
週末に愛車のNC750Xを洗車していたら、いつの間にか2時間も経っていました。スポークの一本一本まで磨き上げると、心が整う気がしますね。こんにちは、モーターサイクルナビゲーターの田中恒一です。

さて、今回は海外のバイクメディア「Top Speed」が取り上げた、「初めての購入者に最適な手頃なホンダのオートバイ」という記事について、元業界人の視点と、私の長年のホンダ愛を交えてお話しします。記事では、扱いやすさとコストパフォーマンスの高さから、ホンダのエントリーモデル(特にCB300RやRebelシリーズなど)が絶賛されています。
52歳になった今、NC750XのDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)という「安楽かつ合理的」なバイクに行き着いた私ですが、この記事を読んで、かつてCB250RSで中型免許デビューをした18歳の頃を鮮明に思い出しました。あの頃のホンダも、今のホンダも、根底にある哲学は変わっていません。
目次
結論:ホンダの「退屈さ」は「究極の安心感」という名の性能である
最初に結論を申し上げます。初心者が最初に選ぶべきバイクとして、ホンダ車はこれ以上ない選択肢です。よく「ホンダは優等生すぎて面白みに欠ける」なんて言葉を耳にしますが、それを真に受けてはいけません。
私が30歳でX4というドラッグマシンのようなバイクに乗っていた頃、その圧倒的なトルクに酔いしれましたが、同時に「いつ壊れるか」という不安とは無縁でした。なぜならホンダだからです。初心者のうちは、ライディングそのものに集中すべき時期。マシントラブルやピーキーな操作性に気を取られている場合ではありません。ホンダのバイクが持つ「何も起きないことの凄さ」は、まさに尊いとしか言いようがありません。
業界視点で見る「ホンダが最初の一台に最適な理由」3選
1. エンジンの耐久性と素直な出力特性
私が23歳で乗っていたBROS(ブロス)というバイクをご存知でしょうか。Vツインエンジンの独特な鼓動感がありましたが、決してライダーを脅かすような出力特性ではありませんでした。ホンダのエンジンは、スロットルを開けた分だけ進み、閉じた分だけ減速する。この当たり前の挙動が、実は非常に高度な技術で制御されています。
特に最近のエントリーモデル(CB250RやCB300Rなど)は、単気筒ならではの軽快さと粘り強さを両立しています。教習車でCB400SFが採用され続けるのには理由があるのです。初心者が操作ミスをしても、バイク側がそれを許容してくれる懐の深さがあります。これを「退屈」と呼ぶ人がいるなら、それは平和すぎて草が生えるレベルの贅沢な悩みだと言えるでしょう。
2. コストパフォーマンスとリセールバリュー
元業界人として断言しますが、ホンダ車のリセールバリュー(再販価値)の高さは異常なレベルで安定しています。初心者のうちは立ちゴケをしたり、あるいは自分の好みが変わって別のジャンルに乗り換えたくなるものです。いわゆるバイク沼にハマる入り口ですね。
そんな時、ホンダ車であれば下取り価格が安定しているため、次のステップへの乗り換えがスムーズです。私が所有しているスーパーカブ50もそうですが、何十年経っても価値が落ちにくい。初期費用だけでなく、手放す時のことまで考えると、ホンダは経済的にも「最強の味方」なのです。
3. 人間工学に基づいた足つきとポジション
X4やST1300パン・ヨーロピアンといった重量級バイクを乗り継いできた私ですが、やはり「足つき」と「ライディングポジション」の重要性は身に染みています。Top Speedの記事でも触れられている通り、ホンダのエントリーモデルは、またがった瞬間に「あ、これなら乗れる」と思わせる説得力があります。
無理な前傾姿勢や、広すぎるハンドル幅は、初心者にとって恐怖でしかありません。ホンダの設計は、ライダーの体格を選ばないユニバーサルなデザインが徹底されています。技術屋魂とは、スペック上の馬力を上げることだけではなく、ライダーに不安を与えないことにも注がれているのです。
乗り出し費用の目安(現行250ccクラスを想定)
現実的な話をしましょう。新車でホンダの250ccクラス(CB250RやRebel 250等)を購入する場合の概算です。
- 車両本体価格:約60万〜65万円
- 諸費用(登録代行・重量税・自賠責等):約5万〜8万円
- 装備品(ヘルメット・グローブ・ジャケット):約5万〜10万円
- 任意保険(年齢によるが):年間約3万〜5万円
合計で80万円前後を用意できれば、安心してバイクライフをスタートできます。中古車であればもう少し抑えられますが、最初の1台こそ、トラブルの少ない新車か、認定中古車をお勧めします。
購入前のチェックリスト
ショップに行く前に、以下の点を整理しておくとスムーズです。
- 足つきの確認(両足のつま先が着くか、片足がべったり着くか)
- 取り回しの確認(平坦な場所で押し引きができるか)
- 維持費のシミュレーション(駐輪場の確保はできているか)
- 用途の明確化(通学・通勤メインか、週末ツーリングメインか)
よくある質問(FAQ)
Q1. 250ccだと高速道路が怖いと聞きました。
今の250ccは優秀です。私が乗っていた昔の空冷単気筒とは違います。時速100km巡航も十分にこなせます。ただ、ST1300のようなツアラーと比べれば風圧は受けますが、初心者には十分な性能です。
Q2. カウル(風防)付きとネイキッド、どちらが良いですか?
見た目の好みで選んで構いません。ただ、カウル付きの方が高速道路では楽です。しかし、転倒した際の修理費はネイキッド(カウルなし)の方が安く済む傾向にあります。迷ったら、見た目が尊いと感じる方を選びましょう。
Q3. 最初から大型バイクは危険ですか?
不可能ではありませんが、お勧めしません。私がBROS(大型)に乗ったのは23歳、ある程度経験を積んでからでした。まずは軽量なクラスで「バイクを操る感覚」を養うことが、長く安全に楽しむ秘訣です。
ホンダのバイクは、あなたの技術向上に合わせて、常に最高の相棒であり続けてくれます。さあ、あなたも「翼のマーク」と共に、新しい景色を見に行きませんか。









