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「ライダーのための救護法」

2019年2月9日(土)、神奈川県・相模原市緑区の鳥居原ふれあい館で、


桑田幸二さんによる「ライダーのための救護法」というファーストエイド講座が行われました。


↑今回の講師を務められた桑田幸二さん

桑田幸二さんは山岳救助隊で修練を積まれ、バイクレースのレスキュー隊長として、過去20年間にわたり様々なレースの救護にあたられていた方。

なので、消防などで一般に行われるの救護活動とは一味違い、バイクで事故にあって人を救助することに特化した救護法をお教えになる、我々ライダーには有り難い方なのです。

「ライダーのための救護法」はこんな内容

桑田さんから講習内容のご紹介に先立ってのお願い

本文中の画やスライド画像は、桑田さんの許諾を得て使用しています。

しかし、救急法は命にかかわる大切な内容を含んでおり、文章と図や写真の解説は解釈により危険な場合もあります。

実践には、体験による習得が欠かせません。

なので本文は、「現場での実践指導を目的とするもの」ではなく、あくまで桑田さんの講習を受けて「新たな気づきとなる点をご紹介するもの」です

その点についてはご承知おきください。

事故との遭遇から救急隊到着までの間、必要となる処置の内容をチャート化すると次のようになります。


どこを打ったのかをよく見る
その場は安全か?
YES
NO
移動しない 移動する


意識はあるか?
YES
NO
手当と観察 救急車を要請、AEDを探す・ヘルメットを脱がせる





呼吸はあるか?
YES
NO
回復体位またはハイネス体位をとらせる CPR
(人口呼吸・心臓マッサージ)開始



 
大出血はあるか?
大出血はあるか?
YES NO YES NO
出血のコントロール 経過観察 CPRと合わせて出血のコントロール CPR
続行

こうしてまとめると、「それなら知ってるよ」という方もいるかもしれません。

しかし、ここから先が目からウロコ。

桑田さんの講習では、リアルな現場を想定して、その場で何が何のために必要であるのかを細かく教わることができます。

この表の➀~⑤の内容について詳しく見ていきましょう。

➀ どこを打ったのかよく見る

転倒している瞬間を目撃した場合、倒れ行くライダーの体のどこが接地したのか、を見ておくことが大事です。

桑田さんはこの瞬間を目撃した場合、心の中で1・2・3とカウントするのだそうです。


こうすると、当たった場所ひとつひとつを印象として焼き付けることができ、手当を開始しやすいのだそうです。

ちなみに、スマホなどで現場の映像を残すことも大切です。

倒れているバイクと転倒者の位置関係がわかるように、発生直後の写真をとって置くことで衝撃の大きさ等がわかり、救急隊への引き継や、警察へ事情説明がスムースになります。

② その場所は安全か?(二次災害の防止~転倒者の移動まで)

ここは救護をする上で最も大切な場面です。

周囲に事故の発生を知らせる

バイク事故の場合、転倒したライダーが後続車に轢かれてしまうことと、救護に向かった人が負傷することは絶対に避けなければなりません。

つまり2次災害防止を図り、移動が必要な転倒者をいかに安全な場所に避難させるのかが重要なのです。

これは以前、柏秀樹先生のご著書にあったことですが、バイクに乗る際は発煙筒を複数携行して事故現場の前後に設置するとよいのだそうです。


↑柏先生によると4~5本あると良いとのこと、私も常に2本は携行しています。

なので、援護の手を募る意味でも、他の交通にその場所の事故を知らせ、早期に認知してもらえるようにすることが「はじめの一歩」になります。

転倒者の背後から声をかけてはいけない

たぶんその場で動かない人を見ても、意識があるかどうかはわからないですよね。

次の瞬間「大丈夫か?!」と声をかけることになるのですが、もし、意識があった場合、多くの転倒者はその声の方向に振り向こうとします。

実はこの時点で頭蓋や頸椎の損傷に気づいていない転倒者も多く、振り向かせることが危険な場合も多くあるのだそうです。

なので、転倒者に声をかける場合、

「救護者はまず自分の安全を確保したうえで、転倒者の視界に入る様な位置から声をかけて近づくことが必要だ」

と桑田さんはおっしゃっておられました。

その場から転倒者の移動が必要な場合

次に、転倒している人をどうするかということですね。

基本的には、その場所が安全であることが確認されたなら、そこから移動させないことが絶対だそうです。

ただ、自力で転倒者が動けない場合、そこが危険な場所ならば、そこから素早く移動させなくてはなりません。

では、実際にどうするかというと、

➀ 可能であれば、自分の他にもう一人の人に協力してもらい、


② 転倒者の顔の向きとは反対側から救護にあたり、顔・肩・腰をひねらないよう、同時に起こします。

どうしても救護者が一人の場合については、後述しますが上記3か所の動揺がないように注意して行わなければなりません。

③ 向きを変えたら、頭は特に揺らさないよう慎重におろします。

④ そして、転倒者を即座にその場から移動させなくてはならない場合
 は、着衣の方の下を掴んで移動を行います。


A、背中の下でウエアを握り込む手のかたち
B、両腕の間にヘルメットを載せて頭部を保持する

路面と転倒者との間に両腕を肘まで差し込み、上記の方法でウエアを掴みます。

ヘルメットを救護者の両腕にのせてライダーの背中を少し浮かせ、かかとを支点にして後ろに倒れ込むようにしながら移動します。

また、少し状況に猶予があれば、転倒者の脚が広がって移動の抵抗にならないように足を組ませます。

そしてライダーの背中を少し浮かせた空間に、救護者の膝を入れて腰を落とし、


転倒者の片腕を腹の上に置き、援助者の腕を転倒者の両脇から入れて腹に置いた腕の両端を掴みます。


そして救護者の頭を使って、
垂らした腕の側で転倒者の頭を支えながら後ろに移動します。

移動したら、頭をゆっくり下すのが肝心。

例えばこの方法であれば、自分の体重の2倍までは救護者が一人の時であっても後ろに引くことができるのだそうです。

また救護者が複数いる場合、


一人は上記の方法で転倒者の腕をつかみ、腹の上にの出て膝立ちになり、もう一人は立膝で腰を落として転倒者の両足をまとめて抱え、上体を支える援護者とともに立ち上がる。

この方であれば、素早く長い距離を移動できるのだそうです。

③ 意識の有無を確認(処置上の注意とヘルメットの脱がせ方)

ひとまず現場の安全を確保し、転倒者の状態を詳しく見た後、適切な処置に移っていきます。

119番通報での注意

ここで、救急搬送を要請するわけですが、周囲の人に要請をお願いする場合「救急車をお願いします」というのは避けた方がいいそうです。

現場はとにかく緊迫しているので、「救急」という言葉が周囲の不安を大きくするため、「119番通報願います!」と言った方が良いと桑田さんはおっしゃっていました。

また、この後の措置がわからなくても、消防指令室は救急車到着まで、求めればファーストエイドの方法を指示してくれるのだそうです。

転倒者に意識がある場合の注意

転倒者にはっきりとした意識のある場合、桑田さんは次のような点に注意して欲しいとおっしゃっています。

「転倒者がパニックに陥らないよう、不安を拡大させないことが一番大切。」

例えば呼びかけに反応がない転倒者であっても、その耳ははっきりと聞こえている場合が多く、

  • 「バイクがぐしゃぐしゃだ。」
  • 「これはもう助からない。」

といった言葉を聞くと、転倒者の転倒者のショックを大きくしてしまいます。

なので、

  • 転倒者に意識がある場合には、やじ馬を遠ざけるか救護に参加してもらう。
  • 転倒し、大破したバイクを転倒者に見せない。
  • 助けが来ることを告げ、励まし続ける。

この3点は非常に大事なのだと言います。

また、頭を打っている場合には、いきなり意識を失う場合もあるので、救護者は安静処置中も絶対に転倒者から目を離してはいけないのだそうです。

ヘルメットを脱がせるか否か?

ライダーの救護ではその前にヘルメットをどうすればいいのか判断に苦しみますよね。

頸椎損傷の疑いがある、あるいは救護者が一人なおかつ、その場の安全が確保されているという状況では無理に動かさず


119番通報要請ののち、ヘルメットを抑えて声をかけ続け、転倒者を動かさない方が良いそうです。

逆に、へルメットを脱がせた方が良いのは、

  • 意識がない。
  • 呼吸がないか、呼吸が不規則。
  • 口の周りに吐しゃ物がある。
  • 鼻や口から出血がある。

この4点のどれかがあれば、脱がせた方が良いのだそうです。

そして、ジェットヘルメットの場合と、フルフェイスでは脱がせ方が大きく違うのだそうです。

ジェットタイプのヘルメットを脱がせる方法

これは基本的に2人で行うことですので、注意してください。


➀ 一人が顎と首の後ろをしっかりと支え、頭が動かないようにします。

② そして、もう一人が顎紐を外してヘルメットのふちを掴んで左右に広げ、耳が出るまでゆっくりと広げます。


③ 耳が出るまで引いたら、ヘルメットの頂点が空を向くようになるまで、90°回します。


④ そしてメットを上方向に引き上げて脱がせます。

ハーフタイプのヘルメットを脱がせる方法

ハーフタイプの場合は、


➀ 一人が顎と首の後ろをしっかりと支え、頭が動かないようにします。
②もう一人が顎紐を外してヘルメットをそのまま抜き取ります。

フルフェイスヘルメットを脱がせる方法

フルフェイスは、

➀ 一人が顎と首の後ろをしっかりと支え、頭が動かないようにします。


② そして、もう一人が顎紐を外してヘルメットのふちを掴んで左右に広げ、ゆっくりと大きな弧を描いてヘルメットを後ろにそらせるように引きます。

また、顎に付近には大きな血管があるため、顎紐を切るときは救急用のはさみで切断し、カッターは使用禁止です。

ヘルメットを脱がせた後の安静処置

メットをとって意識がある場合は、


頭が下がったり、頸が反らないように衣服やタオルで調整して寝かせます。


また、意識があり、呼吸がしづらいなど、首や背中の骨折が疑われる場合は、周囲のものを使って固定することが必要です。

④ 呼吸はあるか

呼吸が無いかまたは、不自然な場合は心肺蘇生を行い、AEDがあれば使用します。

意識のない転倒者はおう吐や吐血が機関に逆流して呼吸困難に陥る恐れがあるので、仰向けに寝かせておくことは厳禁。

呼吸が正常で反応がない場合


頸椎損傷の疑いがなければ左右どちらでもよいので、身体を横向きにして図の様な回復体位をとらせ、のどをまっすぐにして口を開けておくのが重要です。

反応がなく頸椎損傷の疑いがある場合


回復体位に似ていますが、ポイントは首から背骨をまっすぐに保ちその動揺を最小限にすることが必要、これをハイネス体位と言います。

⑤ 大出血はあるか

傷から血があふれてきたり、脈打つように噴き出していたら、何よりも止血を優先させなければなりません。

この際、救護者は感染防止のためビニール袋を手に被せるなど、転倒者の血液には絶対に触れないようにしてから手当てを行います。


桑田さんは感染防止手袋と蘇生用マウスピースをチャック付きのビニール袋に入れて、これらを携帯しているのだそうです。

大血管の損傷出なければ4~5分、動脈性の血管では15分程度、箇所を変えたり途中で緩めたりせず圧迫を維持することが必要。

部位によってはそれ以上に圧迫の維持が必要とのこと。

また、出欠の量を知る手掛かりにもなるので、止血・圧迫開始時刻を記録して救急隊に引き継げるようにすることも必要なのだそうです。

お知らせ

いかがでしたか?

まだまだ桑田さんのお話は続きがあるのですが、この稿でお伝えしきれないのが残念です。

しかしこの先も、桑田さんからライダーのための救護法を直接学べるチャンスがあります。

2019年3月23日 13:30~14:30

「リターンライダーはなぜ事故が多いのか?」

鳥居原ふれあい館 (相模原市緑区)

桑田さんは上記のテーマで、ライダー向けの救護法講座を開催予定です!

いざというとき役立つお話をたくさん聞くことができます。

ご興味のある方は是非お越しください!

心肺蘇生・AED参照元;福島喜多方地方広域市町村圏組合消防本部/救急/心肺蘇生




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