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暇(いとま)なく発生するあおり運転を憂う

「あおり運転」の愚醜性が、これまでになく一般に知ら占められる中にあってもなお、その被害は各地で暇(いとま)なく発生し続けています。

昨年は、バイク業界に内定していたという大学生の夢多き将来がその命とともに奪われ、先日その加害者に対する裁判判決が下されたというニュースもまだ耳に新しいところです。

自制を失った運転者に遭遇するのは、特に車内避難ができないバイクに乗っているときなら何にもなして戦慄の恐怖を覚えることでしょう。

筆者もせめてもの備えとしてドラレコを導入しました。

しかし、我々ライダーは「あおり運転」との遭遇にどうやって防衛するべきなのでしょうか?

また、もし万が一悪質なあおり運転に遭遇してしまった場合、110番通報でその映像を警察に提出すれば、加害者を取り締まってもらえるのでしょうか?

今回は、これらについてしっかり考えていこうと思います。

※ 裁判等によって係争中の案件なのでその表現が正確でない恐れもあります。
しかし、偶発的に起きた「事故」とは区別して、筆者はいわゆる「あおり運転」と公的に判断されるものについては、あえて「事件」と表現します。

あおり運転に遭遇、その時バイクならどうする?

あおり運転遭遇時の対応について一般に語られるのは4輪車で遭遇した場合の対応が中心。

「追われている場合は運転しながらでもいいから即座に110番通報し、相手が降りてきた場合はとにかくドアをロックして、警察官が来るまで車内にいるように」

様々なメディアで書かれているのは、たいていそんな内容だと思います。

ただバイクの場合、それはできないですよね。

実はモーターサイクルナビゲーターの中で、以前もバイクでの遭遇を想定した記事を書いていました。

この記事ではさらに詳しく話していますが、まとめると次の3つ。

  • コンビニやガソリンスタンド、あるいは役所や銀行など、防犯カメラや人目のがありそうなところに逃げ込んで、援助を求めること。
  • 万一そうした建物に避難できない場合は、ためらわずに110番通報.
  • たとえ警察と会話ができなかったとしても、110番がつながった電話に向かって、何がどこで起きているのかを分かるように話すこと。
    〔これを聞き取った警察指令室はが警察官を差し向けてくれます)

恐らくこれなら、バイク用ドラレコをまだ取り付けていない人でも、事態の悪化を何とか食い止めることができるのではないでしょうか。

いずれにしてもバイクの場合肝心なのは、早急に110番通報して、一人で対応しないこととがポイントになります。

警察庁が各道府県警に出している「あおり運転」への対応通達とは

警察庁は昨年2018年1月16日、各道府県警察署に対し、いわゆる「あおり運転」への対応と罰則の強化を通達しました。


警察庁 映像出展元;Wikipedia

皆さんはこの通達についてご存知でしょうか?

こちらがその通達の原文なのですが、時間があるときにしっかりと読んでみてくださいね。

出典元;警察庁/交通指導課/いわゆる「あおり運転」等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について

その内容は主に、

  • いわゆる「あおり運転」道路交通法のみならず、現行のあらゆる法をもって対処すること。
  • 暴力等を伴う加害ドライバーを「危険性優待者」として免停を含む強固な行政処分に処すようこと。
  • いわゆる「あおり運転」の危険性についてわかりやすく明示し、免許更新の際や、企業内の安全運転管理者を通じて広く安全教育の推進に努めること。

などを各道府県警察に求めています。

1.あらゆる法律で対処

 先述「いわゆるあおり運転」と表現しているわけですが、これはあくまで様々な状況行為の俗称であって、「あおり運転」という罪名で取り締まるというこはできないようです。

実際に、あおり行為に対しては、

対象行為
  適応法(道路交通法)
急ブレーキで進路を妨害する 急ブレーキ禁止違反
(法24条)
異常に接近して追い上げてくる 車間距離不保持違反
(法26条)
幅寄せ等の急激な進路変更 安全運転義務違反(法70条)
初心者運転者等保護義務違反
(法71条第5の4)
急ハンドルや急ブレーキを必要とさせる進路変更 進路変更禁止違反
(法26条の2の第2項)
左側から追い越して前に出る 追い越しの方法違反
(法28条)
執拗にクラクションをバンバン鳴らしてくる 警音器使用制限違反
(法54条第2項)

出典元;警察庁/交通指導課/いわゆる「あおり運転」等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について〔別添〕

という、これら現行の道交法が適用され、基本的にそれは今後も変わりありません。

つまりそれが「あおり行為」であっても、あくまで交通事案としての違反が罰則の対象となるわけです。

そこでこの通達では、車を使った危険行為の中で、暴行・傷害・脅迫等が伴って行われる場合、道交法だけでなく刑法上の暴行罪などで検挙するよう、さらに強くに求めています。

2. 加害運転者を、一発免停にできる?

運転者に危険を感じさせる運転が暴行・傷害・脅迫等を伴って行われ、必要と認められる場合には、加害運転者を「危険性有帯」として指定するように求めています。

この「危険性有帯」というのは新しくできた規定と思われる方も多いと思いますが、実はそうではありません。

例えば薬物依存の運転者による事件もいくつか思い出されるわけですが、この場合に適応されるのも、「危険性有帯」。

要するに、「運転することが不適当かつ危険であることが明らか」、と判断されるドライバーを取り締まる法は既にあるのです。

そしてこの「危険性有帯者指定」を受けた運転者に対しては、累積点数によらず、一発で30~180日の免停とする規定があります。

これを、「あおり運転」の対策として有効に応用さえようというわけですね。

例えば、被害を受けたライダーが警察官に証拠ととしてドラレコ映像を提出すれば、こうした行為が脅迫による妨害とみなされる可能性があります。

そして加害ドライバーは表にあげた道交法とともに威力妨害などで検挙して免停にする。

そうなれば、あおり運転撲滅に向けて、かなり心強いものとなりそうですよね。

ただ、非常に心配なのは、現行犯でない限りどうやってそれを警察官に現認してもらうかです。

実際、高速道路上で前方の車に急ブレーキで威嚇され転倒、加害ドライバーが逃走しそのまま泣き寝入りというケースもネット上に散見されます。

私たちライダーは、被害に遭った時には転倒や負傷などで、相手のナンバーなど相手の情報を自身で証言できない場合が多いので、これはなおさらですよね。

どうやってあおり運転の加害者を取り締まるの?

あおり運転は、故意によってもたらされ、事故は起きなくとも悪質な嫌がらせであることがほとんどで、偶発的に起きる事故とは明確に区別されるべきものです。

心強く感じる警察庁通達にしても、各違反規定を適応させるのは、基本的に現場の警察官による現認が不可欠。

先の通達を受けて、実際の取り締まりはどのように行われるのでしょうか?

警察庁へのインタビュー

昨年、筆者は警察庁広報課にそれを尋ねて取材していましたので、まとめますね。

筆者
警察庁広報課

Q, いわゆるあおり運転に関する行為受けた場合、警察官に現認していただくことが必要だと思います。
  しかし、相手が既に現場にいない場合や、転倒で負傷しているときなども考えられるわけで、相手から受けた迷惑行為をどのように警察官に現認してもらえばいいでしょうか?

A, はい、警察庁として通達は出しましたが、「現場でこのケースはこのように取り締まりなさい」という具体的なものではではないんです。
  なので、警察官に現認をとるのはケースバイケースで、具体的に「こうしたらいいですよ」というお答えはできません。

Q, なるほど、例えばドラレコなどの映像を提示して、それで現認していただくという形になりますか?

A, そうですね、それもあくまで現場の警察官の判断になりますので、確実に「そうです」とは言えません。
  「なるほど、あくまで判断は現場警察官に委ねられているのですね。

Q, では、今回のご通達の趣旨として、いわゆる「あおり運転」とされる行為について、取り締まりをより強化し、暴力行為についても併せて積極的に対応していく、という方針は
  間違いないですね?

A, そうですね、「方針」というとそれは都道府県警各々がこの通達を受けて方向づけていくものなので、警察庁が「そうです」とお答えすることができません。
 また、時期は各々の警察によって違うと思いますが、今後ホームページなどで広報されると思いますので、そちらをご覧になる方がよいかもしれません。

Q, わかりました。
  では最後になりますが、危険性有帯者として指定された運転者が一発免停になると聞いています。
  この免停期間はいきなり最長の180日になるのですか?」

A, はい、この長さもですね、現場の警察官が現認した「悪質具合」によって変わってきます。
  ですので明確に「何日間です」という風にはお答えできません。
  いろいろのご質問でしたが、しっかりとしたお答えができず申し訳ありません。

ご回答の端々をつないでいくと、「とにかくあおり運転を犯罪として厳しく処罰しようとしている」というのは間違いないようです。

ただ、具体的な対応についてマニュアル的に対応するのではなく、対応はその悪質性に基づいて現場警察官の判断に任される、というのが通達の運用状況の様です。

これまでも現場の警察の皆さんが被害者の味方になって犯人検挙にご尽力してくださっている様子が報道などで伝えられています。

彼らが今回の通達をより強い武器にして、実情に沿った形で解決に向けた努力をしてくださるのだと信じたいですね。

二輪車用ドラレコ保険の登場に期待

警察があおり運転対策を強化する中、損害保険会社もドラレコ映像を活用した心強い商品を発売するようになりました。


画像参照元;東京海上日動/ドライブエージェントパーソナル

これは損保会社が通信機能を持った専用のドラレコを契約者に貸し出し、

  • 衝撃感知と同時に保険会社に画像を自動転送、
  • 画像を判断して必要な場合には現地に警備会社の警備員を派遣
  • 証拠保全、相手との交渉、警察・救急等への通報・要請

という大変頼もしい内容です。
(会社によって仕様に差があります。)

2019年1月末現在、この種の保険商品としては、

という4社4様の商品があります。

ただ、各社の「お問い合わせ」代表に電話で問い合わせましたが、残念なことにどの商品も乗用車を対象としたもでバイクには不適応。

今後バイク保険での展開も尋ねしたが、現段階ではは未定であるとのこと。

しかしながらバイクにこそ、こういった保険が必要なのではないでしょうか?

多分筆者意外にもこうした商品に期待する人はいると思うので、各社で商品の開発をご担当の方には、バイク用ドラレコ保険の開発を是非とも前向きにお考えいただきたいですね。

まとめ

この保険の一件もそうですが、あおり運転被害を受けた場合、バイクは圧倒的に危険度が高いにもかかわらず、世間的にその対応は後回しにされる傾向にあります。

これは2輪の業界団体にも、早急に何らかの対策を講じてもらいたいところです。

なので、当面ここはライダー同士知恵を出し合って、有効な自衛策を考えていかなくいてはならないようです。

なのでこの稿にも、いろいろとご意見をお寄せください。

警察はこうして対応強化に乗り出しているわけですが、この通達文の終わりには、

運転者は、自分本位ではなく、相手に対する「思いやり・ゆずり合い」の気持ちをもって判断し行動する必要がある…

ということについて多方面に広報・啓発するとしています。

つまり、あおり運転の根っこは保育園や幼稚園で教えられるような根本的な倫理感の欠如。

これは本来、教育の場面から見直されるべき問題かもしれませんね。




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