Googleイチオシ記事




劇シブなカフェの魅力を探訪したい

環境規制のため、昨年(2018年)に生産終了を発表したKawasakiのW800。

生産終了の知らせに、1960年のメグロ・スタミナに端を発する「W」の歴史がついに絶えたかと、落胆したファンも多かったのではないかと思います。

しかし、Wの鼓動はまだ止まったわけではありません。

今年(2019年) 3月。

Kawasakiは、トラディショナルなフォルムをそのままに、質感を高めたW800STREETとして復活させてくれました。


しかも、これまでオプション外装としての位置づけだった「CAFEスタイル」を、1つの車種として磨き上げた「W800 CAFE」を同時に発売。

今回はどちらか一方にという選択を迫られる中、私は迷わずW800 CAFEをチョイスし、「劇シブ」なカフェの世界を探訪してみることにしました。

美しいその外観を愛でる

カワサキモータースジャパン様からお借りしたW800 CAFE。

まずは、外観をじっくりとみていくことにしましょう。

新しいノスタルジー

今回はグリーンの背景を求めて、森の中に置いてみました。

いつもながら広報車をお借りして思うのは、自然光の下に置いた実車の美しさ。

例えばこのタンクの色も、宣材写真では単にチョコレート色にしか見えないので、「レトロ」に見えるわけですが、


実車は非常に美しい色。

「風合い」とも言うべきこのカラー名は、「メタリックマグネシウムグレー×ギャラクシーシルバー」。

カラー名の通りメタリックのラメが輝き、ギャラクシー(銀河的)な奥行きが美しく、光の加減によって表情を変わるので、時間にや天候によって外見的な表情が変わって見えるのが楽しい色です。

シートはシングルシートをイメージしたような2色の切り返し。


パッセンジャー側にもコシと張りのある上質な感触があり、タンデム走行でも疲れにくい感触。

ステッチもかなり上質な仕上がりを見せ、大変上質な仕上がりを見せています。

そのシート高は790mm。

今回お借りしていませんが、


もう一方のW800STREETでは、770mmとなっており、デザインも非常にトラディショナルなタイプ。

感触的にも違った味わいになるのではないかと思います。

やはりCAFEの「顔」とも言えるのがこのビキニカウル。


それをまとったこの風貌はなんともノスタルジックなもの。

しかし、ヘッドライトに採用されているのはLED。


この顔が、単なる懐古主義ではないことを主張しているようでもあります。

面白いのはその後ろのハンドルデザイン。


その昔、イギリスで市販車を当時のレーサー風に仕立ててカフェに集まって、クレイジーな公道レースをしていたのが「カフェレーサー」の由来。

実際はW800 STREETのものとは別のハンドルパイプが使われていますが、こうしてアップハンドルを逆さま付け直したようなデザインは、CAFEの歴史にのっとったものでしょうか。

セパハンを見慣れた現代に、このデザインを見るのは大変な新鮮さを覚えます。

ですが、当局によるセパハン狩りの時代を知っていれば、純正車がこのデザインを採用している「シャレ」に、思わず「フフッ」と笑んでしまいますね。

さり気ない新しさ

また、今回の復活では足回りが変わっていて、


フロントホイールが先代モデルの19インチを18インチへと小径化しています。

さらにキャスター/トレールも(27°/ 108mm)から(26.0°/ 94mm)と1°立てられた形になっているので、素直なハンドリングが期待できますね。

そして、レトロな風格を保ちながらも、ディスク中央にABSのセンサーが備えられているあたりが、現代的に見えるところです。


リヤにしてもそれは同様。

その手前に輝くキャプトンタイプのサイレンサーは、全体のプロポーションを低く、そして品位のあるものにしています。

また、エンジンそのものはツインとしてシンプルながら、その機能美は芸術的と言って言いすぎることはないでしょう。


サイドにべべルギアを持つバーチカルツインの、もはや個性的ともいえる姿を令和の時代に新しさを誇れることは、ファンにとって感慨深いところではないでしょうか?

目を凝らしてみると、エキパイにはO2センサーが設けられ、精密な燃調制御を行っていることをうかがわせています。

 

何気ない形で装備されているこのセンサーが、恐らく厳しい環境規制に適合した「令和のW」たらしめるところなのでしょうね。

リアルCAFE、そのライディングポジションや足つき性は?

まず足つき性に関して言えば、先述の通り790mmのシート高はミドルクラスの中でも、低めな部類に入るでしょうか。


車体全体のプロポーションは低く、身長162㎝、座高91㎝の私が両足をしっかりと接地させることができる安心感があります。

ビジュアル的に、モデルがメタボなおっさんなのは、年季の入り過ぎたビンテージということで大目に見てくださいね。(笑)


さておき、このドロップハンドルは、恐らくW800 STREETより前傾姿勢にはなるのでしょう。

しかし、自然に腕を伸ばした位置にハンドルがあり、ゆったりとしたポジションが、腕や肩をハードさを感じさせることはありません。

それでいながら、SSマシンのそれとも違うスポーティーな気持ちにさせてくれる。

なるほど、これが「CAFE」ということなんですね。

跨ってみると、いいなと思うのはメーターの視認性の良さ。

非常にシンプルなメーターパネルはそれ自体の視認性が良く、視線をやや落とせば角度的にもちょうどいい位置にあります。

ちなみに、W800 STREETでは、計器灯の配列は同じながら黒ベースのパネルになっていて、


※写真は輸出モデル

CAFEとは異なるキャラクターであることをアピールしているようです。

W800シリーズにはETC2.0が標準装備されているのですが、

メーターのパネルには、ETCカードの警告灯があり、アンテナがカウル内に装着されているのも、「今風」なところです。

さらに、W800 CAFEにのみ、グリップヒーターが標準装備となるのもうれしいところ。

今回は夏グローブだったにもかかわらず、気温が予想に反してひんやりとしていたので、この装備は助かりました。

欲を言えば、このヒータースイッチのおかげで、ウインカースイッチを若干遠く感じ、「あと3mm左に」とも思ったのですが、これは掌が小さい私のせいということにしておきます。

CAFEが令和を走る

ここまで、外装をじっくりとみてきた中で、メーターやハンドルのデザインはかなり個性的なものでしたね。

しかし、マシンを直立させる際、パイプによるドロップハンドルのせいか、ステム周りの造作のゴツさが若干の重量感を与えている印象。

取り回しも、ハンドルを左右に振る際、心なしかこのあたりの重みを少々ですが感じます。


先輩「W」たちの面影を色濃く残すスイッチ。

その中にあるスターターボタンを押すと、伝統にして最新のバーチカルツインエンジンが「ルォォー」というアルトボイスで歌い始めます。


ギアのハイリもスムース。

クラッチをゆっくり繋げていくと、厚みのあるトルクがスルルとマシンを前に押し出し、圧のあるトルク感を保ったまま伸びやかに加速していくのが爽快。

ツインエンジンというと、たいていは「ドドドっ」という鼓動感、あるいは「パラパラパラっ!」という歯切れの良いパルス感をイメージするかもしれません。

しかしこの360°バーチカルツインエンジンはそのどちらでもなく、モーターのように実に滑らかなフィーリング。

それでいて、「ルー」と低く静かなサウンドと共に感じるバイブレーションが実に有機的な存在感を持っていて、ここにWの個性を感じました。

実は今回、試乗時間を長くとることができず、かなり気ぜわしい中での試乗となってしまいました。

乗車前も時間に追われ、あたふたとしてあれこれ忘れ物をしてまた取りに行くなどイライラ。

しかし、しばらく乗っているうち、乗車前からの気ぜわしさや、ちょっとしたイラ付きがなくなっている気づき、このゆったりと味わいあるエンジンフィールのすばらしさを思い知らされました。

高速道路は100㎞/h5速で3500rpmといったところ。

この速度域でも静粛性を感じるエンジン。

この静粛性のおかげで、走行中のライダーの思考が妨げられないのがいいですね。

流石にスーパースポーツバイクの様な俊敏さはないものの、アクセルを開ければやはり厚みのあるもので背中を押されているような独特の加速フィーリング。

この味わいがなんとも楽しいです。

そんなフィーリングに気をよくして、私はこの最新のカフェを、緩やかなワインディングに連れ出してみました。


W800CAFEの最低地上高は、わずかに130mm。

それゆえバンク角を深くすることはできません。

法定速度で走行する前の乗用車に追従するように走行しましたが、このマシンにとっては好都合。

停止状態の取り回しで感じていた、ステム周りの若干の重量感もこの時点では既に感じられないものになっており、ステップの荷重に対して素直に舵角を付けてくれています。

坂の具合に応じて変速していくのですが、新採用になったアシストスリッパークラッチのおかげで、クラッチは非常に軽くて楽。

また、エンジンブレーキを使った下り坂の減速なども、マシンに過剰な挙動を与えないので安心ですし、距離を走る場合疲れにくいのがいいですね。

さらに今回のモデルでは、径はそのままに、部位の必要に応じてパイプの厚みを変えたり、溶接に方法を最適化するなどした新作フレームを採用。


そのおかげで車体には、コーナーの中で角度が変わる複合コーナーに差し掛かっても、しっかりとした剛性感が感じられます。

ただ、サスペンションはあくまで直線を重視した味付けなのか、全域においてしっとりと柔らかめな印象。

「ハードな要求までは受付兼ねる」と言いたげな設定で、味わいどころの本領がスピード中にはないことを再認識しました。

共にある時間ををゆったりと楽しむ。

CAFEだけに、コーヒーブレイクの様な味わいある乗り味だと言ったら出来すぎでしょうか。

また、今回の燃費はご覧の通り。

メーカー公表値が21.1㎞/Lなので、なかなかのの燃費だと言えます。

W800CAFEは 時代を纏う(まとう)

緩やかなワインディングを経て再び一般道で家路に。

その途中、Wらしいユニークなエピソードがありました。


これは一通りの試乗を終え、家路についた中での、とある信号待ちの風景。

杖をついたおじいさん。

横断歩道をゆっくり渡ているのですが、渡り始める前から本当にうれしそうな笑顔でずっとW800CAFEを眺めています。

「眺めている」というより、もはや「見とれている」感じ。

横断歩道を渡り終えると、何と私の横で満面の笑みを浮かべてながらじっくりとマシンを眺め、私に微笑みかけながらゆっくりと去って行かれました。

この後も交差点ではご年配の方々から続々と熱いまなざしを感じ、その後に行った外観写真の撮影時に至っては、お年寄りからお声をかけられたりもしました。

「これ、古いバイクだよね、俺、昔メグロのスタミナが欲しくてアルバイトしたんだよ、これもそういうのなんでしょ、懐かしいねぇ」

しかし、これが最新のバイクだと知ると2度びっくり。

「いやぁ、いいもの見してもらいました、ありがとう。」

そう言って去って行かれたわけです。

たとえお歳を召してバイクに乗れなくなったとしても、心の中にバイクとの思い出がしまい込まれている。

それって素敵なことですよね。

そして、どの方もW800 CAFEに向ける視線は少年の目の輝きそのもの。

W800CAFEは彼らの胸の中に大切にしまわれているバイクのカタチと、重なるものがあるようです。

しかし、これは、ここまでお伝えしてきたように、洗練された乗り味を持った最新のバイク。

その感覚にどこかタイムマシンに乗っているような不思議な気持になりました。

私も、長くバイクに乗っていますが、そういう感想は初めて。

恐らくこれはW800CAFEならではなのかもしれませんね。

皆さんもお近くの試乗車で、この不思議な感覚をお試しになってはいかがでしょうか?

車両協力;株式会社カワサキモータースジャパン




この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事