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I「SE」が一番気になった。

今年(2019年)3月1日に発売されたKawasaki Ninja ZX-10R/RR/SEの3機種。

 

スぺシャルエンジンが搭載されたRRは、ホモロゲーションモデル。

サーキットでの高い戦闘力を目指して開発されたものですね。

一方、SEはシリーズの中のハイグレードバージョン。

サーキットはもちろんのこと、峠道やストリートまですそ野を広げ、様々な走行条件に素早く順応する高度な装備が魅力の一台です。

シリーズ3機種の中で、私が最も注目しているのがこのSE。

電子制御サスペンションを搭載するヤマハのMT-10SPを愛車に持っていることもあり、電子制御の面白さと、その発展の深度をぜひ体験したい思ったのが注目の理由でした。

その願いは届き、今回はカワサキモータースジャパン様のご協力により、Ninja ZX-10R SEをお借りする幸運に預かりました。

実車の質感や、さらに先を行く電子制御の乗り味。

そういったところを、しっかりと味わいながらお伝えしたいと思います。

まずは外観を愉しむ


搬送されてきたSEを、Myガレージにて歓迎。

カタログで見る以上のスケール感に感心しながら、まずは外観を見ていくことにします。

自己修復塗装「ハイリー・デュラブルペイント」の質感

まず注目したのは、「ハイリー・デュラブルペイント」という自己修復機能を持ったコーティングの質感。

ご承知の方も多いところですが、このZX-10RSEには、


上の図でグレーに示された部分に「ハイリー・デュラブルペイント」が施されています。

下の写真は先日の北海道モーターショーのKawasakiブースで展示されていたハイリーヂュラブルペイントの効果展示。


左がハイリー・デュラブルペイントで、右側が一般の塗装です。

2種類の塗装をした板に同じように傷をつけて一週間ほど放置したものだそうですが、このように紫外線を吸収しながら時間をかけて小傷を自己修復するというのがこの塗装の特長。

この違いは確かに凄いですよね。

この「メタリックフラットスパークブラック×メタリックマットグラファイトグレー」という色はカタログで見ると黒にしか見えませんが、


太陽光の下で見るとその名の通り、クリアの下のスパークルが全体の陰影に奥深いものにしていて、とても高い質感を持っています。


全体のカラーデザインもシックにまとめられていて実にキレイ。

速いだけではなく美しさを保とうとするところに、Kawasakiの美意識を感じます。

乗る前から感じる「戦闘力」

普段からアップライトなMTを見慣れている中で、久々にSSマシンをお預かりしたわけですが、


ミラーの幅が割と広いことが、フェイス周りにワイド&ローな印象を持たせ、戦闘的な鋭さをうかがわせています。


視線を後ろにやると、エッヂの効いたテールがそう見せるのか、タイヤのモリっと太い感じがどこかセクシー。

恐らく山の高いブリジストンRS-10のプロファイルもそう思わせる要因なのかもしれません。

さらに足元にはRRと同様に、標準装備となるマルケジーニ製アルミ鍛造ホイールが装着されています。

このヤル気満々な雰囲気からはコーナーを鮮やかに駆けるSEのポテンシャルが透けて見えてきそうです。

そんな足元だけにとどまらず、面白いのはスイッチ周り。

各モードの切り替えは左ハンドルにある「SEL(セレクト)」ボタンを長押しで調整したい項目に合わせて、上下ボタンで調整していく形式。


そのため、ボタンの周りはMTよりもシンプルな形に収まっています。

おそらくサーキットに通っている人ならモードスイッチ下の「LAP」ボタンを見て、「おっ!」と思ったはず。

これはサーキット走行時のラップタイマーを起動させるボタン。

『ならばハザードは右?』

と思いきや、キルスイッチ下はタイム計測のスタート/ストップスイッチになっています。

流石に今回は使いませんでしたが、あえてハザードスイッチを省略しながらこれらを優先するボタン配置から、このマシンの本領を垣間見た気がします。

ライディングポジションをチェック

私の身長は162㎝、座高は91㎝。


ZX-10R SEのシート高は835mmです。

SSクラスとしては標準的なシート高さですが、私のような小柄なライダーの場合、かなり「腰高感」を感じるかもしれません。

私では両足は接地させることはできませんが、片足なら足の親指の付け根までをしっかりと接地させることができます。

ライディングポジションはかなり戦闘的。


ですが、シートの着座位置には自由度があり、上体をやや起こした体勢もとることができるので、街乗りにも十分耐えられます。


さらに、タンクも車体を自然にホールドしやすい形状なので、上半身をフリーにしたレーシーな姿勢もとりやすいディメンションです。

自然に乗り込めるポジションと相まって、エンジンをかける前からこの車体には、コーナーでの応答性の良さが予見できます。

各設定ごとに際立つキャラが面白い

イグニッションをONにすると、


ZX-10Rのアイデンティティー ともいえるデジタルパネルがにぎやかに光り出します。

エンジンをかけてみると、ウォォォォーと低く落ち着いた音で歌い始め、


クラッチをリリースしていくと、モリっとしたトルクが車体を推し進めていきます。

走りはじめに気づくのは、SSとしては大きめなハンドル切れ角。


押し歩きが楽なのはもちろん、

市街地の低速走行やUターンなどでは、かなり助けになってくれました。

電子制御の内容を差し置いても、こうした車体の素性の良さというのは高く評価されるべきなのではないかと思います。

初めはL(ロー)モードで

乗り初めは街中なので、走行モードも緩やかな「Lモード」に。

ZX-10R SEの最高出力は203psですが、このLモードでは出力を約70%に抑えて走行することができます。

このモードでもアクセルの応答性はかなり良いのですが、出すぎるところがなく、「ゆったりとした余裕を与えてくれる優しいモード」といった印象です。

また交差点で停車するときなど、減速中はクラッチを握っていても速度が少しでも出ていれば、タコメーターは2~3,000回転を指すのに対し、停止中は1,000回転へ落とすようになっています。

これは燃費や騒音と言った環境への配慮と低速時の操作性の両立を考えたものだと思いますが、こういった細かな配慮には、設計陣の優しさを感じますね。

高速はMモードで走行

パワーモードは走行中に変更できないため、高速入り口に差し掛かるコンビニ前でパワーモードをM(ミドル)モードに変更。


このモードでは出力の約80%での走行となります。

切り替えてみると、「Lモードってマイルドだったんだな」と思えるほどアクセルレスポンスが良くなって、メリハリをつけやすくなった気がします。

ただ、スパルタンな感じはなく、とにかくライダーの意思に従順に従ってくれるのが面白いところ。

高速て前で少し渋滞にはまっていたのですが、このモードでもその中の加減速がすごく楽。

これはさしずめ、「オールマイティーモード」と言ったところでしょうか。

低速でもしっかりとトルクがある上、そのままグイッと上の回転まで引っ張っていってくれるので、市街地でも走っているのがどんどん楽しくなっていきます。

こんな感じなので、料金所からの加速はとても楽しく、ライポジのチェックで予見した通り、素早い車体の反応はレーンチェンジもスパッと鮮やか。

メットの中で思わずニヤけてしまいました。

ワインディングをFモードで愉しむ

高速を降り、いよいよいつものワインディングロードへ。

せっかくなので、ここでは「F」(フルパワーモード)を試しました。

これで203psがフルオープンになるわけです。

200ps越えとなるとさぞかし傍若無人な荒々しさを見せるのかと身構えていましたが、Fモードにあってもこのエンジンは極めて紳士的。

低速では、Mモードで感じたトルクフルな使いやすさがしっかりとあって、アクセルはさらに敏感な応答性を見せてくれます。

ZX-10Rシリーズには、UP側・DOWN側双方に有効なオートシフター(KQS)がついていて、全モードで機能するのですが、

やはりワインディングロードでのリズムを作っていく中で、これは実にありがたいもの。

ちなみに、私のMT-10SPのオートシフターはDOWN側には機能しないのですが、ZX-10R SEのDOWN側にはオートブリッピング機能も持っているので、コーナー進入が本当に楽なのです。

吸い込まれるようにコーナーに向かっていける感覚。

あくまで流す程度なのですが、コーナーごとにハッピーな気持ちが増していきました。

KECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)はやっぱり凄かった

愛車のMT-10SPの場合はベースとなるYZF-R1とも違い、前後輪の回転差から姿勢を割り出して制御していくもの。

これに対してSEのKECSは、ECUがIMU(慣性計測装置)による姿勢制御と連動し、エンジン出力とともにブレーキやサスペンションの動きなどを統合制御。

さらに、サスの中にストロークセンサーを持ち、制御速度は0.1秒と従来の電サスよりも格段に速くなっているのが特長です。

今回の市場では、市街地→高速道路→ワインディングと、走行条件にもバリエーションを持たせて試乗しました。

全般に感じたのは、サスの制御速度が速いと、すべての路面状況により早く対応でき、マシンの動きがきめ細やかになるということ。

SEの電子制御のきめ細やかさは圧巻で、とにかくどんな走行シチュエーションでも、恐ろしいほどきれいに走ってくれるんです。

特に、ワインディングでの動きは「盤石」。

ブレーキやステアリングダンパーなども、ともに統合して制御を行っているので、減速から立ち上がりまでの一連の動作がきれいに決まって行きます。

さらにバンク中、急に舗装の荒れた路面が表れても動じることなく切り抜けることができ、安心してコーナーリングの醍醐味を味わうことができました。

また、KECSでは、サスペンションに「ロード」・「トラック」といったモードによる性格を与えることができます。

各モードごとに路面からの衝撃の大小、車体のピッチングなども考慮しての設定減衰力を、常に変化させていのですが、この対応力の速さが驚くほど優秀。

例えば、「ロード」ではもはやSSとは思えないほどしっとりとした優しい走りに。

「トラック」では高速走行でしっかり感を見せつつも、そのまま市街地に入れば各速度域に対応して、ゆったりした乗り味を出してくれるという具合。

速さを求めるだけでなく、ライダーの疲れを軽減しながら、それを安全に楽しませてくれる。

今や電脳バイクは数々あるわけですが、きめ細やかな制御で走行条件の守備範囲を広く持つZX-10R SEは、電脳バイクの中のトップランナーだと言えるでしょう。

まとめ

「電脳バイクはコンピューターが操ってるから、ライダーがへたくそになる?」

と揶揄する人もいるわけですがそれは否。

SEの電子制御はそうしたネガティブなイメージとは真反対にあるものです。

電子制御の役割としては、荒れた舗装面の振動を抑えたり、ぬれた路面でのスリップを抑えてくれていたりするというのは良く知られていますね。

しかし、実際に乗ってみるとその効果はそれよりもっと先にあり、一瞬一瞬の動作を楽にししながら、ライダーに次の一手を考える余裕を与えるためのものなのだと気づかされます。

その点、今回はMT-10SPの制御が大味に思えてしまうほど。


2016年型のMT-10SPと2019年型のZX-10R SEとの間に、日進月歩の進化を感じました。

Ninja ZX-10R SEの場合、電子制御の仕事ぶりは実にきめ細やかで、存在をひそめながら、知らず知らずのうちにササッとライダーを助けてくれていると言った印象。

言ってみれば、マシンの中に強くて賢く優しい忍者がいるようなものですね。

264万5千円は確かに高価ではありますが、令和のNinjaには確かにその価格に見合う値打ちがあると思います。

車両協力;株式会社カワサキモータースジャパン




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