マスツーリングのポイントと峠で楽しめるセーフティーライディング
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笑顔でいつまでも
安全に楽しく走り続けるために

皆さんこんにちは、編集長の山本です。

これを書いているのは、2019年の5月の10連休明け。

SNSでは連休中にツーリングに行ったライダーの楽しい土産話がアップされています。

しかし中には、傷の写真も痛々しい事故の知らせもちらほら。

やっぱりこういうのは悲しいですよね。

というわけで今回は、皆さんに笑顔でいつまでも安全に楽しく走り続けけるための知恵をご紹介しようと思います。

学んで楽しむツーリング

今回は、モーターサイクルジャーナリストの柏秀樹先生が主催されている「柏秀樹ライディングスクール(以下KRS)」のレッスンに同行取材をさせていただき、いろいろと教えていただきました。


KRS校長 柏秀樹先生

「バイクの安全講習」というと、貸し切りにした駐車場や教習所で、一本橋やパイロンスラローム等、普段の路上にはないシチュエーションをつくって練習するものがほとんど。

しかし、柏先生のKRSでは、レッスン全て実際のツーリングを楽しむことを前提にした内容になっています。

クラッチ・ブレーキの使い方、そしてライディングフォームのとり方などを基礎を見つめ直すことから始まり、愉しみながら普段の走行に活かせる知能的なライテクを身につけられるのが特長。

今回同行させていただいたのは、実際にツーリングを行いながらのレッスン。


安全を楽しむためのポイントをその場その場で教わることができる大人気のツーリングレッスンです。

「奥多摩方面でちゃんと曲がれるライテクツーリング」と題された今回はそのタイトル通りワインディング走行もふんだんに盛り込まれた内容。

もちろん、膝すり云々を習うのではなく「どんな状況でも安全に楽しく走るための知恵」とライディングを安全に導く「ものさし」(加減)を身体に身につけるのが目的です。

今回は総勢13台での走列。

マスツーリングをより安全で快適に行うためのポイントを学べるのも、このレッスンの人気の秘密ですね。

柏秀樹先生が教えるマスツーリングの「ツボ」

KRSでは公道の走行ラインに「L1」・「センター」・「R1」という3つの指標を設けています。

頭の中に「ものさし」を持つこと

「L1」は道の左端からおおむね1mくらい間隔を開けた走行ライン。

これはたとえば、一本道で対向車に備えるような走行ラインです。

そして、R1は道の端かセンターラインからおおむね1mくらい間隔を開けた走行ライン。


歩行者や自転車をよける際にはR1の走行ラインを走るというイメージですね。

なのでレッスン中の千鳥走行も、左の人はL1、右の人はR1というようにして、頭の中に「ものさし」を持つ練習をしながら走るわけです。

先生は「ものさし」のことを、「頭の中に保険を持つ」と表現されるのですが、やってみるとなるほど頭の中でラインを整理しやすくなり、メンタルのゆとりが臨機応変性に繋がるのがわかります。

マスツーは「スイミー」のように

基本的にバイクは他の交通から見落とされがち。

なので、小学校で習う小魚の群れ「スイミー」のお話のように、車列を大きく見せる工夫が必要です。

道幅のある道路では


例えば国道のように道幅が広いところでは車列を千鳥にして幅を持って見せ、少し狭い道では車間距離を取りながら千鳥の幅を狭くします。

さらに、速度が上がれば前後の車間距離を空けて、速度が低い時は少し車間距離を短くします。

交差点の停止中も、2列になって停車。


左右も前後もあくまでも安全空間確保が最優先ですね。

合流発進やT字路の進入は「モノブロック発進」で

マスツーリングでは、信号待ちなどで車列が切れることが良くありますね。

問題はその後の合流発進。

こうした場合には、発進しやすいよう予め車両を45°左に向けて待機。

追いついた後続車が合図を送り、速度を緩めて後方の車の動きを制御している間に、3~4台ずつブロックになって一斉に発進する「モノブロック発進」を行います。

ここで先ほどのL1・R1が役に立つわけですね。

モノブロック発進では車列がバラバラにならずに、一瞬で合流できるので、はた目から見てもスムースできれいです。

また、ウインカーは、早めにつけて遅めに消す。

周囲の運転者に自分の動きを知らせる意識が重要です。

同じように、T字路等の進入でも、


左右の安全を確認したのち、停止線から2台ずつ多発的に発進して交差点内の車列をなるべく絶やさないようにします。

マスツーリングでは、こうして車列を塊に見せることが大切です。

呼吸・脱力管理で疲れを防ぎ、集中力を保つ

実は走行中ライダーの身体は知ら知らず硬直していきます。

同時に集中力も低下するため、緊急回避に必要な反射対応力が段々と低下することになるんです。

これを防ぐのが「呼吸と脱力の管理」。

  1. 肩を上げながら鼻からゆっくりと息を吸い込む。
  2. 口から一気にその息を吐きながら上げた肩を下げて体の力を抜く。

これを5分なら5分、5㎞なら5㎞と定期的に行うようにすると、脳をリフレッシュさせ、身体の硬直を防ぐことができます。

レッスン中は柏先生が声をかけていましたが、一般のツーリングではツーリングリーダーがインカムなどで全員に声をかけ、この動作を促すとメンバーの疲れ具合もかなり変わってくると思います。

もちろん、ソロツーリングでもこれは有効なので、是非試してみてください。

ツーリングリーダー必見!走行前から意思の疎通を

メンバーが集まったら、走行前にハンドサイン等を共有しておくことも重要です。


千鳥から一列になる合図を送っているところ↑

今回もそうですが、最近はネットで見知らぬ人同士が集まって走ることも多いので、息の合った走行には走行前の顔合わせとコミュニケーションが大切です。

少なくとも、ツーリングリーダーになる人は、誰がどのバイクに乗っているのか把握しておく必要がありますね。


レッスンでは申し込みの段階で事前把握もされているのですが、集まったレストランでもブリーフィングを行い、ハンドサインやその他の確認事項を共有してからの出発でした。

また、マスツーリングのリーダーは参加者のスキルをある程度把握できるといいですね。

  • 免許を取って何年?
  • どのくらいの頻度でバイクに乗る?

などの情報は、メンバーを的確にリードすることに有用です。

ちなみに柏先生は、この席で参加者一人一人のスキルと参加課題を聞いていました。

さらに、走行中には順番に一人ずつの走りを見てその癖を見抜き、一人一人の技量とそのバイクの特性に合わせたアドバイスを行っておられます。

10人で走るのですが、非常にパーソナルなレッスン内容。

一般のツーリングに置き換えれば、ツーリングリーダーにはメンバー一人一人への心配りが欠かせないということですね。

公道では「速さ」を求めるより「安全を創る」ことの方が面白い!

柏先生が公道走行の基本として提唱するのは「センターキープメソッド」という走り方。

柏秀樹先生が教える「センターキープメソッド」とは?

その名の通り、道の真ん中を正確にキープすることを基本とします。


写真の様な一車線では全員がセンターをキープして必要な車間を保つことで、

  • 他の交通からの視認性
  • 左右からの不測の動きに備える余裕

を確保するのがセンターキープメソッドの主な目的。

「真ん中をずっと走ることなんて誰にでもできるだろ?!」

そう思いますよね。

でも、レールが敷いてあるかのように、正確に道のド真ん中を正確に走り続けるのは集中力が必要で、なかなか難しいんです。

今回、私の真後ろに柏先生がついてくださったのですが、

「山本さーん、また15㎝右にズレたよぉ!」

とインカムで度々のご指摘を賜りました。

まるで、座禅を組んでいて乱れた時に後ろからお坊さんに警策(きょうさく)でパシッとたたかれるような感じ。

ですが、センターをキープするうち、正確さを求めることが面白くなるから不思議です。

峠でもセンターキープ、これが病みつきの面白さ

山深くなり、一行は山間のワインディングルートへ。

ひとりひとりにタンデム指導


一旦止まって、先生がワインディング走行についてレクチャー。


それが済むと、先生は受講生に一人ずつタンデムで、ワインディング走行のポイントを丁寧に伝えていきます。

後席の受講生は、先生の操作を見ながらその走りを目に焼き付けていくのですが、その間も他の受講生はワインディングを疾走する先生に追従して走行。

インカム越しに先生がポイントを説明するのを聴きながら、一通りの走り方を目で見て覚えるという走行を繰り返していきます。

もちろん、この間もセンターキープで走行。

私も追従していきましたが、峠で正確にセンターをキープするのは、一般的なスポーツ走行以上に、繊細な動作が求められるため、正確にこなすのはかなり難しいのが分かります。

「生き残ってずっと楽しむ」これが最終目的

私の走りを見た先生は…

「コーナーに何もないという前提で、アウト側から勢いをつけて入っていってる。
それでは何かあった時に対処ができない。
まず視野を大きくとって正確にセンターをキープし、いつでも退避できる体制を作りましょう。
また、早めにアクセルを開けて曲がろうとする癖が染みついてる。
バンク角も無駄に深い。
これもやはり安全のための備えができない。
ここはスピードを出すのが目的ではなくて、バイクを末永く楽しめるように生き残ることが最終的な目的。
だから、その走り方は今日で卒業しよう!」

私の悪い癖はすっかり見抜かれており、インカム越しに聞こえたその言葉にハッとした私です。

考えてきれいに走るということ

昼食をはさんで、私も柏先生のタンデム走行を体験させていただきました。


実はこの日、東京にひょうが降り、多摩の山も午前の晴天とは打って変わって土砂降りに。

幸い、雨は昼食中に止んだものの、路面は所々ウエット状態です。

しかし、先生の走りは…、

「美しい!」

コーナー手前では十分に減速し、マシンは垂直。

でも、ひとつづつの操作が余裕をもって丁寧に行われるため、安全マージンがたっぷりとあり、バイクの動きが滑らかで美しく、スポーティーなのです。

しかも、レールの上を走っているかのようにバイクがセンターを全く外さないのが驚異的。

コーナー出口ではリアブレーキをスーッと当ててパワー制御。

肘から先に力をかけない「フローティンググリップ」で柔らかくアクセルON。

この間も先生は、

「まず視野を大きくとって正確にセンターをキープし、いつでも退避できる態勢を作りましょう。
カーブミラーがあれば、それを見るくらいの余裕が必要です」

など、要所のアドバイスを欠かしません。

これだけ繊細な操作を続けながら周囲の状況を捉えて話す余裕があるのが流石です。

そして先生は左コーナー出口だけイン側に寄るパターンも提示。


これは対向車線への突出防止策。

この引き出しの豊かさ。

特にこうした心配りは見習いたいと思いました。

この荒れた路面をここまでピタッと走れるのは「腕」と「理論」あってこそ。

「考えて走る」というのはコレなんだと痛感しました。

重ねてお伝えしますが、これは速く走ることを目的とせず、安全に楽しむことを突き詰めた結果、スムースで美しいライディングに至るという見本。

この走り方がマスターできれば、センターラインを飛び出すことも、対向車を脅かすことも無く、マシンのメリハリを純粋に愉しむことができるわけです。

まとめ

柏先生はいつも「安全を創造的に愉しむこと」を提案されています。

「どうしたら安全で楽しいか?」

これを考えるのはとてもクリエイティブなことなんです。

お伝えしたい柏先生のメソッドはまだまだ沢山あるのですが、詳しくは先生の著書やDVD(トレーニングツアー)などでご確認ください。


柏 秀樹のIQ RIDING (ライディング) 2018年版


ビッグマシンを自在に操る~柏秀樹“超実践”トレーニングツアー

しかし百聞は一見に如かず、体験こそが上達の近道です。

皆さんも是非柏秀樹先生と一緒に、安全を創る楽しいライディングを手に入れてください。

KRSの詳しいレッスン概要や日程などはこちら。

取材協力;柏秀樹ライディングスクール K.R.S 
     「奥多摩方面でちゃんと曲がれるライテクツーリング」
参加受講生の皆さま

さぁあとはツーリングに出かけましょう!

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