を展示するだけでなく、音と走りを公開。

そんな堂々たるお披露目の方法に、Kawasakiの新生Ninja ZX-10Rシリーズに対する絶大な自信を感じます。

今回はこの、Kawasaki Ninja ZX-10Rシリーズの熟成度について見ていきたいと思います。

知れば納得 RRの音と走り

さて、注目のZX10-RR。

まずは、ジョナサンの駆るその走りを見ていただきましょう。

 

引用元;YoungMachineヤングマシン

目玉は「フィンガーフォロワー」

ライムグリーン単色で責める感じが眩しい2019年型ZX-10RR。

動画はあくまでデモ走行ということで、そんなに激走しているわけではないようです。

しかし注目すべきは、走行音ですね。

特にコーナー進入から立ち上がっていくあたり。

アクセルの開けはじめからの音が太く、低回転からドゥわ~!!とパワーが出ている感じが伝わってきます。

減速しながら入ってくるS字も、車速はゆっくりですが、Rのキツめな奥の切り返しのシャープさには「なるほど」と思うものがありますよ。

今回、新型ZX-10Rシリーズ3車共通の目玉はフィンガーフォロワーロッカーアームの採用。

上のCGでライムグリーンになっているのが、その「フィンガーフォロワーロッカーアーム」(実際にライムグリーンなわけではありません。)

バイクの動弁方式の多くは、カムの山がバルブを直接押し込む直押し式。

直押しの場合、カムがバルブを一番多くリフトさせるのは一瞬。

なので通常、パワーを出すにはバルブのリフト量を上げるために、カム山の形状をとがらせるというか、盛りを大きくするのがセオリーです。

しかし欠点として、パワーを上げようとすればするほど、出力が高回転に偏るというのが直押しの悩み。

一方、フィンガーフォロワーロッカーアームは、バルブのリフト量を大きくでき、さらにバルブの押し込み時間を稼ぐことができます。

このおかげで、新型ZX-10Rは中速域にはモッチりとしたトルクと、従来モデルより3psUPの203ps(RRでは4psUPの204ps)というパワーアップも実現できるわけですね

なので、アクセル開けはじめのあのドゥわ~!!っという音。

これを読んだ後なら、きっと納得される方も多いのではないかと思います。

RRのシャープな動き

今回ジョナサンが駆っているのは、スタンダードモデルよりもサーキットでの「攻め」を重視したRR。

フィンガーフォロワーに加え、RRにはF1マシンに使われることの多い、パンクル社のチタン製コネクティングロッドが採用されています。

ZX-10RRのチタンコネクティングロッド
映像引用元;WITH ME MOTOR STATION TV

単体わずか102g。

超高速で回転運動をするコネクティングロッドがグッと軽くなることで、エンジン内部で発生する慣性を大きく軽減してくれるんですね。

これにより、加速の鋭さやトップエンドまでの伸び、エンジンブレーキのバックトルクなどが最適化されます。

とにかくアクセルの反応やハンドリングの素直さといったトータルなフィーリングを向上するわけです。

そう思って先ほどの動画を見返すと、S字の切り返しで2個目に入っていくところなどが、一層鮮やかな動きに見えてくると思います。

カウルを装着した状態では外から見えないということですが、なんとエンジンヘッドが赤く塗られているとのこと。

どこからか「ここを見てくれ!」というKawasakiのエンジニアたちの声が聞こえてきそうですね。

シリーズ3台の特長は?

まずは、ジョナサン・レイによってお披露目されたトップモデルのRRを見ていただきました。

NinjaZX-10RシリーズはこのRRの他、スタンダードのR ・ABS、そしてSEの3台。

いづれも、外観的にはデザインはほぼ継承されるようです。

では、それぞれの特長や違いを見ていきましょう。

Ninja ZX-10R /ABS

こちらがスタンダードモデルとなるNinja ZX-10R/ ABSです。

カラーリングがワークスレプリカ然としった感じで、とてもレーシーな印象を持ちます。

スタンダードとはいえ、電脳を司るIMUにはスタートダッシュを有利にするローンチコントロールまでを装備。

足回りも、サス内で発生するオイルの気泡を消泡し、性能をフルに引き出すバランスフリーサスペンションの装着で、ホールトゥウィンへの気合も十分です。

特に先代シリーズでRRとSEのみの設定だった、アップ側・ダウン側の双方向に有効なクイックシフター(KQS)が、今回はこのスタンダードモデルにも装備されました。

KQSはライダーをクラッチ操作からほぼ開放してくれるので、これはツーリングメインのSSライダーにはありがたい変更ですね。

また外見上、ホイールがアルミの3本スポークである点が他の2台と違うので見分けがつくのではないかと思います。

Ninja ZX-10R SE

昨年11月に発表された「電脳」SEも、スタンダードと同じくフィンガーフォロワーロッカーアームを備えパワーアップ。

7本のスポークを持つマルケジーニのホイール、M7RS Genesiを装着するのは従来通り。

マグネシウム製ではないものの、高度な技術で成形されたアルミ鍛造ホイールは軽量強健

見た目通り、いや、きっとそれ以上の走りを約束してくれるでしょう。

SEは、Kawasakiがレースを通じてショーワと共同開発してきた電子制御セミアクティブサス、(Kawasaki Elevtronic Contorol Spension)を実用化した点が話題です。

通常、サーキットはサーキット、街乗りは街乗りというように、それぞれのシュチュエーションに合わせた快適性を得るには、セッティングにひと手間加える必要があります。

しかしこのサスIMUと連動され、コンピューターが路面や走行状況を瞬時に判断し、常に最適な走行状態を保つという優れもの。

作動速度も1ミリ/秒という敏速さが自慢で、それがただでさえ高性能なバランスフリーサスペンションと組み合わされている。

これがメイドインジャパンの凄いところです。

マルケジーニのホイールが生む高い路面追従性と相まって、街乗りからサーキットまでの実に幅広いフィールドを思い通りに、そして安全に駆け抜けることができるでしょう。

そのほかの変更点としては、外見的にはブラックを基調とした専用カラーリング。

一見現行モデルと同じですが、こちらには先日新型H2Rをご紹介した際にお伝えした、自己修復塗装「ハイリーデュラブルペイント」が新たに採用されています。

極浅い小傷程度なら、一週間くらいで元通りになり、美しさを保つといいますから、これは凄いですね。

Ninja ZX-10RR

さて、こちらが先述ご紹介していたRR。

そうです、ジョナサン・レイが駆っていたマシンです。

パンクル社のチタン製コネクティングロッドの採用が特長のエンジンの内容は先述の通り。

エンジンが3車で共通だった現行車より、シリーズ他車との棲み分けがよりはっきりした感じになりました。

効能等についてもお伝えしたところですが、コントローラブルなエンジンの素性を活かすべく、前後サスも他の2台とは異なる専用セッティングで最適化が図られています。

外観としては、ライムグリーンに大きくあしらわれた「Ninjya」の文字、そしてタンデムシートやステップが廃された一人乗りであることが特長。

さらに、トップブリッジ上には全世界500台限定ということで、シリアルナンバーが刻印されています。

オーナーとなれば、Kawasakiの気合いにかなりの所有感を感じるのは間違いなさそうですね。

気になる価格と販売時期は?

9月初旬現在、メーカーの公式リースには国内に向けた明確な価格や発売時期についてのアナウンスはありません。

これまでZX-10Rシリーズは海外向け車両として販売され、国内ではKawasaki車の正規輸入を行う株式会社ブライトによって逆輸入されていました。

ただ、リリース文には「10月1日より導入国で順次発売します。」という文言があるので、

  • 「導入国」に日本が含まれるのか?
  • 販売価格は決まっているのか?

の2点を、Kawasakiお客様相談室に問い合わせてみました。

その結果、

  • 「2019年型からは国内モデルも投入する」
  • 「日本での発売時期は現在未定」
  • 「価格も今は決まっていない」

というお答えをいただきました。

すでに規制も緩和され、最近のSSは国内仕様もエンジンパワーなどの面で海外仕様とはそう大きな差がないようになってきましたね。

とすれば国内仕様はETC2.0の標準装備、(RRには選択装備?)やグリップヒーターの純正オプション?

その辺があればうれしいかもしれません。

ひとまず、ブライトによる現行車の価格を見ると、

ZX-10R:220万8,600円
ZX-10R KRT:222万4,800円(KRT=ライムグリーンのレーシングカラー)
ZX-10RR:253万2,600円
ZX-10R SE:286万2,000円

ということですから、これに…

  • フィンガーフォロワーロッカーアーム代;(3車共通)10~15万円UP。
  • SEの自己修復コート代;5~10万円UP。
  • RRのチタンコネクティングロッド代;30~50万円UP。

くらいが上乗せされた価格を予想します。

さらに販売時期としては、昨年Z900RSの発表からの展開が意外に早買ったことを踏まえ、年内12月までには店頭に並ぶのではないかと見ています。

ただ、RRは全世界で500台のホモロゲーションマシンなので、日本には多くて30台程度の極小ロッド?

いずれにしてもその価値観は絶大なものになるでしょう。

まとめ

エンジンに磨きがかかった2019年型ZX-10Rシリーズ。

お披露目のあったオートポリスで、記者から「外観を変えなかったのは?」と聞かれ、「勝つために必要な部分を変えただけだから」と答えたKawasaki。

これは「シャーシはもうできている、コーナーでの速さを上げてくれ!」というジョナサン・レイからの注文が具現化されたものだともいわれています。


ジョナサン・レイ選手

確かにそれを聞けばその答えはクールです。

何より、今年の8耐で3位という結果に対するリベンジというのもにじみ出ている言葉だと思いますね。

ただ、サーキット性能は標準装備で、公道でも様々なスチュエーション、様々なライダースキルに順応する性能を求められるが今のSSです。

恐らく、今回採用されたフィンガーフォロワーロッカーアームで低速からの扱いやすさを盛った点。

そこにはCBRやGSX-Rといったライバルが持つ「マルチな扱いやすさ」をより高度に実現する狙いがあるのは明らかでしょう。

がっちりしたフレームでひらひらと切り返すのが現行ZX-10Rの持ち味。

これを新しいエンジンがさらにどう高めてくれたのか?

現車を見ることができない今、その乗り味は様々なメディアを眺めながら想像するしかありません。

なので、できるだけ早くを内容を確かたいというのは、筆者だけではないでしょう。

今から待ち遠しいですね。

ZX-10Rシリーズ諸元

この稿の執筆は2018年9月11日。

現在発表されている諸元には一部公表されていない数値もありますが、そのあたりは現行車の数値を併記しましたので、想像力を思い切り働かせてくださいね。

※数値は海外仕様です。

車両重量 NinjaZX-10R(ABS);206kg
NinjaZX-10R ;204kg
NinjaZX-10RR ;206kg
NinjaZX-10RSE;208kg
全長×全幅×全高 2,085mm×740mm×1,145mm
軸間距離 1,440mm
最低地上高 145mm
シート高 835mm
キャスター/トレール 25.0°/107mm
エンジン形式/弁方式 水冷4ストローク4気筒/DOHC 4バルブ
総排気量 998cm³
内径×行程 76.0×55.0mm
圧縮比 13.0:1
最高出力 203ps(RRのみ204ps)※2018年9月現在各発生回転数は未発表。

ちなみに現行車は、
147.1KW(200PS)/13,000rpm (ZX-10R/RR/SE共通)

最高トルク 2018年9月現在トルク数値は未発表
ちなみに現行車は、
113.5N⁻m(11.6kgf⁻m)@11,500rpm(ZX-10R/RR/SE共通)
なので、新型はこれを上回り、RRではまた違った数値となるでしょう。
始動方式 セルフスターター
点火方式 バッテリ&コイル
(トランジスタ点火)
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 3.7L
燃料供給方式 フューエルインジェクション
燃料タンク容量 17L
トランスミッション形式 常噛6段リターン
クラッチ形式 湿式多板
ギヤ・レシオ
1速 2,600 (39/15)
2速 2,222 (40/18)
3速 1,944 (35/18)
4速 1,722 (31/18)
5速 1,550 (31/20)
6速 1,391 (32/23)
一次減速比/二次減速比 1,681(79/47)/2,294(39/17)
フレーム形式 ダイヤモンド
タイヤサイズ 前 120/70ZR17M/C(58)
後 190/55ZR17M/C(75W)
ブレーキ形式 前 デュアルディスク 外径330mm
後 シングルディスク 外径220mm
ステアリングアングル (左/右) 27°/27°

写真引用元;カワサキモータースジャパン




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