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ハーレーの革新が始まる

「ハーレーダビットソン」と言えば、今年創立115年を迎える老舗バイクメーカー。

「アメリカの魂」と言われ、メイドインUSAの旗手として世界の人々に長く親しまれてきたバイクブランドです。

多くの人にとってV2エンジンンが「デッデケ・デッデケ・ドドドドド…ォー」と走っていく、あのメカメカしく逞しいクルーザーバイクこそが、ハーレーのイメージなのかもしれません。

しかし、そのハーレーが伝統のV2ではなく電動バイクを出すと言ったらどうでしょう?

恐らく多くの人が驚くことでしょうが、来年にもそれが現実のものになるようです。

2018年7月30日深夜(日本時間)、ハーレーダビットソンは新たな中期経営計画を発表し、かねてから開発を進めてきた電動車を2019年に市場に投入すると発表しました。

計画はそれだけでなく、ストリートファイターやアドベンチャータイプのバイクの計画もあり、生産拠点をインドに移し、250㏄から500㏄などの小排気量バイクの生産も行う予定です。

コアなビンテージファンが多いハーレーだけに、電動や小型のハーレー等がどのような形で受け入れられるのかが注目されるところですね。

今回筆者は、ハーレーの革新とその背景について考えていきたいと思います。

EVでハーレー

今回発表された計画では、まず2019年に電動バイク「LiveWire」(ライヴワイアー)をリリースするとしています。

LiveWireは結構スポーティー

ちょっとそのフォルムを見ていきましょう。


↑LiveWire

全体的なフォルムはハーレーらしいマッチョさを維持。

しかし、車体構成をよく見るとブレンボと思しきブレーキキャリパーが倒立フォークにラジアルマウントされているのが面白いところですね。

ホイールにも軽量化を意識した造りになっていて、タイヤもSSのようなハイグリップラジアルを装着しています。

さらに、カフェレーサーの様に切り詰められたシートの下からはシングルショックユニットを見ることができ、LiveWireのキャラクターがスポーツライクなものであることがわかりますね。

ナンバーホルダーなどの在り方も、ヨーロピアンバイクのそれに似ていて、このアングルだけを見るとカフェレーサー風でもあります。

伝統のV2エンジンに変わってフレームに包まれているのは巨大な電制ユニット。

詳細諸元等は現時点では不明ながら、ハーレーらしいトルクフルな走りに伸びやかでスポーティーな面を併せ持つのではないでしょうか。

いずれにしても、「異次元のハーレー」になるのは間違いなさそうですね。

またLiveWireはこの一車種に限らず、シリーズの閣外を検討中とのこと。

2022年までには、

こういったoffっぽいバイクや、

ユニークなスタイルのバイクもシリーズとして拡充していくことも合わせて発表となりました。

電動バイクはここまで来ている

日本で電動バイクと言うと、出川哲郎がスイカのヘルメットをかぶって乗る原付のように、走りもゆるっとした感じで電源を求めてさすらうイメージでしょうか?

しかし世界に目を向ければ、イタリヤの電源大手であるエネル社も既に電動バイクを市場に出しています。

このエネルのEバイクレーサーのワンレースが、来年からMotoGPのシリーズとして開催される「MotoE」です。

また、無限のまさに韋駄天の走りで、神電7は2018年のマン島TT(電動車クラス)優勝で5連覇を飾りました。

「神電」シリーズの活躍も電動バイクの未来を明るく照らす光になっており、電動バイクの将来性はかなり広がっていうのです。

「車はかつてデトロイトで造られてきたが、今ではシリコンバレーで作られるようになった」

アメリカの評論家の中にはそういうことを言う人もいますが、まさにその通りだと思いますね。

バイクの自動運転までは無いにしても、「電動化に進むモビリティーの中でバイクがどう生き残っていくのか?」

LiveWireはハーレーとしてその問いに対する回答だと言えるでしょう。

アメリカのモビリティー事情

かつてロサンゼルスに住んでいた筆者が、アメリカのモビリティーを眺めていて日本と違うなと思ったのは、電動車の普及率が高いことでした。

EVは結構普通

テスラの車も日本で見る以上に沢山走っていますが、アメリカではFIATのチンクチェントやワーゲンのゴルフ、日本車のFITやRAV4などにも日本では見られないEV車を見かけます。

電動車をそれほど特別視しない理由としては、充電施設の充実があるでしょう。

充電設備のある駐車スポット(EVスポット)は、ショッピングモールに行けばものすごい数でズラッと並んでいます。


↑IKEAのEVスポット20台分くらいはあったでしょうか、すごい数です。

そればかりでなく、砂漠の真ん中のパーキングエリアに行っても、大体1スポットはEVスポットが用意されているんです。

バイクでもヴィクトリー社製のインパルスTTなどをたまに見かけることはありました。

↑インパルスTT

クゥィ~ンと静かに走りつつ、加速が俊敏で、端から見ていても面白そうなバイクでしたね。

ただ、現状として電動バイクがポピュラーなのかと言えば、その答えは限りなくNoと言えるでしょう。

それでも、海外ではEVインフラとしてはかなり整っていますし、日本でもEVスポットは普及してきているので、あとはメーカーが本気を出すだけ?

それだけにハーレーのようなメジャーバイクカンパニーが、電動バイクにどれだけの楽しさをもたらしてくれるのか?

多くの人々の期待が集まります。

アメリカはハーレー王国?

アメリカでは、ほとんどハーレー?と思われる方もいらっしゃるでしょう。

確かにハーバー近くのハーレーショップにはハリウッドスターや世界的ロックスターのサインがどどっと飾られていて賑わっていましたし、ハーレーフリークはたくさんいます。

でも、LAで一番多く見かけるのは、YZF-R6やGSX-R600などの600㏄SSバイク。(特にR6はどこに行ってもパーキングにありますね。)


↑LAで一番大きいバイクショップ、デルアーモ・モータースポーツの入り口にはいつもタイヤどろっどろのSSが並んでいます。

週末になるとサンタモニカの海岸沿いのフリーウェイは、タイヤサイドを溶かした本気度の高いSS達でいっぱい。

彼らはムルホランド(LAで指折りの峠)目指してかっ跳んでいきます。

また、UCLA近くの学生街ではCBR300RRやR3、ニンジャ300といった小排気量スポーツバイクも人気。

やっぱりこういうバイクの手ごろ感が受けているんですね。

また、ヨセミテやグランドキャニオンなどに旅に出ると、BMWやKTMなどのアドベンチャーバイクが幅を利かせていました。

見かける比率で言えば外車6のハーレー4くらい。

しかもハーレの方には年配の方が多かったように思います。

あくまでこれは統計などの数字に頼らず、筆者がLAに2年住んだ主観です。

しかし、アメリカ国内でも手軽さや多様な楽しみがバイクに求められていることがわかります。

今までにないハーレーの姿

筆者が垣間見たアメリカのバイク事情にも表れるように、若い世代はもっと手軽で多様性に富んだバイクを欲しているようです。

いざインドへ

2015年にハーレーは、税込み85万円と言う大胆な価格設定と、ハーレーらしからぬ排気量の「ストリート750」を日本に投入してきました。

ハーレーダビットソンとしては、若い新規顧客の開拓を進めることが長期的に重要だと認識しているそうで、ストリート750はそのために敷居を下げたバイクなのですね。

しかし、それだけでは、多様に変化する市場に対応しきれないと見たのでしょう。

また、日本メーカーが相次いで小型車の生産拠点をタイやインドネシアなどに移し、世界シェアを向上させている様子を黙ってみているわけにもいかないのかもしれませんね。

既にBMWもインドに生産拠点を構え、小型車の生産を行ってアジア戦略を強化しています。

↑BMW G310もインドで生産されています。

ハーレーがインドに生産拠点を持つ理由は、米国の鉄鋼・アルミニウム輸入関税に対するEUの報復関税を回避するため。

トランプ大統領が「恥」とまで言った方針ですが、インド移転はハーレーにとって、アジア欧州戦略を強化するのに好都合なわけですね。

ハーレーを中免で

新しいインドの工場では、欧州向けのバイクの他、主にアジア向けに250㏄~500㏄クラスのバイクが製造されるようです。

実はハーレにも1960年代に「SS250Sprint」という単気筒の250㏄モデルをラインナップしていました。


写真参照元;MECUM Auction

これはイタリアの「アエルマッキ」というレアなバイクメーカーを買収して生産させていたもの。

当時はホンダのCB72やヤマハのYDS-1などが欧米でも人気で、ハーレーはその対抗馬だったそうで、小型車を生産する理由も今と似ていますね。

ココから数えれば約60年ぶりの小型車生産ということになります。

とにかく、「安くて中免で乗れるハーレー」なら、世界の若者に受けるのではないかと思いますし、私たちとしても興味がわきます。

H・Dのストファイ&アドベンチャー

欧州向けとしては、ストリートファイターモデルを2020年に登場させる予定。

水冷1250㏄のV2エンジンで足回りも結構レーシーなもの。

ゆくゆくこれにフルカウルモデルも噂されているので、これは気になりますね。

また、同じく2020年にはハーレー初となるアドベンチャー、「Harlay-Daividson Pan America1250」もリリース予定。

こちらも水冷1250㏄V2エンジンを搭載。

世界でバカ売れしているアドベンチャーバイク。

その中で、世界的にハーレーがどのように存在感を出していくのか?

かなり相当楽しみですね。

いずれにしてもハーレーはクルーザーだけではなく、多くのカテゴリーの中でブランドバリューを上げようとしているのがわかります。

ハーレーらしさって何だろう?

お伝えしているように、今回ハーレーは大きな変革を発表しましたが、「全く何もかも変わってしまうのか?」というとそうではないと思います。

例えば、同時に発表された2021年デビュー予定とする1250ccカスタムモデル。

水冷ながらもV2の伝統を守り、スポーツスターにも似たその風貌はハーレー然としたもの。

この中には「ハーレーはこれからもハーレーで行くからね」というブランドの決意というものがあるように思います。

話はハーレーからは少し離れてしまいますが、昨年末にカワサキがZ900RSをリリースし、大きな話題となりましたね。

今年はホンダからモンキー125やスーパーカブ125も発売されました。

とかくこういった往年のモデルをバックグラウンドに持つ車種と言うのは、何か新しいことをした時に「らしくない」と批判されるものです。

なので、昔のモデルそのままを型紙にしてしまうと、「違う!」ということになってしまうのですが、乗ってみるとメーカーのポリシーはちゃんと受け継がれている。

KawasakiであればZ900RSにも「操る楽しさ」というものは受け継がれていますし、モンキーやカブにしても125㏄化する中でファンバイクとしての存在感を受け継いでいます。

ヤマハやスズキにしてもそうですが、どんな時代のどんなバイク・スクーターに乗ってとしても「あ、これはヤマハらしいな、スズキらしいな」と感じる部分を何かしら持っているものです。

筆者は一時期ハーレーの883を長期に預かって乗っていたことがあります。

その経験から、ハーレーのハーレーらしさは、スピードや先進性ではなく、「バイクに乗っている実感をじっくりと味あわせてくれること」だと思っています。

恐らく電動でも250㏄でも「あ、なるほどこれはハーレーだ」と思えるようなエッセンスを持って楽しませてくれる。

そんな風に、きっと新しいハーレーにも、形には見えないハーレー魂がちゃんと宿っているのではないでしょうか。

試乗車に乗る機会が与えられたなら、ぜひそのあたりを確認したいと今から楽しみにしています。

 

写真参照元;ハーレーダビットソンHP




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