eスクーターが面白い!米・ロサンゼルスで原付一種の近未来像を見た
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LAからこんにちは

今回私は、妻の仕事に随伴するかたちでアメリカ・ロサンゼルス(LA)におります。

実は私は2015年から2017年までこの地に滞在していたのですが、滞在中には全く見たことがなかった「あるもの」が、街の中に増殖していることに気が付きました。

これを見て、もし日本に導入されれば、「世の中の交通常識が変わるかも」と思った次第です

また、今回この乗り物を見て『ヤマハ発動機って未来志向の凄い会社だなぁ』と改めて感心したり…。

それがどういうことなのか、読み進めていくうちにわかってきますので、最後までどうぞお付き合いくださいませ。

街中の至る所にeスクーターがある風景

私が見つけたあるもの。

それは、「e スクーター」のことです。

日本でも都市部に行けば、クレジットカードで使えるような貸自転車も見られるわけですが、これはそうした自転車の様にどこかのステーションに集められているというのではありません。

むしろ町中どこにでも乗り捨てられているという感じ。

街を歩いていても、eスクーターの利用者は多く、乗っている人を非常に良く見かけますね。

このサービスをいち早く始めたのはBird (バード)と言う会社。


この会社はスマートフォンアプリを使った配車システムのUber(ウーバー)で役員を務めた人が作った会社です。

慢性的な渋滞に悩まされるLAで、

「どうやったらこの渋滞から不要な車の数を減らすことができ、街の空気をクリーンにできるか?」

を真剣に考えた結果、短距離移動をこうしたeスクーターを活用することで交通状況を改善しようと、eスクーターのシェアシステムを考え付いたのだそうです。

既に現在ロサンゼルスでは、このBird だけでなく、ウーバーもeスクーターや電動自転車のシェア産業の運営に乗り出し、

そのライバル会社であるLyft(リフト)、さらにはLime-S(ライムS)他、後発数社が参入しています。

そもそも、何がそんなにすごいわけ?

2018年から急速に台数を増やしたeスクーター。

その魅力は、いったいどんなところにあるのでしょうか?

レンタカーやタクシーよりも便利で簡単

すべてのeスクーターにはGPSがついていて、

専用アプリをスマホにインストールしておけば、今大体どの辺にeスクーターが置いてあるのかが一目でわかるようになっています。

というか、探すまでもなくちょっと歩けばその辺の通りに転がっているという感じですけどね。

これを適当に拾って走り出し、電池がなくなったら歩道をふさがないように乗り捨てて、また別のeスクーターに乗り換えるといった具合。

利用料金はどの会社のものでも大体同じで、乗り出しは1ドル(105円くらい)で1分ごとに32セント(35円くらい)ずつ加算されていくという仕組みです。

一回の充電での走行可能距離は大体25km。

最高時速も25km/hは出ます。

充電状況は転がっているスクーターによってまちまちですが、そこら中にあるスクーターに乗り換えながら好きなだけ乗り継ぐことができるので便利です。

つまり、返却場所に返す必要がないということと、返却時間に縛られず、必要なだけ乗り続けられるというのが魅力なんですね。

これは新しい交通システムであり、新産業でもある

「じゃぁ、充電とかはどうしてるの?」

って、それも気になるところですよね。

実は、夜中に運営会社がGPSを頼りに充電切れのeスクーターを回収して、所定の場所にきれいに並べているそうです。

また、専用アプリには「eスクーターでお小遣い稼ぎませんか?」というボタンがあるんです。

これを使えば、一般のひとでも自分のピックアップトラックなどで、充電切れのeスクーターを探しながら回収し、歩道にきれいに並べておけば収入になるという仕組み。

なので、単に小さな乗り物というだけでなく、これは新しい交通システムであり、IT時代ならではの新産業なのです。

使ってみたらものすごい便利!

早速私もeスクーターを利用してみました。

eスクーターの利用には、

  • スマートフォン
  • 専用アプリ
  • クレジットカード(アップルペイ等スマホ決済ができればそれでも良し)
  • ヘルメット

などが必要です。

eスクーターのハンドルにはQRコードがあり、これを読み込むとまず、アプリのダウンロードページに移行します。

Birdの場合、専用アプリは24か国語に対応しているので、もちろん日本語にも対応。

当初、いろいろな旅行サイトには「アメリカの免許証がいる」と書いてあったので不安でしたが、実際にアプリの操作を進めても、特に免許証のスキャンを求められることもなく、結局免許は必要ではないことがわかりました。

ただ、18歳以上でないと使えない規定があります。

恐らくこれは支払方法を指定する際に(クレジット番号)やメールアドレスなどを入力するので、


個人情報はそこで確認しているのでしょうね。

※ちなみに、スマホにこのQRコードを読ませずに、勝手に走り出すと警報音が鳴り響ます。

乗車して2・3回路面をキックして加速し、右側のアクセルを親指でひねると、すいすいと走り出しました。

止まるには左側のブレーキレバーを握ればいいので、操作は簡単です。

アメリカの場合、基本的にどの道も4車線以上あって、そこには自転車用にちゃんとしたバイクロードが設けられています。

公道を走る場合、eスクーターはこのバイクロードを走る決まりになっていますので、日本で考えるよりも走りやすいですね。

また、速度計もついていて、文字も大きくて見やすかったです。

乗ってみての最高時速は17.5マイル/hつまり28㎞/hくらいでしたから、大体原付並みですね。

ただ、乗り味はキックボードそのもの。

ゴムタイヤは履いていますが、振動が脳天までダイレクトに伝わります。

気持ち膝を落としてショックに備えておいた方が気持ち用乗れますね。

また、スマホ片手に街の様子を撮ってみたいところですが、車体に安定性がないので片手を離そうものならすぐに倒れてしまいます。

サドル付きのe-スクーターもあるので、車体の安定性が気になるようであればそちらをチョイスした方がよいでしょう。

実は今回、ビーチにあるサイクリングロードを走ろうと思ったのですが、そこに入った瞬間、アクセルを開けても力行しなくなってしまいました。

実は後で知ったのですが、ビーチのサイクリングロードはBirdの使用が禁止されているエリア。

使用禁止エリアに入るとGPSが感知して、使用を制限するようになっていたんです。

加えてそういった場合は、「禁止区域に入っているので使えない」と言うアラートがスマホに表示されるようにもなっていたので、これはすごいなと思いました。

結局、今回は13kmの道のりを1時間20分ほど走行して、滞在している家の前に停めて終了。

料金は29.12ドル、ですから大体3,000円くらいなので、これを安いと見るか高いと見るかは意見が分かれそうなところです。

ただ、LAの物価は日本の1.8倍くらいなので、日本でなら1,500円~1,600円くらいになるかもしれないですね。

また、先述の様にeスクーターは道をふさがずに駐車するのが決まり。

なので、アプリで終了手続きをする際、最後にどんな状態で駐車したのかを写真に撮ってそれをBirdに送信するようなシステムになっています。

写真を送信して、降車手続き終了。

30分後に再度外出した時には、すでに回収されたか別の人が利用したしたかでその場になかったですから、このシステムの出来の良さは恐るべしですね。

一応負の面にも目を向けておくと…

西海岸の観光地や、州立大学の周りなどを中心に、非常に便利な交通システムとしてウケているeスクーター。

しかし、一方ではいくつかの懸念も指摘されています。

一つは事故の増加。

ひ弱な車体で最高時速30km/h近くのスピードで走り、それが非常に気軽に乗れてしまうわけです。

車輪が小さいので、ちょっとしたことで転倒しやすいことや、他の交通から見落とされて巻き込み事故にあうなど、事故の増加も問題になっています。

もう一つは町の美観との調和の問題。


置き場所のルールを守らない人も少なからず。

eスクーターそのものに悪はないものと思いますが、利用者の不心得によって「街の美観が損なわれる」という指摘もあるようです。

こうしたことから地域によってはeスクーターの利用を禁止したり、部分的に使用に制限をかけたりしているところもあると聞きます。

運営会社も先述の様に工夫はしているわけですが、もし日本で導入されるのであれば、安全面や利用者のマナーにはアメリカ以上に十分な配慮が必要になるでしょう。

ヤマハがTORITOWN(トリタウン)は未来を見越した乗り物だった?

さて、お伝えしてきたように、アメリカではすでに相当数のeスクーターが街中を元気に走っていてものすごく便利です。

しかし日本では乗り捨てシステムではなく、ある程度ステーション的なところへの返却をするスタイルでないと、邪魔になって町の美観に対して問題となるでしょう。

またもう一つは、一つは小さい車輪がゆえに「気を抜くと倒れやすい」ということが気になりますよね。

これに関して一つ思い出したのは、ヤマハ発動機が開発しているTORITOWNというeスクーター。


2017年の東京モーターショウの会場でその走りを披露したTORITOWN コンセプト

ヤマハが得意とする前3輪のLMW技術を使った乗り物で、転びにくく、軽快に走れるのが魅力の乗り物です。

このTORITOWN、東京モーターショーなどでも見かけたことがあるという人は多いと思います。

しかし、「この乗り物が出たところで日本で乗れるわけでもなし…」と思った人も多いでしょう。

実は私もその一人でした。

ですが、カリフォルニア州のシリコンバレーにも開発拠点があるヤマハ。

私はLAに来て私はヤマハが何を見てこの乗り物を造り、これからどうしようとしているのかを見た気がしました。

TORITOWNは最近、より実用的なモデルへと開発が進んでいます。

上の写真が最新モデルですが、ヤマハが公開している映像で、ちょっとその様子を見てみましょう。

スペックを見ると、

重量:約40kg
寸法:1140㎜×620㎜×1140㎜
速度:最高25km/h
※現状では状況により最高速度を制限する場合があるそうです。
モーター形式:インホイールモーター
モーター出力:500W
バッテリー形式:リチウムイオン
バッテリー電圧:48V
バッテリー容量:380Wh
充電時間:約2時間
航続可能距離:約30km

ということなので、アメリカのものより走行距離も長く、何よりLMWであれば転倒のリスクもかなり減るのでいいですよね。

また、見たところ自立可能なLMWとなっているようですから、もし乗り捨て可能になったとしても、見にくく倒れて乗り捨てられるという心配もないのではないでしょうか?

そういった点から見て、もし今後日本にeスクーターが導入されるのであれば、TORITOWNのような形が望ましいと思います。

まとめ

モビリティーの電動化が進み、これまでの50㏄(原付一種)が消滅しないとすれば、その姿は今後大きく変わっていくだろうといわれています。

ITでこれまでに予想もしなかった様々なことが常識化していくわけですが、私は2輪、特に原付の具体的な将来像をLAの街の中で見つけたような気がしました。

とはいえ、日本でeスクーターシェアのシステムを導入するには、法的な問題やステーションの整備や保険・免許など、ひとつづつ条件をクリアしていく必要があるでしょう。

いずれにしても、もし原付一種がeスクーターに変わっていくとしても、そこには相変わらず利用者のマナーの問題が存在するということは見逃せませんね。

既にヤマハ発動機は「モビリティーの変革」をテーマにして、2019年7月13日~8月11日の週末を中心に、新潟県長岡市の「国営越後丘陵公園」でTRITOWNの実証実験を行いました。

これは間違いなく日本のeスクーター足音。

例えばソフトバンクとヤマハが組んで、金曜日には1時間乗り放題とか?

いろいろな楽しい想像も膨らみますが、今後の発展に期待しましょう!

 




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